労務の採用ポイントと具体的な方法|仕事内容や給与相場・向いている人の特徴まで

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これから労務担当者を採用しようと考えている方は、次の点を考えながら採用計画を立てていきましょう。

  • 労務の採用状況を知る
  • 労務担当者の平均給与を知る
  • 労務の業務内容を知って、担当してもらう業務を決める
  • 労務に向いている人や関連する資格を知る

こちらの記事では、労務の採用をするにあたって、知っておくべき内容や採用を成功させるヒントについてご紹介します。

ぜひ参考にしていただいて、社内の業務をばっちり任せられる人物を採用できるように準備を進めていきましょう。

目次
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労務の転職市場の状況や採用の傾向section 01

まずは、労務の転職市場や採用の傾向にはどのような特徴があるのかからご紹介します。あくまでも傾向ですので、求人を出す地域や業界、タイミングなどでも違いはありますが、採用計画を立てる際の参考にされてください。

労務・人事などのバックオフィスの求人はコロナの反動で増加中

コロナ禍において、会社の売上に直接関わることが少ない、労務や人事、総務などのバックオフィス業務の求人数は停滞した状態にありました。

しかし、2023年になりマスク着用が個人の判断に任せられるなど、コロナに対する制約も減ってきており、それに対してバックオフィス業務の求人を多く出す企業が増えてくることが予想されます。

それに応える形で求職者も増えますが、同様の求人を出す採用におけるライバルも増えてきますので、より優秀な人材を確保するためには、計画性とスピード感を持って、自社の魅力を求職者にも伝えていく必要性が高くなります。

参考:転職市場予想2023上半期|doda

人事・総務の応募と一緒にすることが多い

「労務部」として単独で採用する企業以外にも、「人事・労務」や「総務」内の1つの業務担当として労務の募集を出している企業も多いです。

このような場合で人事で募集をした場合には、労務の仕事をするというイメージを持たずに応募してくる方も出てきます。募集要項の業務内容でしっかり担当業務を説明できるようにしておくことで、入社後のミスマッチを減らすことができます。

外注やパートの採用で代用することもある

労務担当者を正社員で採用することを前提に考えていることでしょうが、労務の仕事を社会保険労務士などの外注やパートにお願いして代わりに業務を行ってもらう方法もあります。

教育の手間や長期的なコストを見れば、正社員で採用するよりもメリットがある部分もあります。しかし、次のデメリットもあるので、自社の方針や従業員数、長期的な目線で、正社員として採用してしっかり地盤を固め得るか、外注等で一時的に業務を代行してもらうかを判断されて下さい。

労務を代行してもらうデメリット

  • 社員と労務担当のコミュニケーションが希薄になる
  • レスポンスが遅くなりやすい
  • 企業情報や機密情報が外部に漏洩するリスク
  • 短期的に見ると費用が高くなる
  • 自社に労務管理のノウハウが蓄積しない

一方で、外注や正社員以外に依頼するメリットには次のものがあります。

労務を代行してもらうメリット

  • 長期的に見れば費用が安くなることも多い
  • 他の業務に集中できる
  • 社労士などの専門家に任せれば正確性も高い

労務を採用する際の平均給与section 02

労務の人材を採用する場合、他の企業の平均的な労務の給与も知っておきましょう。他社と比べて、給与が低すぎればなかなか応募も来なくなりますし、反対に高すぎることで人件費の高騰や他部署からの不満などにも繋がります。

複数の転職サイトを確認してみたところ、労務に関連する職種の平均年収・平均月収は次のようになりました。

スクロールできます
職種平均年収平均月収(年収÷14ヶ月分)参照サイト
人事・労務335万円23.9万円indeed
総務393万円28.0万円求人ボックス
社会保険労務士433万円30.9万円求人ボックス
労務に関連する職業別平均年収と平均月収

労務に関わる職業の多くが年収400万円未満で、月収も30万円に満たない求人が多いようです。民間給与実態統計調査による平均年収は約430万円ですが、平均年収よりも低めの給与になることが多い職種だと言えます。

ここから採用する人の担当業務や立場、経験・資格の有無によって給与を決めていくと良いでしょう。

例えば労務業務の一端を担う人材の採用であれば、上の表の給与帯でも応募は来るでしょうが、労務の責任者や社会保険労務士などの資格を持っている方の採用を望むのであれば、もっと給与を上げた募集でないと、良い人材からの応募も来にくくなります。

労務の主な業務内容section 03

労務の仕事では、主に勤怠管理や給与計算、社会保険等の手続きなどの従業員を陰からサポートする仕事が主になります。従業員の生活にも関わる重要な内容であるため、責任感があって正確に業務をこなしてくれる人材が求められます。

実際に労務でどのような仕事があり、会社に貢献しているのかを解説します。採用する方の入社後の仕事内容までイメージして、どのような人を採用していくかを明確にしていきましょう。

