社外取締役には、客観的かつユニークな立場から会社に新たな付加価値をもたらしたり、生え抜きの取締役の業務執行を監視したりすることが求められています。そのため、社外取締役の独立性を確保することが、コーポレートガバナンスの観点から非常に重要です。
社外取締役の独立性については、会社法や上場規程においてさまざまな規制が設けられています。本記事では、社外取締役の独立性に関する会社法や上場規程等の内容、さらに独立した社外取締役を選ぶ際の留意点などを解説します。
社外取締役に独立性が求められる3つの理由section
社外取締役に会社からの独立性が求められるのは、以下の役割が期待されているためです。
独自の専門性を活かして、会社に付加価値を与えるため
社外取締役は、生え抜きの取締役とは異なるバックグラウンドや、特筆すべき専門性などに着目して選任されるケースが多いです。そのため、社外取締役には取締役会において自由闊達に意見を述べ、会社に対して独自の付加価値を与えることが求められています。
社外取締役が独自性を発揮するためには、会社の意見に縛られずに意見を発信するため、会社からの独立性を確保すべきでしょう。
生え抜きの取締役等による不正や利益相反取引を監視するため
弁護士などを社外取締役として選任する際には、会社のコンプライアンス機能を強化する点が大きな目的となります。すなわち、生え抜きの取締役や社内部署による不正や利益相反取引などを監視する役割が、社外取締役に求められているのです。
しかし、社外取締役が生え抜きの取締役と癒着していては、監視機能を実効的に発揮することができません。そのため、コンプライアンス強化の役割を担う社外取締役には、特に高度な独立性が求められます。
少数株主の意見を取締役会において代弁するため
上場会社では、多数株主の意見をそのまま採用するだけでなく、少数株主の意見を尊重して経営に取り入れることも重要になります。その際、社外取締役が少数株主の代弁者となることができれば、取締役会によるバランスの取れた意思決定が可能となるでしょう。
少数株主の意見を代弁するという観点からは、本流から外れた意見を述べるべき場面も生じ得るため、会社からの独立性が求められます。
社外取締役の独立性に関する会社法上の要件section
監査役会設置会社である上場会社等においては、社外取締役の設置が義務とされています(会社法327条の2)。
(社外取締役の設置義務)
第三百二十七条の二 監査役会設置会社(公開会社であり、かつ、大会社であるものに限る。)であって金融商品取引法第二十四条第一項の規定によりその発行する株式について有価証券報告書を内閣総理大臣に提出しなければならないものは、社外取締役を置かなければならない。
引用元:会社法327条の2
会社法上の社外取締役と認められるためには、以下のすべての要件を満たすことが必要です(会社法2条15号)。
十五 社外取締役 株式会社の取締役であって、次に掲げる要件のいずれにも該当するものをいう。
イ 当該株式会社又はその子会社の業務執行取締役(株式会社の第三百六十三条第一項各号に掲げる取締役及び当該株式会社の業務を執行したその他の取締役をいう。以下同じ。)若しくは執行役又は支配人その他の使用人(以下「業務執行取締役等」という。)でなく、かつ、その就任の前十年間当該株式会社又はその子会社の業務執行取締役等であったことがないこと。
ロ その就任の前十年内のいずれかの時において当該株式会社又はその子会社の取締役、会計参与(会計参与が法人であるときは、その職務を行うべき社員)又は監査役であったことがある者(業務執行取締役等であったことがあるものを除く。)にあっては、当該取締役、会計参与又は監査役への就任の前十年間当該株式会社又はその子会社の業務執行取締役等であったことがないこと。
ハ 当該株式会社の親会社等(自然人であるものに限る。)又は親会社等の取締役若しくは執行役若しくは支配人その他の使用人でないこと。
ニ 当該株式会社の親会社等の子会社等(当該株式会社及びその子会社を除く。)の業務執行取締役等でないこと。
ホ 当該株式会社の取締役若しくは執行役若しくは支配人その他の重要な使用人又は親会社等(自然人であるものに限る。)の配偶者又は二親等内の親族でないこと。
引用元:会社法2条15号
- 当該会社または子会社の業務執行取締役等※でないこと
