経理で年収1000万円を実現するための条件と戦略を解説！

経理職で年収1000万円を実現するためには、一般的な経理経験だけではなく、高度な専門性や多様なスキルが求められます。

本記事では、経理職で年収1000万円を実現可能な職場やポジション、高年収を稼ぐ人材の共通点、目標達成に向けた戦略を解説します。

経理で年収1000万円を超える人の割合

そもそも経理で年収1000万円を超えることは可能なのか、データで検証してみましょう。

国税庁の民間給与実態統計調査によると、令和5年に年収1000万円を超えた方の割合は全体の5.5％でした。

これらのデータから、経理で年収1000万円の人はいるものの、割合としては極めて少ないことがわかります。

参考：国税庁|令和5年分　民間給与実態統計調査

年収1000万円の経理人材に要求される経験

年収1000万円を目指す経理職に求められるのは、単に業務を正確にこなすだけではなく、専門性の高さとビジネスへの貢献が評価される経験です。

以下では、特に重要な5つの経験について解説します。

マネジメント経験

年収1000万円を達成する経理職には、マネジメント経験が必須です。

チームの目標設定や業務分担、進捗管理、メンバーの育成などを通じて経理部門全体の効率化を図る能力が求められます。

特に、メンバーのスキルアップやモチベーション向上を図り、部門の生産性を高めた実績は高く評価されるポイントです。

年次決算を単独で完結した経験

年次決算をひとりで完結できる力は、経理の専門性を示す重要な指標です。

このスキルは、企業の財務状況を正確に反映し、税務申告や監査対応にも大きく影響します。

単独で決算を完了させるためには、経理業務の幅広いプロセスを理解し、自信をもって遂行できる実務力が必要です。

監査法人対応、金融機関対応

監査法人や金融機関への対応経験は、年収1000万円の経理求人でよく要求される経験です。

監査法人対応では、財務諸表の正確性を説明し、求められる資料を迅速に提供する能力が重視されます。

金融機関対応においては、資金調達や融資契約に関する交渉力、財務の信頼性を伝えるスキルが求められます。

これらの経験は、経理の専門知識を深めるだけでなく、企業の信頼構築に直結する重要な要素です。

上場企業での連結決算、開示書類作成経験

上場企業における連結決算や開示書類の作成経験は、経理のキャリアを大きく飛躍させるスキルです。

この業務には高度な専門性が必要とされることから、高年収を提示されるケースが多々あります。

連結決算では、複数の子会社を含む複雑な財務構造を管理し、正確な財務情報を提供する能力が求められます。

開示書類作成においては、規制要件を遵守しつつ、投資家や市場に対して企業の財務状況を適切に伝えることが重要です。

IPO準備のスキル・経験

IPOの準備は、高度な専門知識と実務経験を必要とする分野です。

上場基準を満たすための内部統制の構築や財務諸表の透明性向上、監査法人との密接な連携など多岐にわたる業務が含まれます。

また、IPOプロセスの中で経営陣や外部専門家との調整をおこなうことで、ビジネス全体を俯瞰する能力も養われます。

こうした経験は企業価値の向上に直接貢献できるため、高年収を提示される可能性が高まります。

経理で年収1000万円を実現可能な職場・ポジション

年収1000万円を達成するためには、適切な職場選びやポジションを目指すことが重要です。

それぞれの企業や役職には異なる特徴があり、自分のスキルやキャリアビジョンに合った選択が成功への鍵を握ります。

ここでは、経理で年収1000万円を実現するために適した職場やポジションについて解説します。

上場企業・大手企業

上場企業や大手企業の経理部門では、年収1000万円に到達するポジションが多く存在します。また、福利厚生やボーナス制度も充実している場合が多く、総合的な収入面での魅力もあります。

