弁護士の転職先おすすめ8選|年代別の選び方と失敗しないためのポイントを解説

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弁護士としてのキャリアに区切りをつけたい、あるいは今の環境を変えて新しい働き方を模索したいと考えている方は増えています。しかし、いざ転職を考えると「弁護士の経験を活かせる転職先はどこか」「年齢的にどんな選択肢が現実的なのか」が分からず、動き出せないまま時間だけが過ぎるケースも少なくありません。

この記事では、弁護士から転職しやすい8つの転職先を軸に、インハウスローヤーとして狙いやすい業界、法律とは異なる職種への転身、年代ごとの転職戦略までまとめています。転職先選びで後悔しないためのポイントや、転職と独立で迷ったときの判断基準にも触れていますので、キャリアの方向性を考える材料にしてみてください。

目次
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弁護士におすすめの転職先8選

弁護士の転職先は、法律事務所間の移籍だけではありません。企業法務、金融、コンサルティング、公務員など、弁護士資格や実務経験を評価してくれるフィールドは幅広く存在します。ここでは、弁護士からの転職先として実際に選ばれることの多い8つの分野を紹介します。

一般民事系法律事務所

現在の事務所に不満はあるが弁護士の仕事自体は続けたいという方にとって、別の一般民事系事務所への移籍は最もハードルの低い選択肢です。

一般民事系の事務所は、離婚、相続、交通事故、債務整理、労働問題など、個人のクライアントが抱える法律トラブルを幅広く扱います。事務所の規模や方針によって働き方はかなり異なるため、今の環境が合わないからといって一般民事そのものを諦める必要はありません。

たとえば、大量の案件を高速で処理するスタイルの事務所もあれば、1件ずつ丁寧に向き合う方針の事務所もあります。事務所選びの段階で、取扱い分野の比率や案件の進め方、ボス弁の考え方をしっかり確認することが、同じ失敗を繰り返さないコツです。

企業法務・渉外系法律事務所

一般民事から企業法務に軸足を移したい方や、より専門性の高い領域に挑戦したい方にとっては、企業法務系・渉外系の法律事務所が選択肢に入ります。

企業法務系の事務所では、M&A、ファイナンス、知的財産、独占禁止法、国際取引など、ビジネスに直結する案件を扱います。クライアントは法人が中心で、個人案件特有の感情的なやり取りが少ない点をメリットに感じる方もいます。

ただし、大手の企業法務系事務所は労働時間が長い傾向にあり、「ワークライフバランスを改善したい」という動機での転職には向きません。年収水準は一般民事系より高めですが、その分だけ求められる成果やスキルのレベルも上がります。英語力を求められるポジションも多いため、渉外案件を視野に入れるなら語学力の準備も必要です。

一般企業の法務部門(インハウスローヤー)

弁護士からの転職先として、近年最も勢いがあるのがインハウスローヤーです。日本組織内弁護士協会(JILA)の調査によると、企業内弁護士の数は年々増加を続けており、2024年時点で3,000人を超えています。

インハウスローヤーの仕事は、契約書のレビュー、社内法務相談、コンプライアンス体制の構築、訴訟対応の窓口など多岐にわたります。法律事務所勤務と大きく異なるのは、「自社のビジネスを守り、成長させる」という当事者の立場で法務に取り組める点です。

働き方の面でも、企業の就業規則に準じるため、法律事務所と比べて労働時間が安定しやすいです。福利厚生が充実している企業も多く、長時間労働やクライアント対応の疲弊から距離を置きたい方にとっては有力な選択肢になります。

金融機関(銀行・証券・ファンド)

金融機関は、弁護士の法務知識と論理的思考力を高く評価する業界です。メガバンクや証券会社の法務部門、コンプライアンス部門では、弁護士経験者を積極的に採用しています。

投資ファンドやアセットマネジメント会社では、投資案件のリーガルチェックやストラクチャリングに関わるポジションがあります。弁護士時代にファイナンス関連の案件を扱っていた方であれば、即戦力として期待されます。

金融業界の年収水準は全体的に高めで、弁護士時代の報酬を維持、あるいは上回るケースも珍しくありません。一方で、金融規制は頻繁に変わるため、常にキャッチアップし続ける姿勢は求められます。

コンサルティングファーム

コンサルティングファームは、弁護士のスキルセットと親和性が高い転職先です。複雑な課題を構造的に整理し、ロジカルに解決策を導くという点で、弁護士の業務とコンサルタントの業務は思考の型が似ています。

