中途採用の給与の決め方|失敗しないために押さえる要点と失敗パターンも解説

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中途採用をしようとした場合、採用する人の給与の決め方に頭を悩ませてしまいますよね。特に中途採用であれば、年齢や職歴等もバラバラになってしまうため、一律で決めることも難しく、さまざまな要素を加味して決めていく必要があります。

こちらの記事では、中途採用の給与の決め方の4つのポイントと注意点、給与を決めてから採用に至るまでの主な流れについて解説します。

いいかげんに中途採用の給与を決めてしまうと、採用する人だけでなく、今いる社員からも不満の声が上がってしまう理由にもなり得ますので、中途採用を検討している担当者の方は、自社の給与を決める参考にしてみてください。

目次
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中途採用の給与の4つの決め方section 01

中途採用の給与を決める際には、次の4つのポイントを抑えて決めてみてください。

なお、どれかだけで決めてしまうと、偏りが出てしまったり、相場よりも高すぎ・低すぎる給料になってしまったりしますので、さまざまな要素を加味して総合的に給与を決めていきましょう。

  • 自社との比較
  • 前職との比較
  • 競合他社との比較
  • 実績や経歴

自社の相場を参考にする

中途採用の給料を決める場合、まず参考にすべきは自社の相場ですね。採用する方の同じ業務や同じ役職で働く人の給与を目安にしましょう。長年働いてくれた既存社員の給与をいきなり抜いてしまうと、不平不満に思われる部分があるため、その金額以内で決めることが多いです。

ただし、自社との比較だけでは客観性に乏しく、他社と比べて給与が低過ぎて応募がほとんど来なかったり、反対に高過ぎて、業務内容に対して支払い過ぎてしまったりするようなことが起こり得ます。

自社だけでなく次の要素も加味して給与を決めていきましょう。

前職の給与を参考にする

前職より給与が低くなってしまうと、採用した人から不満が出てしまうことが予想されますし、そもそも応募も少なくなってしまうでしょう。

あらかじめ求人票で記載していた金額であれば、給与以外に何か魅力に思える部分を感じて応募してくれた方ですから、無理に高くする必要はありませんが、求人票の給与に幅を持たせている場合には、最終的な給与の決定も慎重に行いましょう。

入社時の給与が前職より低くなるようであれば、内定辞退にも繋がります。

競合他社を参考にする

前職と同様に、同様の業務や同業他社の給与も参考にしてみてください。上記と同じ理由で、同様の応募の中で自社の給与だけが低い結果になれば、応募も来ませんし、来たとしても他社で採用されなかった人材ばかりになってしまいます。

実績や経歴を加味する

中途採用の給与を決める場合、周りの給与を参考にするだけでなく、採用する方の能力にも応じて給与を決めるべきでしょう。

能力がある方を低い給与で働かせてしまうと、すぐにまた転職されてしまうような結果を招いてしまいます。

例えば、資格保有によって分かりやすくスキルを証明できる人であれば、資格手当を設定するなどして、きちんと給与が上がるルールを作っておくことで、不平不満も出にくくなるでしょう。

中途採用の給与以外に決めておくことsection 02

中途採用をする際に給与を決めておくことは大事ですが、給与だけ決めれば良いということはありません。給与以外にも次の内容をしっかり練って決めておくことで、内定自体や早期退職、会社への不満の発生等を防ぐことができます。

評価基準と昇給基準

入社時の給与に納得してもらえたとしても、働く中で評価もされず昇給も見込めない状態が続くと労働者の不安・不満は募っていきます。

自社では、入社後にどのような評価制度を設けており、どのようにして昇給していくかの給与が上がる仕組みについてもきちんと説明できるようにルールを明確にしておきましょう。

