監査法人で数年働くうちに「このまま監査を続けるべきか」と迷い、事業会社やFAS、税務など別の分野に目が向く公認会計士は少なくありません。
一方で、未経験の分野に移っても評価されるのか、年収は下がらないか、何歳までなら間に合うのかといった不安から、一歩を踏み出せない人も多いはずです。
試験に合格したものの社会人経験や監査経験がなく、就職先に迷っている人も同じ悩みを抱えています。
この記事では、公認会計士・試験合格者が未経験の分野へ転職できるかを、立場別・転職先別・年代別に整理します。
金融庁や日本公認会計士協会の公表データで市場の実態を確認したうえで、実務経験要件と動くタイミング、監査経験の伝え方、失敗しやすいパターンまで解説します。
- 20代〜30代前半の公認会計士なら、監査以外の未経験分野にも十分移れる
- 転職先ごとに求められる経験と年齢の目安が違うため、自分がどの「未経験」に当たるかを先に確認する
- 登録前の実務要件、年収の変化、監査経験の伝え方を押さえておくと失敗を避けられる
公認会計士は未経験の分野でも転職できる
結論からお伝えすると、公認会計士や試験合格者が未経験の分野へ転職することは十分に可能です。ただし、「未経験」の中身と年齢によって、通りやすい転職先や準備しておくべきことは大きく変わります。
まずは結論の根拠と、自分がどの立場に当たるかを確認しておきましょう。
20代〜30代前半なら未経験分野への転職は十分に現実的
公認会計士の転職で「未経験」というとき、多くの場合は会計の素人という意味ではありません。会計と監査の専門知識は資格で証明されていて、足りないのは「その分野の実務経験」だけです。この点が、一般的な異業種転職との大きな違いです。
採用する側から見ると、事業会社の経理実務やFASの調査手法は入社後に覚えられるものです。一方で、財務諸表を読み解く力や会計基準の理解は、短期間では身につきません。そのため20代から30代前半の会計士や試験合格者は、実務経験がなくてもポテンシャルを見込んで採用されることが珍しくありません。
実際、大手の求人サイトや会計士専門の転職エージェントには「公認会計士試験合格・未経験可」と明記された求人が、監査法人だけでなく事業会社の経理、FAS、税理士法人まで幅広く掲載されています。
監査の仕事で身につく力も、別の分野でそのまま通用します。複数の企業の決算や業務フローを横断的に見てきた経験、内部統制の仕組みへの理解、チームで期限までに監査調書を仕上げる段取り力は、事業会社でもコンサルティングファームでも評価されます。
ただし、30代後半以降になると企業は「育てる人材」ではなく「入社後すぐに任せられる人材」を求めるようになります。年齢が上がるほど、未経験の分野でも監査で培った何を活かせるのかを具体的に説明できるかどうかが、合否を分けるようになります。
年代ごとの目安は3章で詳しく解説します。
「未経験」には3つのパターンがある
公認会計士の転職でいう「未経験」には、立場の違う3つのパターンがあります。どれに当たるかによって、狙いやすい転職先も、準備すべきことも変わります。
| パターン | 主な人物像 | 主な転職先 | 特に読んでほしい章 |
|---|---|---|---|
| ①監査経験はあるが、別の分野が未経験 | 監査法人に勤務する公認会計士 | 事業会社、FAS、コンサルティングファーム、税理士法人 | 2章・3章・5章 |
| ②試験に合格したが、実務経験や社会人経験がない | 学生のうちに合格した人、受験に専念していた人、30代以降に合格した人 | 監査法人、事業会社 | 4章 |
| ③事業会社などに勤めていて、監査法人が未経験 | 事業会社勤務の公認会計士・試験合格者、USCPA | 監査法人(中堅・中小、アドバイザリー部門) | 2章・3章 |
最も多いのは①のパターンです。監査法人で経験を積んだあと、事業会社の経理財務や経営企画、FAS、税務などへ移るケースで、監査経験の年数とインチャージ(現場責任者)の経験があるかどうかで選べる転職先が変わります。
②のパターンは、試験に合格したばかりで実務経験がない人です。この場合は転職先を選ぶ前に、公認会計士として登録するための実務経験の要件を満たせる職場かどうかを確認する必要があります。
要件を満たせない職場に入ると、登録が遅れてしまうためです。
③のパターンは、事業会社で働きながら合格した人や、USCPAを取得して監査法人を目指す人です。監査法人は試験合格を最も評価する職場なので、監査未経験でも入りやすい転職先といえます。
合格者数と会員数のデータから会計士の転職市場を読み解く
公認会計士の転職市場を考えるうえで、まず押さえておきたいのが資格を持つ人の数です。
金融庁の公認会計士・監査審査会によると、令和7年の公認会計士試験は出願者22,056人に対して最終合格者が1,636人で、合格率は7.4%でした。合格者の平均年齢は24.6歳です。
[参照元]令和7年公認会計士試験の合格発表の概要について|公認会計士・監査審査会
日本公認会計士協会の会員数等調では、2026年9月30日時点で公認会計士が38,762人、監査法人が302法人です。試験に合格したものの、まだ公認会計士として登録していない準会員(四号準会員)も6,533人います。
[参照元]会員数等調(2026年9月30日現在)|日本公認会計士協会
毎年の合格者が1,600人前後にとどまるなかで、会計士を採用したい側は監査法人だけではありません。上場企業の経理や開示、IPO準備企業の管理部門、FAS、コンサルティングファーム、税理士法人まで、会計の専門家を必要とする職場は広がっています。
資格を持つ人の数に限りがある以上、未経験の分野であっても資格そのものが選考で強い武器になります。
なお、論文式試験の合格基準となる得点比率は、令和9年試験から従来の52%から54%へ、3〜4年かけて段階的に引き上げられる予定です。
合格のハードルが下がる方向にはないため、資格の希少性は当面続くと考えてよいでしょう。
[参照元]公認会計士試験に関するQ&A|公認会計士・監査審査会
事業会社などで働く組織内会計士も3,000人を超えている
監査法人の外で働く会計士は、すでに珍しい存在ではありません。企業や官公庁などの組織で働く公認会計士は「組織内会計士」と呼ばれ、日本公認会計士協会は組織内会計士協議会を設けて研修やネットワークづくりを支援しています。
同協会によると、組織内会計士ネットワークの会員数は2025年12月末時点で3,121名です。このうち正会員2,545名の勤務先は、上場会社が1,240名、非上場会社が1,019名で、ほかに官公庁や非営利法人、教育機関などで働く会計士もいます。ネットワークへの登録は任意のため、企業で働く会計士の全数ではない点には注意が必要です。
[参照元]組織内会計士ネットワークについて|日本公認会計士協会
この数字から読み取れるのは、上場会社だけでなく非上場会社でも会計士が活躍していることです。非上場会社には、上場を目指すIPO準備企業やベンチャー企業も含まれます。監査法人から事業会社へ移る会計士にとって、上場企業の経理財務だけが選択肢ではないということです。
同協会は監査法人を退職する会計士向けの手引も公開しており、監査法人の外に出ることが一般的なキャリアの一つとして扱われていることがわかります。未経験の分野へ移ることは、会計士として特別な選択ではありません。
[参照元]組織内会計士の皆様へ|日本公認会計士協会
未経験でも採用されやすい転職先は5つある
公認会計士が未経験で移りやすい転職先は、事業会社、FAS、コンサルティングファーム、税理士法人、監査法人の5つです。