特に、連結決算や開示業務など、高度な専門知識が求められる業務を担うポジションが高収入につながります。

大規模な経理チームの中で部門全体を統率するマネージャーや部長職に就くことで、さらに高い年収が期待できます。

外資系企業

外資系企業は、年収1000万円以上を実現しやすい環境のひとつです。

外資系企業では成果主義が一般的であり、優れたパフォーマンスを発揮することで年収アップの機会が広がります。

また、社内でのキャリアパスが明確で、CFOやファイナンスディレクターといった高収入の役職を目指せる点も魅力です。

急成長中のベンチャー

急成長中のベンチャー企業も、経理として年収1000万円を目指す際の選択肢のひとつです。

特にIPO準備段階にある企業では、上場に向けた内部統制構築や財務戦略の立案といった重要な役割を担うことで、高い報酬を得られる可能性があります。

成果を出せば、株式報酬やストックオプションを含めた収入増も期待できます。

経理部長、経理マネージャー、CFO

役職としては、経理部長や経理マネージャー、CFO（最高財務責任者）が、年収1000万円以上を実現する代表的なポジションです。

成果が直接評価されるため、高収入につながりやすいポジションでもあります。

これらのポジションでは経理業務全体の統括だけでなく、経営陣と連携して財務戦略を策定し、企業の成長に貢献する能力が求められます。

特にCFOは、経理に加えて資金調達や投資戦略にも深く関与するため、豊富な経験が必須です。

経理で年収1000万円が実現可能な業種

経理で年収1000万円を達成するためには、働く業種の選択も重要なポイントです。経理が年収1000万円を実現しやすい代表的な業種について解説します。

商社

商社は、経理が高収入を目指せる業種のひとつです。

年収1000万円を得るためには、国際的な取引を背景に複雑な財務構造の管理や多国籍の取引先との対応が求められるうえに、決算業務や財務分析などの各国の税務や規制に対応する力が必要になります。

また、海外駐在やプロジェクト管理などの経験がキャリアに加わることで、さらに高収入を目指せるチャンスがあります。

金融

金融業界も経理が年収1000万円を目指せる業種で、資金管理や財務モデリングといった高度なスキルが必要なこともあり給与水準も高いです。

金融規制に関する深い知識や、監査法人・金融庁とのやり取りの経験があると、さらに価値が高まります。

金融業界は専門性が評価される環境なので、適切なポジションを選ぶことで収入面での飛躍が可能です。

医療・メディカル

医療業界も、経理職として年収1000万円を狙える選択肢です。

大手製薬会社や医療機器メーカーなどでは、大規模な研究開発投資に関する財務管理や国際的な規制に対応する必要があります。

医療業界特有の事業モデルを理解し、予算管理やコスト削減を通じて経営に貢献することで、高収入につながる可能性が高まります。

IT

IT業界は、年収1000万円を実現する可能性が高い成長分野です。

急速な事業拡大に伴う財務戦略の立案や資金調達のサポートや、M&Aに関する業務やIPO準備業務に携われるスキルを持っていれば、そのスキルが年収の評価に反映されることが期待できます。

年収1000万円の経理に任される業務

年収1000万円以上を得る経理人材には、経理業務の中でも重要かつ高度な役割が求められます。

日常的な経理業務ではなく、企業全体の経営に影響を与えるような業務に携わることが一般的です。

以下では、年収1000万円を実現する経理人材が任される主要な業務について解説します。

マネジメント業務

重要な業務のひとつは、経理部門のマネジメントです。経理部門内の業務フローの最適化や業績向上に貢献するため、経理の方針決定や指導、メンバーの育成をおこないます。

また、ほかの部門との連携や経営陣とのコミュニケーションを通じて、経理部門の効率化や業務改善を進める責任があります。

マネジメント業務は経理部門を円滑に運営し、企業全体の成長を支えるために不可欠な役割です。このような高い責任を負う業務であるため、高年収のケースが多々あります。

管理会計

管理会計は、経営陣に対して財務情報を提供し、企業の戦略的意思決定をサポートする重要な業務です。

予算や実績の差異分析、経営資源の最適化を図るための経営報告書作成、業績指標の設定などを通じて経営層の意思決定を支える役割を果たします。

経営戦略に基づいた専門的な知見を提供することが求められるため、年収も高い傾向があります。

連結決算

上場企業や大企業において、連結決算は非常に重要な業務です。

企業グループ全体の財務状況を把握し、複雑な取引や関係会社との調整をおこないながら、連結決算を完成させる責任を担います。

特に国際的な事業展開をしている企業では、各国の会計基準や税制に対応した高度な知識と経験が求められます。連結決算を経験することで、企業全体の財務戦略に深く関わり、年収アップにつながるポジションに就くことができます。