※業務執行取締役等=業務執行取締役、執行役、使用人 - 以下のいずれかの期間において、当該会社または子会社の業務執行取締役等でなかったこと
・社外取締役への就任前10年間
・社外取締役への就任前10年間に、会社または子会社の非業務執行取締役・会計参与・監査役であったことがある場合は、その就任前10年間 - 親会社等※またはその役員もしくは使用人でないこと
※親会社等=会社の経営を支配している個人または法人(会社法2条4号の2) - 兄弟会社※の業務執行取締役等でないこと
※兄弟会社=親会社等が経営を支配している別の会社 - 以下のいずれかの者の配偶者または二親等内の親族でないこと
・取締役
・執行役
・支配人その他の重要な使用人
・自然人である親会社等
上場会社に適用される、社外取締役の独立性基準section
上場会社では、利害関係を有する株主の数が飛躍的に増大することから、社外取締役の役割はいっそう強調されます。そのため各金融商品取引所では、会社法の規定よりもさらに厳しい独立性基準を課し、上場会社に対してガバナンスの強化を求めています。
東証の有価証券上場規程では、独立役員1名以上の確保が義務化
東証の上場会社には、1名以上の独立役員を確保することが義務づけられています(有価証券上場規程436条の2第1項)。「独立役員」とは、「一般株主と利益相反が生じるおそれのない社外取締役または社外監査役」をいいます。
上場会社は、独立役員に関する事項を「独立役員届出書」に記載して東証に提出する必要があり、同届出書は公衆縦覧に供されます(有価証券上場規程施行規則436条の2)。なお、社外監査役を独立役員として位置づける場合には、別途1名以上の社外取締役を確保することが必須となります(有価証券上場規程437条の2)。さらに取締役の中にも、独立役員を少なくとも1名以上確保することが努力義務とされていることに留意しておきましょう(有価証券上場規程445条の4)。
上場管理等に関するガイドラインの「独立性基準」
東証の有価証券上場規程における「独立役員」は、単純に社外取締役または社外監査役でありさえすればよいわけではなく、「一般株主と利益相反が生じるおそれのない」ことが必要です。それだけではなく、当該役員と一般株主との利益相反の可能性が、実質的に審査される点に注意しなければなりません。
一般論としては、以下に挙げるような場合には、一般株主との利益相反が生じるおそれがあると考えられます。
- 独立役員が、経営陣から著しいコントロールを受ける可能性がある場合
- 独立役員が、経営陣に対して著しいコントロールを及ぼす可能性がある場合
東証が定める「上場管理等に関するガイドライン」III 5.(3)の2では、類型的に一般株主との利益相反が生じるおそれのある独立役員の例として、以下のケースを規定しています(独立性基準)。
ただしこれらはあくまでも例示であり、独立性基準に抵触しない場合であっても、一般株主との利益相反の可能性を個別に審査する必要がある点に注意が必要です。
- 会社を主要な取引先とする者もしくはその業務執行者、または会社の主要な取引先もしくはその業務執行者
- 会社から役員報酬以外に多額の金銭等を得ているコンサルタント、会計専門家または法律専門家(法人の場合は、その団体に所属する者)
- 最近において、①または②に該当していた者
- 就任前10年以内のいずれかの時期において、以下のいずれかに該当していた者
・親会社の業務執行者、取締役(社外取締役が独立役員の場合は、監査役を含む)
・兄弟会社の業務執行者 - 以下のいずれかの者(重要でない者を除く)の近親者
- (a)①~④に該当する者
- (b)会社の会計参与(社外監査役が独立役員である場合のみ。法人の場合は、その職務を行うべき社員を含む)
- (c)子会社の業務執行者(社外取締役が独立役員の場合は、業務執行者でない取締役と会計参与を含む)
- (d)親会社の業務執行者、取締役(社外取締役が独立役員の場合は、監査役を含む)
- (e)兄弟会社の業務執行者
- (f)最近において、(b)(c)または会社の業務執行者(社外取締役が独立役員の場合は、業務執行者でない取締役を含む)に該当していた者
社外取締役の独立性に関するコーポレートガバナンス・コードの規定についてsection