金融機関や投資ファンドも人気がありますが、未経験から直接入るのは簡単ではありません。まずは転職先ごとの違いを一覧で確認しておきましょう。
| 転職先 | 未経験で入りやすい年齢の目安 | 評価される経験 | 年収の傾向 | 向いている人 |
|---|---|---|---|---|
| 事業会社(経理財務・経営企画・内部監査) | 20代〜30代前半 | 監査で見てきた決算・開示・内部統制 | 大手は維持しやすく、中堅以下では下がることもある | 事業の当事者として長く働きたい人 |
| IPO準備企業・ベンチャー | 20代〜40代(役割次第) | IPO監査や内部統制構築の経験 | 基本給は下がることもある | 裁量の大きさと成長を求める人 |
| FAS・M&Aアドバイザリー | 20代〜30代前半 | インチャージ経験、財務分析の力 | 維持〜上昇しやすい | 案件を通じて専門性を磨きたい人 |
| 会計系コンサルティングファーム | 20代〜30代 | IFRS・内部統制・決算業務の知識 | 維持〜上昇しやすい | 企業の課題解決に関わりたい人 |
| 税理士法人・会計事務所 | 20代〜30代前半 | 会計の知識(税務は入社後に習得) | 下がることが多い | 税務の専門性や独立を考える人 |
| 監査法人(監査未経験者) | 20代〜30代(中小は40代も) | 試験合格、事業会社での経理経験 | 職位と法人規模で決まる | 監査のキャリアを始めたい人 |
| 金融機関・投資ファンド | 未経験からは難しい | FASや投資銀行での実務 | 上昇しやすい | FASなどを経て段階的に目指す人 |
年収の傾向は、転職前後の職位や企業規模によって大きく変わるため、あくまで目安として見てください。ここからは、それぞれの転職先で求められる条件を詳しく見ていきます。
事業会社|経理財務・経営企画・内部監査で監査経験が活きる
事業会社は、監査法人から移る会計士にとって最も多い転職先です。主なポジションは、経理財務、開示(有価証券報告書の作成など)、経営企画、内部監査で、規模の大きい企業ほど会計士資格を持つ人材を求める傾向があります。
監査の経験が活きるのは、決算や開示の論点を「チェックする側」として見てきたからです。どこで誤りが起きやすいのか、監査法人が何を気にするのかを知っているため、決算の品質を高めたり、監査法人とのやり取りを円滑にしたりする役割を任されやすくなります。
一方で、仕訳の入力や月次決算の締め、社内の他部署との調整といった日々の経理実務は、監査ではほとんど経験しません。採用する企業もこの点は理解していて、20代から30代前半であれば実務は入社後に覚えればよいと考えるケースが多くあります。面接では、実務を覚える意欲と、事業の当事者として数字に向き合いたい理由を伝えられるかが問われます。
上場を目指すIPO準備企業やベンチャー企業も有力な選択肢です。上場の準備では、内部統制の構築や監査法人への対応、上場審査に向けた書類の作成が必要になります。
IPO監査や内部統制監査の経験がある会計士は、その経験がそのまま即戦力として評価されます。CFO候補や管理部長候補として迎えられる例もあり、30代後半以降でも未経験から挑戦しやすい分野です。

FAS・M&Aアドバイザリー|インチャージ経験があれば未経験でも狙える
FAS(ファイナンシャル・アドバイザリー・サービス)は、M&Aや事業再生に関わる財務面の支援を行う仕事です。主な業務には、買収対象の企業の財務状況を調べる財務デューデリジェンス、企業や事業の価値を算定するバリュエーション、買収後の統合を支援するPMI(Post Merger Integration)などがあります。
財務デューデリジェンスは、財務諸表を細かく読み込み、問題点を洗い出す仕事です。監査と共通する部分が多いため、監査経験のある会計士は未経験でも採用されやすく、FASは会計士の転職先として定番の一つになっています。特に、インチャージとして監査チームをまとめ、被監査会社と論点を詰めてきた経験は高く評価されます。
ただし、監査とは目的が異なる点を理解しておく必要があります。監査は財務諸表が適正かどうかを確かめる仕事ですが、デューデリジェンスは買い手の意思決定のために、企業の価値やリスクを見極める仕事です。「数字が正しいか」だけでなく「この数字は将来どうなるか」「買収価格にどう影響するか」まで考えることが求められます。
また、FASの仕事は案件単位で進むため、案件が重なる時期は業務量が増えます。監査のように繁忙期と閑散期の波が読めるわけではない点も、事前に知っておきたいところです。
大手監査法人のグループにはFASを担う会社があるため、まずはグループ内の異動制度を確認するのも一つの方法です。
コンサルティングファーム|会計系は入りやすく戦略系は難度が上がる
コンサルティングファームといっても、扱う領域によって会計士の入りやすさは大きく異なります。会計士が未経験から移りやすいのは、会計や財務に関わるテーマを扱うコンサルティングです。
具体的には、IFRS(国際財務報告基準)の導入支援、決算早期化、内部統制の構築支援、連結会計システムの導入支援などがあります。いずれも監査で培った会計基準や内部統制の知識が直結するテーマで、監査法人のアドバイザリー部門でも同じような業務を扱っています。
多くの企業の業務フローを見てきた経験は、クライアントの課題を整理する場面で強みになります。
一方、経営戦略や事業戦略を扱う戦略コンサルティングファームは、会計士資格があっても未経験からの転職は簡単ではありません。選考では論理的な思考力を確かめるケース面接が課されることが多く、会計の専門知識よりも、課題を構造化して解決策を示す力が問われます。
コンサルティングファームは成果で評価される傾向が強く、実力次第で年収を上げやすい環境です。その反面、クライアントの期待に応え続ける負荷は小さくありません。
応募する前に、どの領域を扱うファームなのか、未経験者にどのような案件から任せるのかを確認しておくと、入社後のギャップを防げます。

税理士法人・会計事務所|税務未経験でも会計士資格が評価される
税理士法人や会計事務所への転職は、税務の専門性を身につけたい人や、将来の独立を考えている人に選ばれています。公認会計士は税理士法の規定により、財務省令で定める税法に関する研修を修了すれば税理士となる資格を持つことができます。
[参照元]税理士法|e-Gov 法令検索
試験で租税法を学んでいても、法人税の申告書作成や税務調査への対応といった実務は、監査法人ではほとんど経験しません。それでも税理士法人や会計事務所が会計士を採用するのは、会計の知識があれば税務の実務は比較的早く身につき、決算から申告までを一貫して任せられるからです。
狙いやすいのは、法人税務、国際税務、組織再編税務、事業承継・相続といった分野です。特に大手の税理士法人では、会計士の会計知識と税務を組み合わせた業務を任せる求人が多く見られます。
注意したいのは年収です。監査法人と比べると、税理士法人や会計事務所の給与水準は低くなることが多く、未経験で入る場合は一時的に下がると考えておいたほうがよいでしょう。
ただし、税務の経験を積んで独立すれば、監査法人に残る場合とは違う形で収入を伸ばせる可能性があります。目先の年収だけでなく、5年後、10年後にどうなりたいかを基準に判断することが大切です。
なお、試験合格者が登録のための実務経験を積む場合、税理士法人での税務申告の業務は実務経験として認められません。この点は4章で詳しく説明します。

監査法人|監査未経験の会計士・合格者は中堅・中小から入りやすい
事業会社で働きながら試験に合格した人や、USCPAを取得した人にとって、監査法人は未経験でも最も入りやすい転職先です。