反対に、入社時の給与は低くてもしっかり結果を出すことで給与が上がりやすい企業だと理解してもらえれば、今の給与が低くても入社してもらえる可能性を高められます。

ボーナスや退職金、手当などの金銭の決まり

社員に支払う賃金は給与だけではありません。ボーナスや退職金、手当などの賃金も判断して求職者は応募・入社してくれます。

基本的にこれらの賃金は会社の任意で決めて支払うものですから、しっかり取り組んでいるようであれば、求人票等でも積極的にアピールすべきでしょう。

その他の採用条件

求人を出す際におおよそ決めているでしょうが、採用する方の能力に応じて明確にしておきましょう。

  • 勤務地
  • 担当部署
  • 業務内容
  • 労働時間
  • 休日数 など

入社する条件として、給与以外に働きやすさやワークライフバランスの良さを気にしている求職者も多いです。

有給は取りやすいか?休日出勤や残業はどれくらいなるのか?などまでおおよそ把握しておき、きちんと説明できるようにもしておきましょう。事前に説明した内容と入社後の働き方に大きな違いがある場合には、早期退職や不平不満にも繋がりますので、現状をしっかり把握して正直に伝えることをおすすめします。

これらの内容は、社内規則や既存社員の働き方を基準に決めることが多くなるでしょう。

中途採用の給与を決める時に起きやすいトラブルsection 03

満足してもらえるために給与を高く設定すれば良いというような単純な話ではありません。給与を高く設定しすぎることで、単純に人件費を圧迫してしまうことになりますし、他の社員からの反感を買う可能性が出てきます。

こちらでは、中途採用の給与を決めた後に起こり得る問題点についてご紹介しますので、次の問題に直面しないように慎重に給与を決めていきましょう。

給与を高く設定しすぎて後から下げられない

一度決めた給与を、会社の判断で一方的に下げることはできません。

(労働契約の内容の変更)

第八条 労働者及び使用者は、その合意により、労働契約の内容である労働条件を変更することができる。

労働契約法8条

労働条件を変える場合には、労使双方の合意が必要ですが、「今のままだと高すぎるから給与を下げたい」という会社の言い分を素直に受け入れてくれる労働者はほとんどいないでしょう。

強行しようとした結果、労働者との間にトラブルが生じてしまいますし、離職にも繋がることとなるでしょう。会社として一度上げた給与を下げにくいので、最初から給与が高すぎることで無駄なコストをかけ続けてしまう原因にもなり得ます。

既存社員と差がありすぎて反発にあう

会社としては個々の社員の給与を非公開にしていても、社員間で共有したりしているものです。中途採用で入ってきた方が、今まで何年も働いてきた方の給与を上回っていた場合、既存社員からの反感を買ってしまいます。

2人増員する話が出たので、興味本位で会社が出したハローワークの求人を確認した所、私より数万円給料が高い事が分かりました。 私と同じ部署で全く同じ仕事内容です。 全く同じ仕事で後から入社した人が自分より給料が高いなんて正直納得出来ません。

Yahoo!知恵袋

中途採用する方の経歴や転職市場の動向によっては、どうしても既存社員より給与を高く決めておかないといけない場面も出てきてしまうでしょう。

中途採用者の給与は高い状況をそのままにしておくと、社員から不満が出てきて、さらには離職者を複数出してしまうようなことも起こり得ます。

どうしても中途採用の給与が高くなってしまう場合には、評価制度を見直したり、既存社員にも面談を実施したりするなどして、フォローの場を作っておく必要があるでしょう。

求人情報の内容に認識の違いが起きる

採用活動の第一歩として、採用条件・労働条件を決めて求人票に記載するところから始まるでしょう。中途採用では、職歴・資格・年齢など様々な人材が応募することが予想されるため、給与などの記載にある程度の幅を持たせていることも多いでしょう。例えば、月給25万円〜50万円といった形です。

会社としてはできる限り自社を良い条件で見せたいと思っていますし、求職者は良い条件の方に期待をしてしまうような事態も起こり得ます。

最終的には会社の提示した条件で入社することになりますが、説明が不十分なまま入社が決まると、採用者からの期待値だけが高すぎて現実の条件との間にギャップを感じてしまい、不満や早期退職に繋がってしまう原因にもなり得ます。

入社前には、採用する方にしっかり理解をしてもらえるために懇切丁寧にすり合わせをしておく必要があります。

失敗しないための中途採用の給与を決めるまでの主な流れsection 04

ここまでご説明したように、あまり考えずに中途採用を決めてしまうことで、求人を出しても応募が来なかったり、入社後に不満が出てきたりしてします可能性を高めてしまいます。