特に、規制対応やリスクマネジメント、コンプライアンス分野のコンサルティングでは、法律の専門知識がそのまま武器になります。M&Aアドバイザリーでも、デューデリジェンスの経験がある弁護士は重宝されます。

大手ファームであれば年収は高い水準ですが、プロジェクトの繁閑によっては法律事務所並みの激務になることもあります。「働き方を改善したい」という理由で転職する場合は、入社後の稼働実態を事前に確認しておくべきです。

特許事務所・法律特許事務所

知的財産に関心がある弁護士にとって、特許事務所や法律特許事務所への転職も選択肢の一つです。弁護士資格を持っていれば、知的財産に関する訴訟代理や契約交渉を担当でき、特許紛争の分野では弁護士の存在感が大きいです。

理系のバックグラウンドがある弁護士であれば、技術的な理解を強みに差別化できます。弁理士資格も併せて取得すれば、出願業務から紛争解決までワンストップで対応できるため、市場価値はさらに上がります。

特許事務所は専門性が高い分、業務内容が限定される面もあります。幅広い法律業務に携わりたい方よりも、知財分野を極めたいという明確な意志がある方に向いています。

任期付公務員(自治体・省庁)

あまり知られていませんが、国や自治体が弁護士を任期付職員として採用するケースが増えています。総務省や法務省、金融庁といった省庁のほか、地方自治体の法務担当として採用されるポジションもあります。

公務員としての勤務は、法律事務所や民間企業と比べて労働時間が安定しやすく、福利厚生も手厚いです。行政の現場で政策立案や法令解釈に関わる経験は、弁護士としてのキャリアにも新しい視点をもたらしてくれます。

任期は通常2〜5年程度で、任期満了後に弁護士業務に復帰する方もいます。長期的なキャリアとして定着するわけではないものの、「一度立ち止まって、違う角度から法律に関わりたい」という方にはフィットする選択肢です。

スタートアップ・ベンチャー企業

スタートアップやベンチャー企業は、弁護士にとって刺激的な転職先です。法務の専門家がまだ社内にいない段階の企業では、法務体制をゼロから構築する役割を任されることもあります。

事業の成長スピードが速いため、契約交渉、資金調達、規制対応、IPO準備など、短期間で多様な業務を経験できます。法務担当としてだけでなく、経営企画や事業開発に関わるケースも多く、「ビジネスの当事者として働きたい」という方には向いています。

一方で、スタートアップは組織体制が整っていない場合が多く、弁護士以外の業務も求められます。安定性という面では法律事務所や大手企業に劣るため、リスクを取れるかどうかが判断の分かれ目です。

インハウスローヤーとして転職するならどの業界?おすすめ業界7選

インハウスローヤーへの転職を検討する際、「どの企業に入るか」だけでなく「どの業界を選ぶか」が重要になります。業界によって求められる法務の知識領域や働き方が異なるため、自分の経験や志向に合った業界を選ぶことが、転職後の満足度を大きく左右します。

IT・テクノロジー業界

IT業界はインハウスローヤーの採用が最も活発な業界の一つです。個人情報保護法やデータ規制の強化、AIに関連する法整備の動きなど、法務リスクが年々複雑化しており、社内で法的判断ができる人材へのニーズが高まっています。

業務内容は、プライバシーポリシーの策定、利用規約の作成・更新、SaaS契約のレビュー、知的財産の管理など幅広いです。サービスの開発段階から法務が関与することも多く、事業にダイレクトに貢献している実感を得やすい環境です。

IT業界はリモートワークやフレックスタイムを導入している企業が多く、柔軟な働き方を求める弁護士にとっても魅力的です。

金融業界

金融業界の法務部門は、弁護士経験者の採用に積極的です。銀行、証券会社、保険会社、信託銀行、リース会社など、業態ごとに異なる規制体系があるため、法務の専門性が求められます。

金融商品取引法、銀行法、保険業法など、金融特有の規制法令に精通していることが望ましいですが、弁護士として契約法務や紛争対応の経験があれば、入社後にキャッチアップできる範囲です。

年収水準が高い企業が多い点も金融業界の特徴です。特にメガバンクや大手証券会社では、弁護士時代の報酬に遜色ない条件を提示されることもあります。

不動産業界

不動産業界では、不動産取引や開発プロジェクトに伴う法務ニーズが大きいです。大手デベロッパー、不動産ファンド、REIT運営会社などで、インハウスローヤーを置く企業が増えています。