監査法人は試験合格の実績を最も評価する職場で、監査の実務は入社後のトレーニングで身につけることを前提に採用しています。
日本公認会計士協会の会員数等調によると、2026年9月30日時点で監査法人は302法人あります。いわゆるBIG4と呼ばれる大手監査法人のほかに、準大手や中堅・中小の監査法人が多数あり、未経験者を受け入れる窓口は広いといえます。
[参照元]会員数等調(2026年9月30日現在)|日本公認会計士協会
年齢が上がるほど、大手より中堅・中小の監査法人のほうが入りやすくなります。大手は若手を長期的に育てる採用が中心ですが、中堅・中小の監査法人は人手が足りないことが多く、事業会社での経理経験や社会人としての経験そのものを評価してくれるためです。少人数のチームで幅広い業務を担当できる点も、早く経験を積みたい人には向いています。
USCPAの場合は、日本の公認会計士とは担える業務の範囲が異なります。外資系企業の監査やIT監査、アドバイザリー業務などで採用されることが多いため、配属先と将来の役割を応募前に確認しておきましょう。
監査未経験で入る場合、最初はスタッフとして入社し、経験年数に応じて昇格していきます。年齢が高い状態で入社すると、同じ職位の同僚より年上になることもあります。この点を受け入れられるかどうかも、事前に考えておきたいポイントです。
金融機関・投資ファンド|未経験から直接入るのは難しい
投資銀行やPE(プライベート・エクイティ)ファンド、証券会社の引受部門などは、会計士に人気の高い転職先です。財務分析の力が活かせ、年収水準も高い分野ですが、監査法人から未経験で直接入るのは簡単ではありません。
これらの職場では、M&Aの実行や投資判断に関わった経験が重視されます。採用されるのは、FASや投資銀行で案件を経験した人が中心で、監査経験だけでは即戦力と見なされにくいのが実情です。英語での業務や、財務モデルを組む力を求められることも多くあります。
そのため、金融機関や投資ファンドを目指す場合は、一度FASで財務デューデリジェンスやバリュエーションの経験を積み、そこから移るという段階的なキャリアを描くのが現実的です。
監査法人から直接狙う場合は、M&A関連の監査やアドバイザリー業務に関わった経験を具体的に示せるようにしておきましょう。
【年代別】未経験分野へ何歳まで転職できるかを確認する
未経験分野への転職のしやすさは、年齢によって大きく変わります。企業が年齢ごとに期待する役割が違うためです。ここでは20代、30代前半、30代後半、40代以上に分けて、どのような転職が現実的かを解説します。
20代|ポテンシャル採用が効くうちに方向を決める
20代は、未経験の分野に最も移りやすい年代です。事業会社、FAS、コンサルティングファーム、税理士法人のいずれも、実務経験よりも資格と人柄、学ぶ意欲を重視して採用するため、選べる転職先が広くあります。
この時期に考えておきたいのは、どの方向に進むかを早めに決めることです。20代のうちに経験した分野が、その後のキャリアの土台になります。たとえば、将来CFOを目指すなら事業会社の経理財務や経営企画、M&Aの専門家を目指すならFAS、独立を考えるなら税理士法人というように、最終的に目指す姿から逆算して最初の転職先を選ぶと、遠回りを避けられます。
注意したいのは、公認会計士として登録する前に監査法人を辞める場合です。登録には実務経験の要件があり、転職先によっては要件を満たせなくなる可能性があります。
登録前の転職を考えている人は、5章で動くタイミングを確認しておいてください。
また、監査経験が短いまま転職すると、「監査で何を身につけたのか」を説明しにくくなります。担当した業種や監査の領域、任された役割をできるだけ具体的に整理しておくと、選考で評価されやすくなります。
30代前半|監査経験に+αの専門性を重ねて勝負する
30代前半も、未経験分野への転職が十分に可能な年代です。ただし20代と比べると、企業はポテンシャルに加えて「監査で何をしてきたか」を具体的に見るようになります。
この年代で評価されやすいのは、監査経験に何らかの専門性が加わっている人です。たとえば、インチャージとして監査チームをまとめた経験、IPO監査の経験、IT監査や内部統制監査の経験、特定の業種(金融、製造業、ITなど)に詳しいこと、英語で業務ができることなどが挙げられます。
こうした経験は、事業会社でもFASでもコンサルティングファームでも、入社後すぐに活かせる強みとして伝えられます。
30代前半は、監査法人の中でシニアスタッフからマネージャーへの昇格を意識する時期でもあります。監査法人に残る道と外に出る道を比べやすい時期なので、それぞれの5年後の姿を具体的に描いたうえで判断するとよいでしょう。
事業会社へ移る場合、30代前半であれば経理の実務が未経験でも採用されるケースは多くあります。ただし、職位はスタッフや主任クラスから始まることもあるため、年収や役職の条件は事前に確認しておく必要があります。
30代後半|事業会社の門戸が狭まり「何ができるか」が問われる
30代後半になると、未経験分野への転職は少しずつ難しくなります。特に事業会社では、経理の実務担当者として未経験者を採用する枠が減り、管理職候補や専門性の高いポジションでの採用が中心になるためです。
この年代で事業会社を目指す場合は、「経理の担当者」ではなく「会計の専門家として何を任せられるか」を軸にポジションを探すのが現実的です。IFRS導入や連結決算の体制づくり、開示の責任者、内部監査の責任者、IPO準備企業の管理部長候補などは、監査経験が長い会計士だからこそ評価されるポジションです。
FASやコンサルティングファームでは、30代後半でも採用ニーズがあります。ただし、ポテンシャルではなく即戦力として見られるため、特定の業種や論点に強い、マネージャーとしてチームを率いた経験があるといった専門性が求められます。
30代後半で転職する人の多くは、監査法人でマネージャーやシニアマネージャーとして働いています。今の職位と年収を前提に条件を交渉するのか、未経験の分野に移るために一時的な年収ダウンを受け入れるのかを、事前に決めておくと判断がぶれません。
40代以上|ポジションを絞れば未経験でも道はある
40代以上で未経験の分野に移る場合、選択肢は確かに狭くなります。ただし、ポジションを絞れば転職は十分に可能です。
狙いやすいのは、IPO準備企業のCFO候補や管理部長、上場企業の内部監査や内部統制の責任者、中堅・中小の監査法人、税理士法人の会計業務などです。いずれも、長年の監査経験やマネジメント経験がそのまま活きるポジションです。中堅・中小の監査法人であれば、40代で監査未経験の会計士や試験合格者を受け入れる例もあります。
一方で、FASや戦略系のコンサルティングファームに40代で未経験から入るのは難しく、事業会社の経理実務の担当者として採用されるケースもあまり多くありません。若手と同じ土俵で戦うのではなく、自分の経験を必要としている企業を探すという発想が大切です。
なお、40代以上で試験に合格した人は少数派です。令和7年の合格者1,636人のうち、40歳以上は20人でした。社会人として働きながら合格した人の就職先の選び方は、次の4章で詳しく解説します。
[参照元]令和7年公認会計士試験合格者調|公認会計士・監査審査会
転職エージェント
| エージェント | ポイント | 公式サイト |
|---|---|---|
ハイスタ会計士★ 5.0 | 【リモート可・年収800万円求人多数】公認会計士・USCPAに特化した転職エージェント。BIG4・中堅監査法人からCFO候補まで幅広い求人を保有。 | |