上記のような失敗を防ぐためにも、しっかり計画を立てて中途採用の給与を決めていきましょう。こちらでは、失敗しないための中途採用の決め方の主な流れについて解説します。

求人票に記載する給与の決定

求人票の募集要項には給与を記載する欄があります。求職者も給与を基準に転職先を決めることが多いので、ここまで説明した内容の通り、様々な観点から記載する金額を決めていってください。

求人票の募集要項に記載する給与額は、基本的に基本給+各手当を合計した額面を記載します。残業が多い会社であれば、残業手当込みの高い金額が記載する給与額の上限になることもあるでしょうが、実際の手取りはそこから大きく下がります。

上でも触れましたが、求職者は募集要項の給与額をそのまま手取りで貰えると勘違いをして応募してくるケースも考えられるため、「どのような手当がある場合にいくらになるのか」などの内訳をきちんと説明できるようにもしておきましょう。

面接時の確認やすり合わせ

面接では、求職者に直接給与の話を聞き出す絶好のチャンスです。給与決定に関する失敗の1つとして、会社と求職者の認識の違いがあるとお伝えしましたが、直接話していくことでお互いの考えを近づけていくことができます。

給与の話題が出た際にしっかり答えられるように、募集要項に記載した金額の根拠や内訳、入社時に支払われる金額などをしっかり説明できるようにしましょう。

また、経歴や保有資格などが優秀な人材であれば、前職の給与を聞き出して、それを元に給与等の交渉を行ってみることで入社率を高めることもできます。

「給与のことには聞きにくい」と考えている求職者も少なくありませんので、「給与に関して質問はありますか?」と、給与に限定した逆質問を投げかけてみても良いでしょう。

雇用条件の確認と明示

企業が求職者を採用する場合、自社の雇用条件を明示しなくてはなりません(参考:厚生労働省)。

一般的には「労働条件通知書」によって労働条件を明示しますが、ある程度の規模の会社になれば、「雇用契約書」の中で明示されている場合もあります。明示する労働条件は主に次の通りです。

  • 労働契約の期間
  • 就業場所および業務内容
  • 始業と就業の時間
  • 休憩や時間外労働、休日などの決まり
  • 給与の計算方法と支払い方法、賃金の締切日・支払日、昇給について
  • 退職や解雇に関する決まり

上記で伝える内容は口頭で伝えられることが多いので、書面にして明示することが義務付けられています。このような形できちんと労働条件を確認と納得をしてもらうことで入社を決めることができます。

まとめ|中途採用の給与を決める上で大事なこと

中途採用では、年齢・経歴などがバラバラであるため、一律で給与を決めにくい場合があります。次の3点に特に気を付けて給与を決めるようにしましょう。

①自社基準だけでなく色々な観点から金額を決めていく

自社基準だけで決めてしまうと、応募が来ないようなこともありますので、視点を広げて、同業者や求職者の前職の給与も参考にしましょう。

②給与を決める際には根拠を持って慎重に

採用を急いで給与を高くし過ぎると、後から下げにくかったり、既存社員からの反感を買ったりします。給与を決める際には、周囲にも理由をきちんと伝えられる根拠を持って決めなくてはなりません。

③採用する人とのすり合わせと労働条件の明示をしっかり行う

会社と求職者の間に給与の認識の違いがないかどうかをしっかり確認することも大切です。求人票には手当込みの額面を記載して応募しますが、その金額をそのまま貰えると勘違いしたまま入社してくる方も少なくありません。

社員の入れ替わりが激しい会社であればあるほど、とりあえずの給与で応募して、とりあえず採用して…と、採用に関して準備不足であることも多いです。

しっかり人材を固めて会社を基盤から強くするためには、社員1人1人の給与の決め方も大切です。本記事を参考にしながら、これから採用する方の給与をしっかり決めていきましょう。

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上場支援、CGコードの体制構築などに長けた、専門性の高い「弁護士」を社外取締役候補としてご紹介。事業成長とガバナンス確保両立に、弁護士を起用したい企業様を支援している。

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