東証は上場会社に対して、金融庁と共同で策定した「コーポレートガバナンス・コード」というガイドラインの遵守を求めています。
コーポレートガバナンス・コードにおいても、社外取締役の独立性に関するいくつかの原則が定められており、実際に各上場会社において遵守の取り組みが行われています。
参考:「コーポレートガバナンス・コード」|東京証券取引所
コンプライ・オア・エクスプレイン|遵守するか、遵守しない場合は説明が求められる
コーポレートガバナンス・コードでは、「コンプライ・オア・エクスプレイン(comply or explain)」の原則が採用されています。この原則の下では、コーポレートガバナンス・コードを遵守しない場合には、その理由を説明することが要求されます(東証に提出するガバナンス報告書にて、理由説明を記載する)。
理由説明が不十分な場合は、公表措置の対象になるおそれがあるので注意が必要です(有価証券上場規程436条の3、508条1項1号)。
コーポレートガバナンス・コードの原則4-7~4-9では、独立社外取締役の役割・責務・活用方法・独立性判断基準についての指針を規定しています。各原則の内容を、詳しく見ていきましょう。
独立社外取締役の役割・責務
上場会社は、独立社外取締役には、特に以下の役割・責務を果たすことが期待されることに留意しつつ、その有効な活用を図るべきである。
(i)経営の方針や経営改善について、自らの知見に基づき、会社の持続的な成長を促し中長期的な企業価値の向上を図る、との観点からの助言を行うこと
(ii)経営陣幹部の選解任その他の取締役会の重要な意思決定を通じ、経営の監督を行うこと
(iii)会社と経営陣・支配株主等との間の利益相反を監督すること
(iv)経営陣・支配株主から独立した立場で、少数株主をはじめとするステークホルダーの意見を取締役会に適切に反映させること
原則4-7では、独立社外取締役に求められる役割や責務が、確認的に規定されています。独立社外取締役には、こうした役割・責務を実効的に果たし、取締役会における議論に積極的に貢献することが期待されています。
その観点から、独立社外者のみを構成員とする会合を定期的に開催するなど、独立した客観的な立場に基づく情報交換・認識共有が推奨されています(補充原則4-8①)。
独立社外取締役の有効な活用
独立社外取締役は会社の持続的な成長と中長期的な企業価値の向上に寄与するように役割・責務を果たすべきであり、プライム市場上場会社はそのような資質を十分に備えた独立社外取締役を少なくとも3分の1(その他の市場の上場会社においては2名)以上選任すべきである。
また、上記にかかわらず、業種・規模・事業特性・機関設計・会社をとりまく環境等を総合的に勘案して、過半数の独立社外取締役を選任することが必要と考えるプライム市場上場会社(その他の市場の上場会社においては少なくとも3分の1以上の独立社外取締役を選任することが必要と考える上場会社)は、十分な人数の独立社外取締役を選任すべきである。
原則4-8では、有価証券上場規程における「独立役員1名以上」という最低ラインとは別に、充実したコーポレートガバナンスを実現するための独立社外取締役の確保が求められています。具体的には、上場している市場に応じて、下記の人数以上の社外取締役を確保することが要求されます。
社外取締役として確保すべき人数
- プライム市場→全取締役の3分の1以上
- スタンダード市場、グロース市場→2名以上
※2022年4月に予定される再編後の市場名称。現東証1部はプライム市場およびスタンダード市場、現東証2部はスタンダード市場、ジャスダックはスタンダード市場およびグロース市場、マザーズはグロース市場に振り分けられる。
さらに、プライム市場では全取締役の過半数、スタンダード市場・グロース市場では全取締役の3分の1以上の独立社外取締役を確保することが推奨されています。
少数株主の利益を保護するために取り組むべきこと
特に支配株主を有する上場会社では、少数株主の利益を保護するため、以下のいずれかに取り組むことが求められます。
- 独立社外取締役の人数の確保
- 利益相反取引、行為に関する審議、検討
- 独立社外取締役等で構成される特別委員会の設置
独立社外取締役を複数人設置する場合には、互選により筆頭者を決定して、経営陣との連絡・調整や監査役・監査役会との連携を効率化することも有効です(補充原則4-8②)。