BEET-AGENT★ 4.8 | CFO候補・経理財務のハイクラス求人を多数保有。公認会計士のキャリアアップに強い。 | |
ビズリーチ★ 4.5 | 求人の3分の1が年収1,000万円以上。登録だけでスカウトが届くから、楽に転職活動をしたい人におすすめ。 | |
| レックスアドバイザーズ ★ 4.3 | 会計士・税理士のシニア層に強い。マネージャー〜パートナークラスの非公開求人が豊富。 | |
| マイナビ会計士 ★ 4.1 | マイナビの公認会計士専門エージェント。大手ならではのネットワークで独自求人を多数保有。 |
試験合格者・社会人未経験の人は実務要件から就職先を考える
試験に合格したばかりの人は、転職先や就職先を選ぶ前に、公認会計士として登録するための要件を確認しておく必要があります。要件を満たせない職場を選ぶと、登録が遅れてしまうためです。
ここでは、金融庁と日本公認会計士協会の公表情報をもとに、登録までの流れと就職先の考え方を整理します。
公認会計士登録までの流れと実務経験3年の要件を確認する
公認会計士試験に合格しただけでは、公認会計士として登録することはできません。金融庁によると、登録には次の3つの要件をすべて満たす必要があります。
- 公認会計士試験に合格していること(免除された人を含む)
- 実務経験(業務補助等)の期間が3年以上あること
- 実務補習を修了し、内閣総理大臣の確認を受けていること
注意したいのは、実務経験の期間です。以前は2年以上とされていましたが、公認会計士法の改正により、令和5年4月1日から3年以上に改められました。
施行日の時点で実務経験が2年以上あった人には、引き続き2年以上でよいとする経過措置が設けられていますが、それ以外の人には3年以上の実務経験が必要です。インターネット上には「実務経験は2年」と書かれた古い情報も残っているため、注意してください。
[参照元]実務経験(業務補助等)の期間の見直しに係るQ&A|金融庁
実務補習は、一般財団法人会計教育研修機構が実施する教育課程で、日本公認会計士協会によると原則として3年間かけて必要な単位を取得します。実務補習を終えたあとに日本公認会計士協会が実施する修了考査に合格し、内閣総理大臣の確認を受けることで、公認会計士となる資格が得られます。
[参照元]公認会計士試験について|日本公認会計士協会
[参照元]公認会計士よくある質問Q&A|日本公認会計士協会
つまり、試験に合格してから登録までは、実務経験と実務補習を並行して進める数年間の期間があります。
この間に働く職場は、実務経験としてカウントされるかどうか、実務補習への通学や修了考査の準備に配慮してもらえるかどうかを基準に選ぶ必要があります。
監査法人以外でも実務経験を満たせる条件を知っておく
試験合格後の就職先として監査法人が多く選ばれるのは、通常の監査業務がそのまま実務経験として認められるからです。ただし、実務経験は監査法人でしか積めないわけではありません。
金融庁によると、実務経験には「業務補助」と「実務従事」の2種類があり、両方の期間を通算することもできます。
| 種類 | 内容 | 主な職場 |
|---|---|---|
| 業務補助 | 公認会計士または監査法人の監査証明業務を補助すること | 監査法人、公認会計士の個人事務所(監査業務) |
| 実務従事 | 財務に関する監査、分析その他の実務に従事すること | 事業会社、金融機関、官公庁など |
実務従事として認められるのは、資本金額が5億円以上の法人とその連結子会社、金融商品取引法に基づいて監査証明を受ける必要がある法人(開示会社等)とその連結子会社などを対象とした業務です。
金融庁が示している具体例には、決算、予算、工場の経理、財務分析、株式公開準備に関する業務があります。財務報告に関わる内部監査や内部統制の業務も、原則として認められています。
[参照元]公認会計士の資格取得に関するQ&A|金融庁
ポイントは、自分が勤める会社の資本金ではなく、担当する業務の対象で判断されることです。資本金5億円未満のコンサルティング会社に勤めていても、資本金5億円以上の法人の原価計算や財務分析を担当していれば、原則として実務従事と認められます。
反対に、注意が必要なのが税理士法人です。法人の税務申告などの税務業務は実務従事に当たりません。税理士法人で働く場合は、資本金5億円以上の法人などを対象とした会計業務に主として従事していることが条件になります。
なお、実務従事に当たるかどうかは個別に判断されるため、就職先を決める前に、担当予定の業務が要件を満たすかどうかを企業側に確認しておきましょう。
30代・40代で合格した人は中堅・中小監査法人とIPO支援を軸に考える
公認会計士試験の合格者は、20代が大半を占めています。令和7年の合格者1,636人のうち、30歳以上は177人で全体の10.8%、35歳以上に限ると58人で3.5%でした。
出願時の職業が「会社員」だった合格者は89人(5.4%)で、多くは学生や専門学校の受講生です。
[参照元]令和7年公認会計士試験合格者調|公認会計士・監査審査会
[参照元]令和7年公認会計士試験の合格発表の概要について|公認会計士・監査審査会
30代・40代で合格した人は、監査法人の新卒採用と同じ枠で20代前半の合格者と比べられると、年齢の面で不利になりやすいのは事実です。ただし、社会人としての経験そのものは強みになります。取引先との調整、締め切りの管理、部下や後輩の指導といった経験は、20代前半の合格者にはないものだからです。
そのため、この年代の合格者は、社会人経験を評価してくれる職場を選ぶのが現実的です。具体的には、中途採用に積極的な中堅・中小の監査法人や、IPO支援やアドバイザリー業務に力を入れている監査法人が候補になります。前職が経理や財務、金融機関、IT関連であれば、その業界の監査やIT監査で経験を活かせる場面もあります。
また、現在の勤務先が資本金5億円以上の会社で、決算や財務分析などの業務を担当しているなら、転職せずに実務従事として実務経験を積むという選択肢もあります。生活の安定を保ちながら登録を目指せるため、家庭の事情などで転職のリスクを取りにくい人には検討する価値があります。
短答合格・論文合格の段階でも選べる就職先はある
論文式試験の合格を待たずに、短答式試験に合格した段階で働き始める人もいます。
日本公認会計士協会によると、短答式試験の合格者はその後2年間、短答式試験が免除されます。論文式試験には科目合格制があり、一定の成績を得た科目は2年間免除を受けられます。
[参照元]公認会計士試験について|日本公認会計士協会
短答合格の段階で選びやすいのは、監査法人の監査アシスタントや補助スタッフ、事業会社の経理、会計事務所のスタッフなどです。短答式試験に合格していることは、財務会計論や管理会計論、監査論、企業法の基礎を身につけている証明になるため、経理職の選考では簿記資格より高く評価されることもあります。
働きながら論文式試験の合格を目指す場合は、試験前の休暇が取れるか、繁忙期と試験の時期が重ならないかを、入社前に確認しておくことが大切です。受験勉強との両立に理解のある職場を選ばないと、合格までの期間が延びてしまいます。
なお、税理士へ進路を切り替える選択肢もあります。税理士法では、公認会計士試験の短答式試験に合格した人に、税理士試験の税法科目の受験資格が認められています。会計事務所で働きながら税理士を目指す道も、短答合格者のキャリアの一つです。
[参照元]税理士法|e-Gov 法令検索
監査法人での経験は何年積んでから動くべきか
監査法人から未経験の分野へ移る場合、いつ動くかによって転職の難しさも、転職後の評価も変わります。登録の要件という制度上の制約と、転職市場での評価の両面から、動くタイミングを考えておきましょう。