不動産の売買契約、賃貸借契約、開発許認可、環境規制への対応など、扱う法律分野は広範囲にわたります。1件あたりの金額が大きいため、契約交渉やリスク管理で弁護士としての判断力が直接的に活きます

不動産に関わる案件を法律事務所で経験してきた方であれば、業界の商慣習にも馴染みやすく、スムーズに立ち上がれるはずです。

総合商社

総合商社は、事業領域がグローバルかつ多岐にわたるため、法務部門の守備範囲も非常に広いです。国際取引、投資、ジョイントベンチャー、紛争解決など、商社の法務担当者が関わる案件のスケールは大きいです。

英語を使う機会が多いため、渉外案件の経験がある弁護士や、英語力に自信がある弁護士にとっては特に相性が良い業界です。海外駐在のチャンスもあり、グローバルに活躍したい方にとってはやりがいのある環境です。

商社の法務は、事業部門と二人三脚で動く場面が多く、ビジネスの最前線に近いポジションで働けます。「法律の専門家として閉じた世界にいるのではなく、事業を動かす側に回りたい」という方に向いています。

メーカー

製造業の法務部門は、知的財産、製造物責任、国際取引、独占禁止法など、業界特有の法務課題を抱えています。大手メーカーでは法務部門の体制が充実しており、弁護士経験者を採用するケースが増えています。

メーカーの法務は、製品の企画段階から販売後のアフターサービスまで、事業のライフサイクル全体に関わります。技術部門や営業部門との連携も多く、法務だけに閉じない幅広い業務経験を積めます

労働時間は比較的安定している企業が多く、長く働き続けられる環境を求める方にとっては魅力的な選択肢です。

製薬・ヘルスケア業界

製薬・ヘルスケア業界は、薬機法をはじめとする規制が厳しく、法務やコンプライアンスの専門人材を必要としています。新薬の開発・承認プロセスや、医療機器の販売規制など、業界特有の法律知識が求められます。

この業界の法務は、規制当局との折衝や、臨床試験に関する契約管理、ライセンス契約の交渉なども担います。専門性が高い分、他業界の法務経験者との差別化がしやすく、希少価値のあるポジションを築ける可能性があります。

製薬会社は年収水準が高い傾向にあり、福利厚生も充実しています。規制対応や知財管理に興味がある弁護士にとっては、長期的にキャリアを築きやすい業界です。

M&A仲介・アドバイザリー

M&A仲介やアドバイザリー企業では、弁護士の法務知識とデューデリジェンスの経験が直接的に活かせます。M&Aの案件では、法的リスクの洗い出しや契約交渉のプロセスで弁護士が果たす役割が大きいためです。

弁護士として法律事務所でM&A案件に関わっていた方は、アドバイザリーの実務にスムーズに移行できます。法務だけでなく、案件のソーシング(案件開拓)やクライアントリレーションにも携わるため、営業力やコミュニケーション力も磨かれます。

成果報酬型の報酬体系を採用している企業も多く、実績次第では弁護士時代を大きく上回る収入を得られる可能性もあります。

弁護士以外の職種への転職

弁護士資格を活かしつつも、法律実務そのものから離れたいという方もいるはずです。弁護士としての経験で培った論理的思考力、文章力、調査能力は、法律以外の分野でも十分に通用します。

経営コンサルタント・戦略コンサルタント

弁護士とコンサルタントは、求められる思考のプロセスが似ています。複雑な状況を整理し、論点を抽出し、筋の通った解決策を提示するという流れは、弁護士業務で日常的にやっていることです。

戦略コンサルタントとして転身する場合、法律の知識に加えて、ビジネスや経営への関心が問われます。コンサル未経験の弁護士を採用する大手ファームもありますが、ケーススタディへの準備やビジネス感覚のアピールは欠かせません。

法務系のコンサルティングであれば、弁護士の専門性をそのまま武器にできます。規制対応やガバナンス構築のコンサルティングは、法律事務所でのアドバイザリー業務に近い部分が多いです。

司法試験予備校講師・法律教育分野

司法試験の受験勉強に長い時間を費やしてきた弁護士は、その経験と知識を教育の場で活かすこともできます。司法試験予備校の講師は、弁護士からの転身先として一定の需要があります。

「人に教えることが好き」「法律の面白さを伝えたい」という気持ちがある方にとっては、やりがいのある仕事です。法科大学院の教員や、企業向けの法務研修講師という道もあります。