取締役会は、金融商品取引所が定める独立性基準を踏まえ、独立社外取締役となる者の独立性をその実質面において担保することに主眼を置いた独立性判断基準を策定・開示すべきである。また、取締役会は、取締役会における率直・活発で建設的な検討への貢献が期待できる人物を独立社外取締役の候補者として選定するよう努めるべきである。
原則4-9では、東証が定める基準とは別に、各上場会社において独立社外取締役の独立性を実効的に確保するための基準を策定・開示することが求められています。実際にこの原則4-9を受けて、多くの上場会社が、独自に定めた独立性判断基準を公表しています。
独自に定めた独立性判断基準を公表している企業例
大和ハウスの場合
当社は、社外取締役及び社外監査役(以下「社外役員」と総称する)または社外役員候補者が、当社において合理的に可能な範囲で調査した結果、次の各項目のいずれにも該当 しないと判断される場合に、独立性を有しているものと判断します。
- 当社及び当社の関係会社(以下、併せて「当社グループ」という)の業務執行者 1
- 当社グループを主要な取引先とする者 2 又はその業務執行者
- 当社グループの主要な取引先 3 又はその業務執行者
- 当社の大株主(総議決権の 10%以上の議決権を直接又は間接的に保有している者)又はその業務執行者
- 当社グループが総議決権の 10%以上の議決権を直接又は間接的に保有している者又はその業務執行者
- 当社グループの会計監査人である監査法人に所属する者
- 当社グループから役員報酬以外に、多額 4 の金銭その他の財産上の利益を受けている弁護士、公認会計士、税理士又はコンサルタント等
- 当社グループから多額 4 の金銭その他の財産上の利益を受けている法律事務所、監査法人、税理士法人又はコンサルティング・ファーム等の法人、組合等の団体に所属する者
- 当社グループから多額 4 の寄付又は助成を受けている者又は法人、組合等の団体の理事その他の業務執行者
東京ガスの場合
当社は、会社法の定める社外取締役が、当社の上場する証券取引所の独立性判断基準等に準拠した下記①~⑩のいずれにも該当しない場合に、独立性があると判断しています。
【基準】
- 親会社・兄弟会社の業務執行者
- 子会社の業務執行者
- 発行済株式総数 10%以上の主要株主(法人等の業務執行者含む)
- 取引金額が連結売上高の 2%以上ある主要取引先(当社が主要取引先とする者・当社を主要取引先とする者(法人等の業務執行者を含む))
- 当社の会計監査人・顧問弁護士
- 過去3年以内に上記①~⑤に該当する者
- 当社から多額の寄付(過去 3 事業年度の平均で年間 1,000 万円または当該組織の平均年間総費用の 30%のいずれか大きい額以上)を受けている組織の業務執行者
- 当社から役員報酬以外に多額の金銭その他の財産上の利益(過去 3 事業年度の平均で、個人の場合は年間 1,000 万円以上、法人等の場合は当該法人等の連結売上高の 2%以上の額)を得ているコンサルタント、会計専門家、法律専門家
- ①~⑧の近親者(2親等以内の親族)
- 当社グループの役員(社外役員を除く取締役および監査役ならびに執行役員)が社外役員を務める会社グループの役員(社外役員を除く取締役および監査役、執行役ならびに執行役員)である者
戸田建設の場合
戸田建設株式会社(以下、「当社」という)は、当社における社外取締役の独立性に関する判断基準を以下のとおり定め、社外取締役(その候補者を含む)がいずれの項目にも該当しない場合に十分な独立性を有しているものとみなす。
なお、社外取締役は、本基準に定める独立性を退任まで維持するように努め、本基準に定める独立性を有しないことになった場合には、直ちに当社に告知するものとする。
- 当社および子会社等(以下、「当社グループ」という)の業務執行者※1
- 当社の主要な株主※2またはその業務執行者
- 当社グループが主要な株主となっている者またはその業務執行者
- 当社グループを主要な取引先とする者※3またはその業務執行者
- 当社グループの主要な取引先※4またはその業務執行者
- 当社グループの主要な借入先※5またはその業務執行者
- 当社グループから一定額を超える寄付を受けている者※6
- 当社グループの会計監査人である監査法人に所属する者