登録前に辞めると実務経験の要件を満たせなくなるおそれがある
最も注意したいのは、公認会計士として登録する前に監査法人を辞めるケースです。前章で説明したとおり、登録には3年以上の実務経験が必要です。
監査法人での業務補助は、3年以上の期間を通じて監査の一連の流れを身につけたものとして、監査法人の代表者から業務補助等証明書を発行してもらう必要があります。
[参照元]公認会計士の資格取得に関するQ&A|金融庁
業務補助と実務従事の期間は通算できるため、登録前に転職しても、転職先の業務が実務従事に当たれば実務経験を積み続けることはできます。一方、転職先の業務が実務従事に当たらない場合、その期間は実務経験としてカウントされず、登録が遅れてしまいます。
登録前に転職を考えている人は、次の3点を確認してから動くようにしてください。
- 監査法人での業務補助の期間が、これまでに何年何か月あるか
- 転職先で担当する業務が、実務従事の要件を満たすか
- 実務補習への通学や修了考査の準備を、転職先で続けられるか
特別な事情がない限り、監査法人で実務経験の要件を満たし、修了考査の見通しが立ってから転職するほうが安全です。
登録を済ませておけば、転職先の業務内容に関係なく、公認会計士として名乗れる状態でキャリアを選べます。
シニア昇格前後が未経験分野へ動きやすい
登録の要件を満たしたあと、未経験の分野へ移りやすいのは、シニアスタッフに昇格する前後の時期です。この時期は、監査の一通りの流れを経験していて、なおかつ年齢的にもポテンシャルを評価してもらえるため、選べる転職先が最も広くなります。
スタッフの時期は、監査の手続を担当する立場です。この段階で転職すると、事業会社やFASの側からは「監査をどこまで理解しているか」が見えにくく、評価が定まりにくくなります。一方、シニアスタッフになると、現場の責任者として監査計画を立て、チームを動かし、被監査会社と論点を詰める経験を積みます。この経験が、未経験の分野でも通用する力として評価されます。
反対に、マネージャーに昇格したあとは、監査法人での年収が上がるぶん、未経験の分野に移ると年収が下がる幅が大きくなります。また、企業側も「マネージャー経験者」として即戦力を期待するため、未経験の分野で一から学ぶ立場では採用されにくくなります。
もちろん、マネージャー以降でも転職はできます。ただし、未経験の分野に移るなら、年収の条件や任される役割について、より慎重に確認する必要があります。
インチャージ経験の有無で選べる転職先が変わる
監査法人での経験年数と同じくらい、転職市場で見られるのがインチャージ(現場責任者)の経験です。インチャージは、担当する会社の監査について、計画の立案、チームメンバーへの作業の割り振り、被監査会社の経理部門との交渉、上位者への報告までを取りまとめる役割です。
インチャージの経験があると、FASやコンサルティングファームへの転職で評価が大きく変わります。これらの職場では、クライアントとの折衝やプロジェクトの管理を入社後すぐに任されることが多く、インチャージで同じような仕事をしてきた人は即戦力に近いと見なされるためです。
事業会社への転職でも、インチャージの経験は役に立ちます。被監査会社の経理部長や経理課長とやり取りしてきた経験があれば、事業会社の側に立ったときに、監査法人に何をどう説明すればよいかがわかります。決算の責任者や開示の担当者を目指すなら、大きな強みになります。
まだインチャージを経験していない人は、転職の前に経験を積めないか、上位者に相談してみるのも一つの方法です。
小規模な会社の監査であっても、インチャージとして一つの監査を最後まで取りまとめた経験は、職務経歴書に具体的に書ける実績になります。
未経験分野へ転職するときは5つの注意点を押さえる
未経験の分野への転職は、うまくいけばキャリアの幅を大きく広げられます。
一方で、年収や働き方、仕事の進め方が大きく変わるため、準備が足りないと「こんなはずではなかった」と後悔することにもなります。転職する前に知っておきたい注意点を5つ紹介します。
年収が下がりやすいケースと下がりにくいケースがある
厚生労働省の職業情報提供サイト(job tag)によると、公認会計士の賃金(年収)は全国で810.8万円です(令和7年賃金構造基本統計調査の結果を加工したもの)。
会計士の年収は一般的に高い水準にあり、未経験の分野へ移ると下がるケースも少なくありません。
[参照元]公認会計士|職業情報提供サイト(job tag)・厚生労働省
年収が下がりやすいのは、税理士法人や会計事務所に税務未経験で入るケース、中堅・中小の事業会社で経理の担当者として入るケース、ベンチャー企業に入るケースです。ベンチャー企業では基本給を抑え、ストックオプションで報いる条件を提示されることもあります。
反対に、年収が下がりにくいのは、FASや会計系コンサルティングファームへの転職、大手事業会社の管理職候補としての転職です。
見落としやすいのが残業代の扱いです。監査法人のスタッフやシニアスタッフは残業代が支給されることが多く、繁忙期の残業代を含めた年収になっています。
事業会社に管理職として入ると残業代が支給されない場合があるため、提示された年収だけでなく、残業代や賞与、家賃補助、退職金を含めて比べることが大切です。基本給は上がっても、総額では下がっていたということが起こりえます。

「資格はあるが実務ができない」と見られるギャップを埋める
事業会社に移った会計士がつまずきやすいのが、会計の知識と実務のギャップです。会計基準や監査の論点には詳しくても、仕訳の入力、請求書の処理、会計システムの操作、他部署との調整といった日々の業務には慣れていません。
周囲から見ると「会計士なのに、こんなこともできないのか」と受け取られることがあり、最初の数か月は居心地の悪さを感じる人もいます。このギャップを埋めるには、入社直後は資格を前面に出さず、日々の実務を覚えることを優先する姿勢が大切です。
実務を一通り覚えたうえで、会計士としての知見を活かして決算の改善や業務の効率化を提案すれば、評価は大きく変わります。
FASやコンサルティングファームでも、似たようなギャップはあります。監査では決まった手続に沿って作業を進めますが、FASやコンサルティングでは、何を調べるか、どう進めるかを自分で組み立てる場面が多くなります。
入社前に、未経験者がどのような業務から担当するのか、研修や先輩の支援があるのかを確認しておくと安心です。
組織の規模や意思決定の速さの違いに戸惑うことがある
大手監査法人は大規模な組織で、業務の進め方や評価の仕組みが整っています。部署や担当が合わなければ、異動を希望することもできます。一方、中小の事業会社やベンチャー企業、規模の小さいコンサルティングファームでは、組織が小さいぶん、経営者の考え方や社風が現場に色濃く反映されます。
組織が小さい職場では、意思決定が速く、裁量の大きな仕事を任されやすいという魅力があります。その反面、業務のマニュアルや教育の仕組みが整っていないことも多く、自分で考えて動くことが求められます。合わなかった場合に異動で解決できないため、転職するしかないというケースもあります。
この違いに戸惑わないためには、応募する前に、配属される部署の人数や体制、上司となる人の経歴、前任者が辞めた理由などを確認しておくことが大切です。こうした情報は求人票には書かれないことが多いため、面接の場で質問するか、企業の内情に詳しい転職エージェントに確認するとよいでしょう。
監査法人を辞めたあとは会費とCPDを自分で管理する