収入面では弁護士時代より下がる可能性が高いですが、労働時間のコントロールがしやすく、ワークライフバランスを重視する方には合っています。予備校によってはオンライン授業が中心のところもあり、場所に縛られない働き方も実現しやすいです。

法律ライター・リーガルメディア編集者

法律に関する知識を活かして、ライティングや編集の仕事に転身する弁護士もいます。リーガルメディアの編集者や、法律記事のライター、法律書籍の執筆などが代表的な仕事です。

弁護士の強みは、法律の内容を正確に理解したうえで、一般の読者にも分かりやすく伝えられることです。法律の専門家が書いた記事は信頼性が高く、メディア運営者側からの需要は安定しています。

フリーランスとして活動すれば、弁護士登録を維持しながら執筆業を並行することも可能です。すぐに本業として成立する収入を得るのは難しいため、副業として始めて徐々に軸足を移していくのが現実的な進め方です。

税理士・弁理士

弁護士資格を持っていると、税理士や弁理士として登録することが可能です。これは弁護士法に基づく制度で、別途試験を受ける必要がありません。

税務分野に関心がある弁護士であれば、税理士として活動することで業務の幅が広がります。相続案件や事業承継案件では、法務と税務の両方が絡むことが多く、ワンストップで対応できることは大きな強みです。

弁理士として知的財産の分野に進む場合も同様で、特許出願から紛争解決まで一貫して対応できるため、クライアントからの信頼を得やすいです。ただし、税務にせよ知財にせよ、実務経験のない分野に進む場合は、一定の学習期間と実務のキャッチアップが必要です。

【年代別】弁護士の転職先の選び方

弁護士の転職は、年齢によって取り得る選択肢や企業側の期待値が変わります。年代ごとの特徴と、転職先を選ぶ際のポイントを整理します。

20代弁護士の転職

20代の弁護士は、転職市場において最も選択肢が広い世代です。経験年数が浅い分、特定の分野に縛られていないため、未経験の業界や職種にもチャレンジしやすい時期です。

企業側も20代の弁護士に対しては、即戦力よりもポテンシャルを重視する傾向があります。コンサルティングファームやスタートアップなど、法律以外の領域への転身を考えるなら、20代のうちに動くほうが有利です。

ただし、弁護士としての経験が浅いまま転職すると、法務の専門性が中途半端な状態になるリスクもあります。「もう少し経験を積んでからのほうがよかった」と後悔しないよう、今の環境で得られるスキルと、転職先で求められるスキルを冷静に比較してください。

30代弁護士の転職

30代は、弁護士としての実務経験を十分に積んだうえで、次のキャリアを選べる時期です。企業法務、金融、コンサルティングなど、専門性を活かした転職がしやすく、年収を維持しながらキャリアチェンジできる可能性が最も高い世代です。

インハウスローヤーとしての転職を考えるなら、30代は最も需要が高い年齢層です。即戦力として期待されるため、入社後すぐに責任あるポジションを任されることも珍しくありません。

30代の後半になると、マネジメント経験の有無が評価に影響するケースが出てきます。法律事務所で後輩の指導やチーム運営に関わった経験があれば、転職市場でもアピールポイントになります。

40代弁護士の転職

40代の弁護士は、専門性と経験値の高さが評価される一方で、転職先の選択肢は30代に比べて狭まります。企業の法務責任者やマネジャーポジションなど、管理職レベルの求人がメインになります。

40代で転職する場合は、「何ができるか」だけでなく「何を成し遂げてきたか」の実績が問われます。大型案件のハンドリング経験、部門の立ち上げ経験、経営層との折衝経験など、具体的な成果を示せるかどうかがポイントです。

年収面での期待値が高い分、企業側もシビアに選考します。転職活動が長期化する可能性も想定しておく必要があります。

50代弁護士の転職

50代の転職は、正直なところ選択肢が限られます。企業がインハウスローヤーとして50代を新規採用するケースは多くはなく、一般的な転職市場では不利な面があります。

ただし、特定分野の第一人者と呼べるレベルの専門性を持っていたり、広い人脈を活かせるポジションがあれば、話は別です。顧問弁護士や社外取締役、アドバイザリーボードのメンバーなど、経験と信頼で勝負できる役割は存在します。

50代での転職を考えるなら、通常の求人サイトだけに頼らず、これまでの人脈を通じた紹介や、弁護士に特化した転職エージェントの活用が有効です。独立開業も含めて、雇われる以外の道も視野に入れて検討してみてください。