労務の主な業務内容

労務の代表的な仕事内容として、次の業務が挙げられます。

  • 勤怠管理
  • 給与計算
  • 入退社手続き
  • 社会保険手続き
  • 福利厚生の設置等
  • 就業規則の作成
  • 年末調整
  • 労働トラブル対応
  • 顧問弁護士や社労士などとの対応

基本的には細かい数字の確認や入力、処理などが主になりますが、1つの間違えで従業員に迷惑をかけて会社への信頼低下にも繋がりますので、正確性と責任感が求められます。

いわゆる事務作業の経験者であれば、適正があると考えられますので、採用する際には労務に限らず事務作業の経歴も参考にしましょう。

ただし、労働問題での対応や相談、外部の専門家への対応などもありますので、採用する人の業務に含めるのであれば、コミュニケーション能力とビジネスマナーも水準以上が求められます。

法律知識も求められる

労務の仕事に携わる以上、労働基準法や雇用保険法、健康保険法などの様々な法律と関わる機会が増えることになります。元々この分野は社会保険労務士が得意とする分野で、転職活動に関係なく勉強している方は多くいます。

労務に仕事に就くにあたって、社労士の資格が必須になるわけではありませんが、知識は日々の業務や突然のトラブルにも対応しやすくなりますので、労務の中でも責任者クラスを採用したい場合には、社労士資格保有者も優先的に探してみましょう。

労務と人事・総務との違い

労務と似た仕事に、人事・総務があります。どちらもバックオフィス業務として会社を裏から支える仕事ですが、それぞれの業務内容や向いている人には違いがあります。

また、会社によっては労務の仕事を兼任していたり、人事部の中に労務担当者がいたりする場合もあったりします。

このように非常に近い業務ですが、具体的にどのような違いがあるか知っておきましょう。繰り返しますが、採用活動をするにあたって、どの業務を担当してもらう人を採用するか?その業務にはどのような人が向いているかを明確にすることが大事です。

労務と人事の違い

労務と人事は、同じ会社の人材に関わる仕事で、実際に人事部の業務の1つとして労務管理があり、人事部のみしか存在しない会社も多くあります。また、「人事・労務」として同じ部署になっている場合も多いです。

しかし、実際には業務内容も違い、向いている人の特徴も違いますので、人事部の中で労務担当者を採用する際も、通常の人事の採用と同じ条件で募集することは避けておきましょう。

スクロールできます
職種業務の違い向いている人
労務勤怠管理
給与計算
入退社手続き
就業規則の作成
など
事務処理能力
正確性
責任感
法律知識
など
人事採用活動
人材育成・教育
評価制度の設定
など
コミュニケーション能力
面倒見が良く共感力がある
スケジュール管理能力
会社に対する理解
など

労務は事務処理が多い仕事になりますが、人事では人と触れ合う機会が増えますので、コミュニケーション能力の高さや人柄の良さがより一層求められます。

労務と総務の違い

労務と同じバックオフィス業務として、総務の仕事があります。労務は従業員の給与関連の管理・計算が主になりますが、総務では会社の設備や備品の管理が主な業務になります。

総務は言い方を変えると、会社の何でも屋のような立ち位置になっていることも多く、会社組織として労務を行う部署がない場合には、総務内で労務担当者が就いている場合もあります。

スクロールできます
職種業務の違い向いている人
労務勤怠管理
給与計算
入退社手続き
就業規則の作成
など
事務処理能力
正確性
責任感
法律知識
など
総務備品管理・購入
職場環境の整備・管理
社内行事の企画・運営
など
コミュニケーション能力
事務処理能力
スケジュール管理能力
会社に対する理解
など

労務はバックオフィスの中でも給与や会社の法律に関わる分野での業務になりますので、正確性や責任感、法律知識が求められます。

一方、総務はどのような依頼に対しても素早く動けて、マルチタスクも円滑にこなせることができる器用さが求められます。

労務に向いている人は?労務として採用したい人の特徴section 04

ここまで何度か触れてきましたが、会社に貢献してくれる優秀な労務として採用するのであれば、適した人物を見極めて採用できるようにしましょう。こちらの項目では、労務に向いている人の特徴についてご紹介します。

事務処理能力に優れている人

労務の仕事では、基本的に1日中パソコンや書類などと向き合うデスクワークが主になります。最低限のパソコン能力や書類確認などの業務に適性がないと、単調な仕事・細かい仕事に苦痛を感じてしまうこともあるでしょう。

また、労務管理システムを導入している会社も多いので、パソコンスキルやITリテラシーの高さもあればあるだけ業務に馴染みやすくなるでしょう。

後述するようなMOS等の資格を持っていることで、事務処理能力の高さを証明することができます。

細かいチェックができて正確性がある人

単に事務作業ができるだけではなく、責任を持って正確に業務を行ってくれる方でないと労務の仕事に支障が出てしまいます。労務は従業員の給与や納税、年金などに関わる重要な業務であるため、「ちょっとズレがあっても仕方ない」などの考えの方には任せることはできません。