意外と知られていないのが、監査法人を辞めたあとの事務手続です。日本公認会計士協会は監査法人を退職する会計士向けに手引を公開しており、そこでは次のような点に注意するよう呼びかけています。
[参照元]監査法人退職者向け手引(2026年6月時点)|日本公認会計士協会
1つ目は会費です。監査法人に所属している間は法人が支払い手続をしていることが多いですが、退職後は自分で支払う必要があります。会費は普通会費が月額6,000円で、これに地域会の会費(東京会の場合は月額3,500円)が加わります。事業会社に勤務するなど、公認会計士としての業務を行わない場合は、会費の減額を申請できます。
2つ目はCPD(継続的専門能力開発)です。公認会計士には毎年一定の研修単位を取得する義務があり、監査法人にいる間は法人の研修で満たせることが多いものの、退職後は自分で履修状況を管理しなければなりません。CPDの義務を果たさないと、会則違反として処分の対象になります。
3つ目は登録事項の変更です。2023年4月1日施行の公認会計士法改正により、監査事務所以外の会社に勤務している場合は、その勤務先の名称や所在地を登録することになっています。転職したら、忘れずに変更の手続を行いましょう。
監査法人へ戻る選択肢は閉ざされない
未経験の分野へ移ることをためらう理由の一つに、「合わなかったときに戻れないのではないか」という不安があります。結論からいえば、公認会計士の登録を維持していれば、監査法人へ戻る道は閉ざされません。
監査法人の中途採用では、事業会社やFASなどで経験を積んだ会計士を受け入れる例があります。事業会社で経理や内部統制を経験した会計士は、被監査会社の立場を理解しているため、監査の現場でも重宝されます。外での経験が、監査法人に戻ったときの強みになることもあるのです。
戻る選択肢を残しておくためにも、登録の抹消は慎重に考えてください。会費の負担が気になる場合は、抹消する前に会費の減額制度を確認しておくとよいでしょう。
日本公認会計士協会の手引でも、監査法人に勤務していない会員の多くは会費の減免措置の対象になると説明されています。
[参照元]監査法人退職者向け手引(2026年6月時点)|日本公認会計士協会
また、CPDを続けて会計や監査の最新の動向を追っておけば、戻るときの不安も小さくなります。未経験の分野に挑戦することは、監査のキャリアを捨てることではありません。
未経験分野への転職は5つのステップで進める
未経験の分野への転職を成功させるには、求人に応募する前の準備が重要です。特に会計士の場合、監査の経験を転職先にどう伝えるかで評価が大きく変わります。ここでは、転職活動を5つのステップに分けて、具体的な進め方を解説します。
転職の目的と5年後に担いたい役割を言語化する
最初にやるべきことは、なぜ転職するのか、転職して何を実現したいのかを言葉にすることです。「監査に飽きた」「繁忙期がつらい」といった理由は自然なものですが、それだけでは転職先を選ぶ基準になりません。
おすすめなのは、5年後にどのような役割を担っていたいかを具体的に考えることです。たとえば、
- 「事業会社の経理部長として決算と開示を任されていたい」
- 「M&Aの案件をリードできる専門家になっていたい」
- 「税務の経験を積んで独立していたい」というように、
目指す姿が決まれば、最初の転職先として何を選ぶべきかが見えてきます。
あわせて、転職で譲れない条件と、妥協できる条件を整理しておきましょう。年収、働き方、勤務地、仕事の内容、将来のキャリアのうち、何を優先するかを決めておくと、複数の内定が出たときにも迷わずに判断できます。
この作業を一人で進めるのが難しい場合は、会計士の転職を専門に扱う転職エージェントに相談するのも一つの方法です。自分では気づいていなかった選択肢や、同じような経歴の会計士がどのような転職をしているかを知ることで、考えが整理しやすくなります。
監査経験を転職先の言葉に置き換えて職務経歴書に書く
職務経歴書で多い失敗は、監査法人での業務を監査の言葉のまま書いてしまうことです。「〇〇業の上場会社の監査に従事」とだけ書いても、事業会社やFASの採用担当者には、その人が入社後に何をできるのかが伝わりません。
大切なのは、監査で経験したことを、転職先の仕事に置き換えて説明することです。次の表は、同じ監査の経験を、転職先に合わせて書き換えた例です。
| 監査での経験 | 事業会社向けの書き方の例 | FAS向けの書き方の例 |
|---|---|---|
| 製造業の上場会社の監査でインチャージを担当 | 原価計算や棚卸資産の評価の論点について、経理部門と協議しながら決算の論点を整理した | 製造業の収益構造や原価の論点を把握し、財務数値の異常点を洗い出した |
| 内部統制監査を担当 | 業務フローを分析し、決算や販売の業務プロセスの改善点を経理部門に提案した | 業務プロセスの把握を通じて、対象会社のリスクを特定した |
| IPO監査を担当 | 上場準備企業の内部統制の構築や、上場審査に向けた資料の整備を支援した | 成長企業の財務体制の課題を整理し、改善策を提示した |
| 連結決算の監査を担当 | 子会社を含む連結決算の論点を整理し、連結パッケージの改善を提案した | グループ全体の財務構造を把握し、取引の全体像を整理した |
書き換えるときのポイントは、担当した業種、規模、役割を具体的に書くことと、「チェックした」ではなく「整理した」「提案した」「改善した」といった、転職先での仕事につながる言葉を使うことです。
ただし、実際に経験していないことを書くのは避けてください。面接で深掘りされたときに説明できない内容は、かえって評価を下げます。
志望動機で「なぜ監査ではないのか」に答えを用意する
未経験の分野へ転職する会計士は、面接でほぼ必ず「なぜ監査法人を離れるのか」「なぜこの分野なのか」を聞かれます。採用する側は、入社してもすぐに辞めてしまわないか、監査法人に戻ってしまわないかを確かめたいと考えているためです。
答えるときに避けたいのは、監査法人への不満だけを理由にすることです。「繁忙期の残業が多い」「監査の仕事にやりがいを感じない」という理由は本音であっても、それだけでは、転職先でも同じ不満を持つのではないかと受け取られます。
伝えるべきなのは、監査を通じて何を感じ、その結果として何をしたくなったのかという流れです。たとえば、「監査で多くの企業の決算を見るなかで、外部からチェックする立場ではなく、内部から数字をつくり、経営の判断に関わる立場で働きたいと考えるようになった」といった説明であれば、監査の経験が転職の動機につながっていることが伝わります。
あわせて、その会社やその分野を選んだ理由も具体的に話せるようにしておきましょう。事業内容や、任される役割のどこに魅力を感じたのかを、自分の経験と結びつけて説明できると、説得力が増します。
求人票に出ない配属・役割・評価制度を確認する
未経験の分野への転職で後悔しやすいのは、入社してから「思っていた仕事と違った」と気づくケースです。求人票には、仕事の内容や年収の幅は書かれていても、実際の配属先や任される役割、評価のされ方までは書かれていないことが多くあります。
応募する前や面接の場で、次のような点を確認しておくと、入社後のギャップを防ぎやすくなります。
- 配属される部署の人数と、上司・同僚の経歴
- 未経験者が最初に担当する業務と、独り立ちまでの期間の目安
- 研修やOJTなど、教育の仕組みがあるか
- 評価の基準と、昇給・昇格の仕組み
- 残業時間の実態と、繁忙期の時期
- 前任者がいる場合は、その人が辞めた理由
面接で直接聞きにくい内容もあるでしょう。その場合は、企業とのやり取りを担当する転職エージェントに、どこまで確認を依頼できるかを相談してみてください。