開示資料作成

年収1000万円を得る経理は、企業のIR活動にも関与し、開示資料の作成を担当することがあります。

特に上場企業や上場準備中企業では、決算短信や四半期報告書、年次報告書など、外部に向けて正確かつ透明性の高い財務情報を提供する責任が生じます。

開示資料の作成には、財務諸表だけでなく、経営の方向性や今後の成長戦略を伝えることが求められます。

監査対応

監査対応も、年収1000万円を得ている経理の代表的な業務です。

監査に必要な資料の準備や監査法人との調整、監査結果に基づく改善策の提案など、経理部門の信頼性を維持するための業務をおこないます。

また、監査結果に応じて、財務報告体制や内部統制の強化に向けた取り組みを実施することも重要です。監査対応は企業の透明性を確保するために欠かせない役割を担います。

業務プロセスの改善や決算体制構築

経理業務の効率化や決算体制の構築も大きな役割のひとつです。

ツールやAIを活用した効率化、業務マニュアル化、決算期のスケジュール管理などが求められます。

業務プロセスの改善やスムーズな決算体制の構築を進めることにより、企業全体の財務処理が迅速化し、経理部門の成果を最大化できます。

経理が年収1000万円を実現するために評価される資格

年収1000万円を実現するためには、高度な知識とスキルを証明できる資格の取得が役立ちます。

特に以下の資格は難易度や市場評価が高いため、取得することで年収1000万円に近づけるでしょう。

公認会計士・USCPA

公認会計士の資格は、極めて高度な会計の専門知識を持っていることが証明できる資格です。

企業の経理で活用する際には、監査対応や財務戦略、経営陣へのアドバイスなどの重要な役割を担うことができます。

経理部長やCFOなどの高ポジションに就く際にもアピール可能です。

また、USCPA（米国公認会計士）は、国際的に認知されている資格であり、グローバルに展開する企業でのキャリア形成を目指す場合に有利です。

海外の子会社や現地法人の管理を担当するチャンスなども広がり、年収1000万円以上のポジションを狙うことができます。

税理士

税理士資格も、経理人材にとって価値の高い資格です。

税務の知識を深めることで、企業の税務リスクを適切に管理し、税務戦略の立案や税務調査の対応などの重要な役割を果たせます。税理士を取得することで税務の専門家としての地位が確立され、大手企業や上場企業での税務部門や経理部門のリーダーとして高い評価を得ることができます。