- 当社グループから役員報酬以外に一定額を超える金銭その他の財産を得ているコンサルタント、会計専門家または法律専門家等※7
- 当社グループの業務執行者が他の会社において社外役員に就いている場合において、当該他の会社の業務執行者
- 過去3年間において、上記2から10までのいずれかに該当していた者
- 上記1から11までのいずれかに該当する者の配偶者または二親等内の親族若しくは同居の親族
- 現在独立社外取締役の地位にあり、再任された場合の通算在任期間が8年を超える者
- 上記各項のほか、当社と利益相反が生じうるなど、独立性を有する社外取締役としての職務を果たすことができない特段の事由を有している者
以 上
- ※1業務執行者とは、法人等の業務執行取締役、執行役、執行役員、その他これらに類する役職者および使用人等の業務を執行する者をいう。
- ※2主要な株主とは、総議決権の10%以上の議決権を直接または間接的に保有している者をいう。
- ※3当社グループを主要な取引先とする者とは、直近事業年度における当社グループとの取引額が当該取引先の連結売上高2%を超える者をいう。
- ※4当社グループの主要な取引先とは、直近事業年度における当社グループの当該取引先との取引額が当社グループの連結売上高の2%を超える者をいう。
- ※5当社グループの主要な借入先とは、直近事業年度末における当社グループの当該借入先からの借入額が当社グループの連結総資産の2%を超える者をいう。
- ※6当社グループから一定額を超える寄付を受けている者とは、過去3事業年度の平均で年間1,000万円を超える寄付または助成を受けている者をいう。ただし、当該寄付を受けている者が法人、組合等の団体である場合には、当該団体の総費用の30%を超える団体に所属する者をいう。
- ※7当社グループから役員報酬以外に一定額を超える金銭その他の財産を得ているコンサルタント、会計専門家または法律専門家等とは、直近事業年度において、役員報酬以外に1,000万円を超える財産を得ている者をいう。ただし、当該財産を得ている者が法人、組合等の団体である場合には、当該団体の連結売上高または総収入の2%を超える団体に所属する者をいう。
独立性の確保された社外取締役の人選を行う際のポイントsection
上場会社が社外取締役を選任する際には、会社法や上場規程等の規制内容を満たすような人選を行う必要があります。
これに対して非上場会社の場合は、法律や上場規程との関係に限って言えば、社外取締役に対して高度の独立性が必須となることはありません。しかし冒頭で述べた社外取締役の役割に鑑みると、非上場会社の社外取締役についても、上場会社に準じた独立性が確保されることが望ましいといえるでしょう。
独立性を確保する観点からは、これまで会社と関わりがなかった人を社外取締役に選任することが推奨されます。そのため、取引先の役員や顧問弁護士などを社外取締役として選任することは、あまりお勧めできません。
たとえば、外部の弁護士に就任を依頼したり、できるだけ関係性の遠い人を知人から紹介してもらったりする方法が有効になるでしょう。十分に独立性が確保された社外取締役を選任することは、コンプライアンスや経営の透明性を高め、株主に対してポジティブなメッセージにもなります。
自社のニーズを満たす専門性に着目することに加えて、独立性の観点にも十分に配慮する形で、社外取締役の人選を行ってください。
まとめ
社外取締役の独立性については、会社法に加えて、金融商品取引市場(東証など)の上場規程やコーポレートガバナンス・コードにおいてもルールが定められています。
これらの規制は、いずれも上場会社に対して適用されるものです。しかし非上場会社でも、社外取締役の独立性を確保することは、コンプライアンス強化・多様性の向上などの観点から有効になり得ます。
今後会社の規模を拡大していくことを目指す場合には、早い段階から社外取締役を選任することも有力な選択肢です。社外取締役に期待される役割を適切に果たしてもらうためには、既存の取引先や顧問弁護士などではなく、これまで会社と繋がりのなかった人の中から人選を行うとよいでしょう。
十分な独立性と資質を兼ね備えた社外取締役は、会社に対してポジティブな影響を与えますので、ぜひ積極的に社外取締役のリクルートに取り組みましょう。