繁忙期を避けて在職中にスケジュールを組む
監査法人から転職する場合、スケジュールの組み方にも注意が必要です。3月決算の会社が多いため、期末監査が集中する4月から5月は、監査法人の最も忙しい時期になります。この時期に転職活動を進めるのは、時間的にも体力的にも簡単ではありません。
転職活動は、在職中に進めるのが基本です。退職してから活動を始めると、収入が途絶える焦りから、条件を十分に確認しないまま決めてしまうおそれがあります。
おすすめなのは、繁忙期が明けてから情報収集と応募を始め、内定から退職までの期間も見込んでスケジュールを組むことです。担当しているクライアントの監査を区切りのよいところまで終え、引き継ぎを丁寧に行うことは、円満に退職するためにも、将来監査法人に戻る可能性を残すためにも大切です。
登録前の人は、実務経験の期間や実務補習のスケジュールとの兼ね合いも考えておく必要があります。
入社日を決める前に、4章と5章の内容をもう一度確認しておいてください。
公認会計士が未経験分野への転職時におすすめの転職エージェント5社
未経験の分野へ転職する会計士にとって、転職エージェントは求人を紹介してもらうだけの存在ではありません。
監査経験をどう評価してもらえるか、求人票に出ない配属や役割はどうなっているかを確認する相談相手として活用できます。ここでは、会計士の未経験分野への転職で相談先になる転職エージェントを5社紹介します。
| サービス名 | 特化領域 | 向いている人 |
|---|---|---|
| ハイスタ会計士 | 公認会計士・USCPA・試験合格者 | 監査法人から未経験分野へ移りたい会計士、試験合格者 |
| BEET-AGENT | 管理部門/公認会計士・税理士 | 事業会社の管理部門でリーダー・ミドルクラスを目指す会計士 |
| MS-Japan | 管理部門・士業 | 管理部門の求人を幅広く比べたい人 |
| レックスアドバイザーズ | 公認会計士・税理士・経理・財務 | 税務や会計の分野で転職先を探す人 |
| JACリクルートメント | ハイクラス・ミドルクラス全般 | 経験を活かして管理職や外資系企業を目指す人 |
ハイスタ会計士|監査法人から未経験分野への移動を資格前提の求人で進める

ハイスタ会計士は、公認会計士・USCPA・試験合格者に特化した転職エージェントです。監査法人から事業会社、FAS、コンサルティングファームへ移りたい会計士や、試験に合格して最初の職場を探している人に向いています。
監査法人から未経験の分野へ移ろうとする会計士が総合型のエージェントに登録すると、経歴が「経理職の候補者」として扱われ、資格を前提に組まれたポジションが提案に上がってこないことがあります。
会計士資格を前提にしたポジションは、企業側も公開を避けることが多いためです。監査クライアントの構成、インチャージの経験、修了考査との兼ね合いといった会計士ならではの論点も、会計士市場を扱っている担当者でなければ話が通じにくくなります。
ハイスタ会計士は、紹介する求人がすべて非公開で、監査法人・会計事務所・事業会社から、CFO候補やIPO準備企業のポジションまで扱っています。書類通過率は80%以上で、専任のアドバイザーがキャリア設計から内定後のフォローまで一貫して担当し、利用は完全無料です(2026年10月時点・公式サイト)。
事業会社の経理財務や経営企画、CFO候補として入る場合の役割の範囲、残業や繁忙期の実態まで面談で相談できます。ただし、会計士資格も試験合格もない人は対象外です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 運営会社 | 株式会社アシロ |
| 特化領域 | 公認会計士・USCPA・試験合格者 |
| 主な特徴 | 紹介求人はすべて非公開/書類通過率90%以上/専任アドバイザーによる一貫サポート |
| おすすめの人 | 監査法人から事業会社・FAS・コンサルへ移りたい会計士、試験合格後の就職先を探す人 |
BEET-AGENT|事業会社の管理部門ポジションを両手型の情報で見極める

BEET-AGENTは、管理部門・バックオフィスに特化した転職エージェントです。経理・財務・法務・経営企画・内部監査などの職種に加えて、公認会計士・税理士の転職も扱っています。
監査経験を活かして、事業会社の管理部門でリーダーやミドルクラスのポジションを目指す会計士に向いています。
監査法人から事業会社へ移る会計士にとって判断が難しいのは、管理部門の実態が外から見えにくいことです。管理部門の中途採用は募集枠が少なく、欠員補充であることも多いため、前任者がなぜ辞めたのか、入社後にどの範囲を任されるのかは求人票に書かれません。
BEET-AGENTは、求職者を担当するキャリアアドバイザーと、企業を担当するリクルーティングアドバイザーが社内で連携する両手型の体制をとっています。上場企業に加えて、IPO準備中の企業やベンチャー企業の希少なポジションも扱っているとしています(2026年9月時点・公式サイト)。
部門の人数構成や決算体制、上場準備の進み具合を面談で確認できるため、未経験の分野でも入社後の姿を具体的に描きやすくなります。
年収600万円〜1,000万円以上を目指すリーダー・ミドルクラスを主な対象としているため、30代で監査経験を事業会社のポジションにつなげたい会計士に合っています。
ただし、求人の数を大量に見比べたい人や、管理部門以外の職種を探している人には向いていません。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 運営会社 | 株式会社アシロ |
| 特化領域 | 経理・財務・法務・経営企画・内部監査など管理部門/公認会計士・税理士 |
| 主な特徴 | 両手型で企業の内情を共有/IPO準備企業やベンチャーの希少ポジション/年収600万円〜1,000万円以上を目指す層が対象 |
| おすすめの人 | 監査経験を事業会社の管理部門で活かしたい30代の会計士、IPO準備企業を検討している人 |
MS-Japan|管理部門と士業の求人を幅広く比べる

MS-Japanは、管理部門と士業に特化した転職エージェントです。経理・財務、人事・総務、法務などの管理部門と、弁護士・公認会計士・税理士などの士業の転職支援を35年にわたって手がけています。
未経験の分野への転職を考え始めた段階では、そもそもどのような求人があるのかを知ることが判断の材料になります。MS-Japanは取り扱い求人数を10,000件以上としており、大手企業から中小企業、IPO準備中の企業まで幅広い求人を扱っています(2026年10月時点・公式サイト)。
登録の窓口は会計士試験合格者やUSCPAにも分かれていて、会計士向けの相談会も開いています。
事業会社の経理財務や内部監査など、管理部門のポジションを幅広く見比べたい人に向いています。一方で、会計士に特化したエージェントではないため、FASや監査法人などの専門的なポジションを深く相談したい場合は、会計士特化のエージェントと併用するとよいでしょう。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 運営会社 | 株式会社MS-Japan |
| 特化領域 | 管理部門(経理・財務、人事・総務、法務など)・士業 |
| 主な特徴 | 管理部門・士業の転職支援35年/取り扱い求人数10,000件以上(公式サイト表記)/会計士試験合格者・USCPA向けの登録窓口 |
| おすすめの人 | 事業会社の管理部門の求人を幅広く比較したい会計士・試験合格者 |
-58-300x158.png)