1円単位・1分単位の細かい計算をする機会もありますし、役所に提出する正確な書類を作成・確認する場面もあります。

法律に興味・関心がある人

労務の仕事では、労働基準法や社会保険関連法、税法などの法律が関わってきます。

採用するにあたって、法律の知識は必須ではありませんが、法律に興味がある方であれば、日頃の業務で法律に関わる機会が多い仕事ですので、意欲的に働いてもらいやすくなるでしょう。

後述する社会保険労務士の資格であれば、働きながら取得する人も多いので、労務の中でも責任のある立場の人材を募集する場合には、法律知識の有無もしっかり確認しましょう。

コミュニケーション能力も求められる

事務作業が多く、人と触れ合う機会が少ないと考えられがちな労務の仕事ですが、ある程度のコミュニケーション能力は求められます。

上記でもお伝えしたように、人事部での業務の1つとして労務の採用をするケースもあり、場合によっては人事の仕事も兼任・担当することも出てくるでしょう。

従業員から年末調整や納税に関する質問をされる機会もありますし、外部の社労士や弁護士などと打ち合わせをするようなこともあります。

組織の中で働く以上、人と触れ合う機会は避けられませんので、コミュニケーション能力の高さや人柄の良さはあればあるだけ円滑に仕事が進めやすくなりますので、面接等でその人と一緒に働きたいかどうかも判断されてください。

労務の仕事に役に立つ資格section 06

労務の仕事に向いているかを分かりやすく判断するためには、求職者が持っている資格にも注目しましょう。また、労務の仕事に関する知識やスキルを習得できる研修を提供することで、既存社員に対しても有能な労務担当者として活躍を期待することができるようにもなります。

社会保険労務士

通称、社労士とも呼ばれる社会保険労務士は、労務に関する法律知識を極めた国家資格と言えます。合格率は10%程度と低いですが、労務での実務を行いながら資格取得を目指している方も多いです。

社労士資格を持っている方は、士業での独立開業ができますし、コンサルティング業務で役に立てることもできる優秀な人材だと判断できます。

労務の責任者にも抜擢できるほどの資格保有者ですので、応募があった際には積極的に採用を検討しましょう。

労務管理士

労務管理士とは、まさに労務管理のスペシャリストであることを証明するための資格です。民間資格のため、社労士資格よりも知名度は劣りますが、労務で働く分には十分アピールできる資格です。

労務で長く働いている方は、会社の研修等を通して労務管理士の資格取得している方もいます。

MOS(マイクロソフトオフィススペシャリスト)

マイクロオフィススペシャリストは、通称MOS(モス)と呼ばれ、世界基準で信頼される国際資格です。現在は、どの企業でもパソコンで情報を管理している時代ですが、中でも、WordやExcelは日常的によく使う人も多いのではないでしょうか。

マイクロオフィススペシャリストの資格は、すべてのソフトごとに存在しています。階級自体も、スペシャリスト・エキスパートなどに分かれていて、上級のエキスパート保有者であれば、Word・Excelの様々な機能を使って業務改善・効率化をしてくれることも期待できます。

メンタルヘルスマネジメント

労務の仕事よりも人事での仕事で役立つことが多い資格ですが、メンタルヘルス・マネジメントの資格を持っていることで、従業員の心のメンテナンスをすることができます。会社の人材に関わる人事・労務の仕事では、重宝される資格です。

資格の種類は、Ⅲ種、Ⅱ種、Ⅰ種の3段階があります。Ⅲ種が一番取りやすく、Ⅰ種が一番取りにくいです。労務担当者の中でも、従業員向けの相談窓口や労働環境改善などを担当する方に適した資格です。

まとめ

従業員を雇う会社であれば、給与計算や勤怠管理等は必ず行う必要がある業務ですね。これらの業務は労務担当者が行います。業務内容を端的に言うと、裏方の事務作業が主になりますが、従業員の給与や税金にも関わる重要な業務であるため、担当者には正確性や責任感も求められます。

労務担当者を採用する際には、次の内容を参考にしてください。

採用の傾向コロナ禍が落ち着き求人・求職者も増加
人事・総務の応募と一緒にすることが多い
外注やパートで労務管理を代用することもある
求める人物像事務処理能力に優れている人
細かいチェックができて正確性がある人
法律に興味・関心がある人
コミュニケーション能力も必要
労務に役立つ資格社会保険
労務士
労務管理士
MOS
メンタルヘルスマネジメント
給料の相場年収:300万円〜400万円前後
月収:30万円前後
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上場支援、CGコードの体制構築などに長けた、専門性の高い「弁護士」を社外取締役候補としてご紹介。事業成長とガバナンス確保両立に、弁護士を起用したい企業様を支援している。

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