転職先選びで失敗しないための5つのポイント

弁護士からの転職は、一般的な転職とは異なる判断基準が必要です。せっかく転職しても、入社後に「思っていたのと違う」とならないよう、以下の5つのポイントを押さえておいてください。

転職の目的を明確にし、優先順位をつける

転職を考えるきっかけは、人によって異なります。長時間労働から逃れたいのか、年収を上げたいのか、やりがいのある仕事に就きたいのか。複数の理由が重なっていることがほとんどですが、すべてを同時に満たす転職先は存在しないと考えたほうが現実的です。

「絶対に譲れない条件」と「あればうれしい条件」を分けて整理してみてください。優先順位がはっきりしていれば、複数のオファーを比較する際に判断がブレにくくなります。

目的が曖昧なまま転職活動を始めると、条件の良さだけで飛びついて、入社後に根本的なミスマッチに気づくことになりかねません。

自分の専門性・強みを棚卸しして言語化する

弁護士は「法律の専門家」と一括りにされがちですが、実際には取扱い分野によって身につくスキルはまったく異なります。M&Aをやってきた弁護士と、家事事件を中心に扱ってきた弁護士では、強みも適性も違います。

転職活動を始める前に、自分がどの分野でどんな経験を積んできたのかを棚卸ししてみてください。弁護士以外の人にも伝わる言葉で言語化することが重要です。「デューデリジェンス経験があります」だけでなく、「年間○件のM&A案件で、法的リスクの洗い出しから契約交渉まで一貫して担当しました」と具体的に言えるかどうかで、面接の通過率は変わります。

年収だけで判断しない

弁護士は一般的な会社員と比べて年収が高い傾向にあるため、転職時に「今の年収を維持できるか」が大きな関心事になりがちです。もちろん収入は重要な条件ですが、年収だけで転職先を選ぶと失敗するケースがあります。

年収が高くても、法律事務所と変わらない激務だったり、業務内容に興味が持てなかったりすれば、転職した意味がなくなります。労働時間、業務の裁量、成長機会、人間関係など、年収以外の要素も含めて総合的に判断してください。

また、入社時の年収だけでなく、3年後・5年後の昇給見通しも確認しておくべきです。入社時の提示額は高くても、その後の伸びしろが小さい企業もあります。

職場のカルチャーや働き方との相性を見極める

転職先の職場カルチャーは、入社前に把握しにくい情報の一つですが、入社後の満足度に大きく影響します。法律事務所と企業では文化が大きく異なりますし、企業同士でも社風は千差万別です。

たとえば、意思決定のスピード感が速いスタートアップに、じっくり検討してから動くタイプの弁護士が入ると、お互いにストレスを感じる可能性があります。逆に、大企業の稟議文化に慣れない方もいます。

面接の場で、配属予定の部門の雰囲気や働き方について質問することは、まったく失礼ではありません。可能であれば、実際にその企業で働いている弁護士に話を聞く機会を作ってみてください。

応募先の情報収集を徹底する(口コミ・内部事情・将来性)

応募先の企業について、公開されている求人情報だけで判断するのは危険です。求人票には良いことしか書かれていないのが普通であり、実際の労働環境や社内の雰囲気は入ってみないと分からない部分が多いです。

口コミサイトの情報も参考になりますが、退職者の声に偏りやすいため、鵜呑みにはしないよう注意が必要です。できれば、転職エージェント経由で内部事情を聞いたり、業界に詳しい知人に相談したりして、多角的に情報を集めてください

企業の将来性も見落とせないポイントです。今は業績が好調でも、業界の構造変化や規制の動向によって数年後の見通しが不透明な企業もあります。自分が入社した後のキャリアがどう展開し得るかまで考えて、応募先を選んでください。

弁護士の転職活動の進め方

転職の方向性が定まったら、次は実際にどう動くかです。弁護士の転職活動は、一般的な会社員の転職とは異なるポイントがいくつかあります。

キャリアの自己分析をする

転職活動の最初のステップは、自分自身のキャリアを振り返ることです。これまでどんな案件を担当し、何が得意で、何にやりがいを感じたのか。逆に、何が苦手で、何にストレスを感じていたのか。

自己分析を丁寧にやっておくと、転職先に求める条件が自然とクリアになります。職務経歴書や面接でのアピールポイントも整理しやすくなるため、転職活動全体の質が上がります。

自分ひとりで分析するのが難しければ、転職エージェントとの面談を自己分析の機会として活用するのも手です。第三者の視点から自分の強みや市場価値を客観的にフィードバックしてもらえます。