レックスアドバイザーズ|会計士・税理士の転職に絞って相談する

レックスアドバイザーズは、公認会計士・税理士・経理・財務のプロフェッショナル人材に特化した転職エージェントです。2002年に設立され、東京本社のほか大阪・名古屋に拠点を置いています(2026年10月時点・公式サイト)。
監査法人から税理士法人や会計事務所へ移りたい会計士にとっては、税務の未経験者をどこまで受け入れてくれるのか、受け入れたあとにどのような業務から任されるのかが気になるところです。
レックスアドバイザーズは監査法人、会計事務所、事業会社を中心とした会計・税務の求人を扱っており、公式サイトでは、CFOや事業会社志向の会計士、会計税務や監査、会計コンサルタントなど、担当する領域ごとにコンサルタントを紹介しています。
税務や会計の分野で、未経験からの転職先を具体的に比べたい人に向いています。ただし、会計・税務・経理財務以外の職種への転職を考えている人は、ほかのエージェントもあわせて検討してください。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 運営会社 | 株式会社レックスアドバイザーズ |
| 特化領域 | 公認会計士・税理士・経理・財務 |
| 主な特徴 | 2002年設立/東京・大阪・名古屋に拠点/監査法人・会計事務所・事業会社の会計・税務求人 |
| おすすめの人 | 税理士法人・会計事務所や事業会社の会計職への転職を考える会計士 |
-56-300x158.png)
JACリクルートメント|経験を活かす管理職・外資系ポジションを探す

JACリクルートメントは、ハイクラス層の転職支援を手がける転職エージェントです。創業から50年以上の実績があり、業界や職種ごとの専門チームが連携してキャリアを提案するとしています(2026年10月時点・公式サイト)。
30代後半から40代の会計士が未経験の分野へ移る場合は、若手のようなポテンシャル採用ではなく、これまでの経験やマネジメント力を評価してくれるポジションを探す必要があります。JACリクルートメントは、事業会社の管理職や外資系企業のポジションなど、経験を前提とした求人を探したい人の相談先になります。
一方で、公式サイトのよくある質問では、企業から依頼される求人の大半が、同じ職種や業界での実務経験を求める案件であると説明されています。経験がまったくない分野へポテンシャルで移りたい20代の人は、会計士特化のエージェントを中心に相談したほうが、求人を見つけやすいでしょう。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 運営会社 | 株式会社ジェイエイシーリクルートメント |
| 特化領域 | ハイクラス・ミドルクラスの転職全般 |
| 主な特徴 | 創業50年以上/業界・職種ごとの専門チーム/管理職や外資系企業の求人 |
| おすすめの人 | マネジメント経験を活かして管理職や外資系企業を目指す30代後半〜40代の会計士 |
-24-300x210.png)
未経験の分野へ移る会計士は、まず会計士に特化したエージェントで監査経験の評価と方向性を相談し、事業会社の管理部門を中心に探すなら管理部門特化のエージェントを、経験を活かした管理職を探すならハイクラス向けのエージェントを組み合わせると、提案の幅が広がります。
会計士向けの転職エージェントをさらに詳しく比べたい人は、公認会計士向け転職エージェントの比較記事もあわせてご覧ください。
よくある質問(FAQ)
公認会計士は転職しやすいですか?
公認会計士は、資格を持つ人の数が限られているため、転職市場で評価されやすい職業です。令和7年の試験の最終合格者は1,636人で、2026年9月30日時点の公認会計士の数は38,762人です。
監査法人だけでなく、事業会社やFAS、コンサルティングファーム、税理士法人など、会計の専門家を求める職場は広くあります。ただし、年齢が上がるほど、未経験の分野では即戦力としての経験が求められるようになります。
40代・未経験でも公認会計士として転職できますか?
40代でも、ポジションを絞れば未経験の分野へ転職することは可能です。狙いやすいのは、IPO準備企業のCFO候補や管理部長、上場企業の内部監査・内部統制の責任者、中堅・中小の監査法人などです。
一方で、FASや戦略系のコンサルティングファーム、事業会社の経理の担当者として未経験から入るのは難しくなります。若手と同じ枠で競うのではなく、長年の経験を必要としている企業を探すことが大切です。
35歳・未経験から公認会計士を目指すのは遅いですか?
遅すぎるということはありませんが、合格後の就職先を見据えて計画を立てることが大切です。
令和7年の合格者1,636人のうち、35歳以上は58人(3.5%)でした。合格後は3年以上の実務経験が必要になるため、社会人経験を評価してくれる中堅・中小の監査法人や、資本金5億円以上の会社で決算や財務分析に関わる仕事を続ける方法などを検討しておくとよいでしょう。
USCPAでも未経験で監査法人に入れますか?
USCPAでも、監査未経験で監査法人に入ることは可能です。外資系企業の監査やIT監査、アドバイザリー業務などで採用されることが多くあります。
ただし、日本の公認会計士とは担える業務の範囲が異なるため、応募する前に、配属される部署と将来の役割を確認しておきましょう。英語力や、前職での経理・IT関連の経験があると評価されやすくなります。
監査法人から事業会社へ移ると年収は下がりますか?
下がるケースもあれば、維持できるケースもあります。大手事業会社の管理職候補として入る場合は維持しやすい一方、中堅・中小の事業会社で経理の担当者として入る場合や、ベンチャー企業に入る場合は下がることがあります。
監査法人では残業代を含めた年収になっていることが多いため、提示された年収だけでなく、残業代、賞与、家賃補助、退職金を含めた総額で比べることが大切です。
一度監査法人を辞めても戻れますか?
公認会計士の登録を維持していれば、監査法人に戻る道は閉ざされません。事業会社やFASで経験を積んだ会計士は、被監査会社の立場を理解しているため、監査の現場でも評価されることがあります。
戻る選択肢を残すためにも、登録の抹消は慎重に考えましょう。事業会社に勤務するなど公認会計士としての業務を行わない場合は、日本公認会計士協会の会費の減額を申請できます。
まとめ
公認会計士や試験合格者が未経験の分野へ転職することは、十分に可能です。特に20代から30代前半であれば、事業会社、FAS、コンサルティングファーム、税理士法人、監査法人と幅広い選択肢があります。30代後半以降は、監査で培った経験を活かせるポジションに絞ることで、未経験の分野にも道が開けます。
一方で、試験に合格したばかりの人は、登録に必要な3年以上の実務経験を満たせるかどうかを確認してから転職先を選ぶ必要があります。また、年収の変化、実務とのギャップ、監査法人を辞めたあとの会費やCPDの管理など、事前に知っておきたい注意点もあります。
未経験の分野への転職を考え始めたら、まずは次の3つから始めてみてください。
- 自分が「未経験」の3つのパターンのどれに当たるかを確認し、5年後に担いたい役割を書き出す
- これまでの監査経験を、担当した業種・規模・役割ごとに整理し、転職先の言葉に置き換えてみる
- 会計士の転職に詳しい転職エージェントに相談し、自分の経験がどの分野でどう評価されるかを確かめる
監査で身につけた力は、未経験の分野でも十分に活かせる土台になります。焦らずに情報を集め、自分に合った次のキャリアを選んでください。























-55.png)