簿記1級

簿記は経理業務における基本的かつ重要な資格で、経理の専門知識をもっていることを証明する資格です。

特に、難易度の高い簿記1級を取得していることは、経理業務の上級者として信頼されるため高年収につながります。

英語力

年収1000万円を目指すには、会計に関わる資格に加えて英語力も求められる要素になります。

英語力を活かして海外子会社の連結決算やIFRSの対応をおこなうことができれば、高ポジションへ昇進するチャンスが広がります。

経理で年収1000万円を稼ぐ人の共通点

年収1000万円を達成する経理人材には、いくつかの共通する特徴があります。

スキルや知識をもっているだけでなく、企業に対して高い価値を提供しているのが特徴です。

以下では、年収1000万円を稼ぐ経理人材の共通点について解説します。

常に最新の知識やスキルを磨いている

経理業務は常に変化しており、会計基準や税法の改正、新しいテクノロジーの導入などに目を向ける必要があります。

年収1000万円を稼ぐ経理人材はこうした変化に敏感であり、常に最新の知識やスキルを追求しているのが特徴です。

たとえば、デジタル化やAIを活用した業務の効率化など、業界のトレンドを理解し、実務に役立てる姿勢があります。

また、資格の取得やセミナーへの参加といった自己投資を惜しまないことも共通しています。

時代や環境の変化にも柔軟に対応できる

ビジネスのグローバル化や業務のデジタル化などが進む中で、年収1000万円を稼ぐ経理人材は、変化に対する柔軟な考え方や行動力をもっています。

時代や環境の変化が起きても新しい方法やツールを積極的に取り入れ、対応する能力があるのが特徴です。

また、突発的な経済危機や業界の変動においても冷静に対応し、企業にとって最適な経理戦略を立てられる柔軟性があります。

このような対応力は、企業の経営層から信頼を得るために不可欠であり、結果として高年収のポジションにつながります。

論理的思考力がある

優れた論理的思考力があることも共通点です。

経理の仕事では、数字の背景にある経済的な要因や企業戦略を理解し、論理的に分析する能力が欠かせません。

経営判断に関わるような場面においても、データに基づいた論理的な提案をおこなえることが、年収1000万円を稼ぐ経理人材の特徴です。

論理的思考力により、経営陣に対して説得力のあるアドバイスができ、価値のある経理人材として評価されます。

課題を特定し実行する力がある

年収1000万円を稼ぐ経理人材は単に業務をこなすのではなく、業務の中で発生する課題を特定し、具体的な解決策を実行に移す力をもっています。

たとえば、業務の効率化や新たな会計システムの導入、ガバナンスの強化など、企業全体にプラスの影響を与えるような課題に積極的に取り組みます。

課題を見つけ解決策を導くことができる能力は、経理部門のみならず企業全体に対する貢献を示すことができ、結果として高い年収につながります。

経理で年収1000万円を狙うための戦略

経理で年収1000万円を狙うためには、計画的にキャリアを積み上げ、適切なスキルや経験を磨くことが求められます。

単に経理の仕事をこなすだけでは年収が1000万円に届かないため、専門性を高めることやキャリアのステップアップが必要です。

以下では、年収1000万円を目指すためのキャリア戦略について解説します。

高度な専門性をもつ

まずは、経理としての基礎的なスキルを習得したうえで、専門性を深めることが重要です。経理の基本的な業務をこなすだけでは年収1000万円には届きません。

基礎的な経験を積んだあと、連結決算や管理会計、税務などの専門的な分野に従事することが必要です。

特に、企業の経営陣と直接関わる管理会計や、国際的な取引が多い連結決算の経験を積むことが、年収アップへつながります。専門性の高い分野で実績を積むことで、より高いポジションや年収が得られます。

専門性の高い資格を取得する

専門性を証明する資格の取得も効果的です。

公認会計士やUSCPA、税理士などの資格は経理業務に深い理解があることを証明でき、企業からの評価につながります。

これらの資格はキャリアアップにも有効です。管理職への昇進を目指す場合に、これらの資格が有利にはたらくことがあります。

資格取得を通じて、専門性を深めると同時にキャリアの飛躍を狙うことが可能です。

業務の幅を広げる

ひとつの業務の専門性が高いことも重要ですが、年収1000万円を目指すためには業務の幅を広げることも欠かせません。

たとえば、決算業務の経験が豊富でもそれだけでは年収1000万円に到達できないことが多いため、管理会計や予算編成といったほかの分野も経験しておくことが必要です。

幅広い業務を経験することで、企業にとって極めて重要な経理人材となり、年収1000万円に近づきます。

英語力を強化する

外資系企業やグローバル企業で働くことを視野に入れるなら、英語力は必須です。

英語力を高めることで、給与水準が高い企業や国際的な業務に携わることができ、年収1000万円を目指すチャンスも広がります。

また、英語を使った業務に従事することで専門性をさらに高め、より高い役職に就くことが可能です。

管理職を目指す

年収1000万円を得るには経理マネージャーやCFOなどのポジションに就くことが必要です。

まずは、経理課長を目指し、経理部長や経理マネージャー、CFOへとステップアップしていきましょう。

現状では1000万円に到達しなくても、管理職経験を積むことでキャリアの選択肢が広がります。スタートアップ企業の財務責任者や外資系企業などの多彩な選択肢から選べるため、結果的に年収1000万円に近づきます。

経理に特化した転職エージェントに相談する

年収1000万円の経理求人は少ないため、自力で求人を探すのは限界があります。

自分に合ったポジションを見つける可能性を広げるためには、転職エージェントへ相談するのが近道です。

転職エージェントでも経理に特化していれば、総合型の転職エージェントが保有していない経理の非公開求人を保有している可能性が広がります。

また、求人情報だけでなく、キャリアアップのための戦略やアドバイスを提供してくれます。

自分の市場価値を正確に把握し、適切なキャリアプランを立てるためにも、転職エージェントのサポートを受けることが重要です。

まとめ

経理で年収1000万円を目指すためには、基礎的なスキルや経験を積み上げるだけでなく、高度な専門性と業務の幅を広げる努力が求められます。

資格の取得や英語力の強化、管理職へのステップアップも重要なポイントです。自分の市場価値を把握し、戦略的にキャリアを築くことで、理想の年収を実現できます。