転職軸を定める

自己分析ができたら、次に「転職軸」を定めます。転職軸とは、転職先を選ぶうえで自分が最も重視する基準のことです。

たとえば、「労働時間を減らしてプライベートの時間を確保する」を最優先にするなら、インハウスローヤーや任期付公務員が候補に入ります。「年収を上げたい」のであれば、大手事務所や金融機関、コンサルティングファームが選択肢になります。「新しい領域に挑戦したい」なら、スタートアップやリーガルテック企業が候補に挙がります。

転職軸が定まっていない状態で求人を見始めると、目移りして判断ができなくなります。多少時間がかかっても、この段階で自分の基準を固めておくことが、後悔しない転職への近道です。

転職エージェントを使って求人を探す・応募する

弁護士の求人は、一般的な転職サイトには掲載されていないものが多いです。特に、企業の法務責任者ポジションやコンフィデンシャルな求人は、転職エージェント経由でしか出回らないケースが大半です。

弁護士の転職に強いエージェントを活用すれば、自分の希望条件に合った非公開求人を紹介してもらえます。書類の書き方や面接対策のアドバイスを受けられるのもメリットです。

エージェントは1社だけでなく、2〜3社に登録して比較するのがおすすめです。エージェントによって抱えている求人が異なりますし、担当者との相性もあります。複数のエージェントを並行して使うことで、選択肢を広げつつ、情報の偏りを防げます。

転職か独立か?迷ったときの判断基準

弁護士が今の環境を変えたいと考えたとき、「転職」と「独立開業」の二択で迷う方は多いです。どちらが正解かは個人の状況によりますが、判断の軸となるポイントを整理しておけば、迷いを減らせます。

転職が向いている弁護士の特徴

転職に向いているのは、「組織の中でチームとして仕事をしたい」「営業活動には時間を割きたくない」という方です。法律事務所や企業に所属していれば、案件は組織が用意してくれます。自分の法務スキルに集中できる環境を求めるなら、転職のほうが向いています。

また、特定の業界や分野で専門性を深めたいという方にも転職は合っています。企業のインハウスローヤーとして業界に根を下ろせば、法律事務所では得られない業界知識やビジネスの感覚が身につきます。

安定した収入が欲しい方、福利厚生を重視する方にとっても、転職は堅実な選択です。

独立開業が向いている弁護士の特徴

独立に向いているのは、「自分の裁量で仕事を選びたい」「人に雇われるのが性に合わない」という方です。取扱い分野、報酬設定、働く時間、すべてを自分で決められるのは独立の最大の魅力です。

営業活動に抵抗がないことも重要な要素です。独立すれば、案件の獲得もすべて自分の責任になります。人脈づくりやマーケティングに時間と労力を割ける方でなければ、開業後に苦労する可能性が高いです。

「特定の分野に特化した事務所を作りたい」「社会的意義のある案件に絞って受けたい」という明確なビジョンがある方は、独立によってそれを実現しやすくなります。

「まず転職→将来独立」というキャリア設計の考え方

転職と独立のどちらかに今すぐ決めなければならないわけではありません。「まず転職して経験を積み、将来的に独立する」という段階的なキャリア設計も合理的な選択です。

たとえば、企業のインハウスローヤーとして数年間働けば、ビジネスの現場感覚や業界ネットワークが身につきます。その経験と人脈を持って独立すれば、法律事務所からいきなり独立するよりも、集客や案件獲得のハードルが下がります。

コンサルティングファームで経営のノウハウを学んでから独立する弁護士もいます。事務所経営には法律の知識だけでなく、マーケティングや財務管理の感覚が必要だからです。

焦って結論を出す必要はありません。今の自分に足りないものを補える環境に身を置くことが、将来どちらの道を選ぶにしてもプラスになります。

まとめ

弁護士の転職先は、法律事務所間の移籍だけでなく、企業法務、金融、コンサル、IT、公務員、スタートアップなど多くの選択肢があります。弁護士としての経験やスキルは法律事務所の外でも高く評価されるため、「弁護士を辞めたらキャリアが終わる」と考える必要はありません。

転職を成功させるうえで大切なのは、自分が何を求めているかを明確にすることです。年収なのか、働き方なのか、やりがいなのか。優先順位を決めたうえで、自分の経験や年齢に合った転職先を選んでください。

いきなり動き出すのが不安な方は、まず転職エージェントに相談するところから始めてみるのも一つの手です。自分の市場価値を客観的に知るだけでも、キャリアの見通しはずいぶん変わるでしょう。

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