検事から弁護士へ転職を目指す!知識やスキルを活かす転職活動の進め方や転職するメリットを解説

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検事(検察官)としての経験を活かしつつ、新たなキャリアとして弁護士になることを検討している方もいることでしょう。

弁護士への転身を目指すにあたり、検事と弁護士の違いをあらためて確認するとともに、検事出身者としての強みや転職活動の進め方を把握しておくことが大切です。

本記事では、検事から弁護士への転職を実現させるために知っておくべき点を解説します。

目次
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検事から弁護士へ転職を考える主な理由section

検事が弁護士へ転職する主な理由として、以下の3つが挙げられます。

転勤が難しくなった

検事の仕事では、全国各地にある検察庁への転勤が避けられないものです。

転勤の頻度や異動先の場所により、家族や自身のライフスタイルに影響を及ぼすことが少なくありません。とくに家族がいる検事にとっては、子どもの教育や配偶者のキャリアといった問題が生じることがあります。

この点、弁護士は自身が希望する地域での就業が可能です。特定の地域に根ざし、自身や家族の生活に合わせたキャリアを築ける点に魅力を感じ、転職を決意するケースは多くあります。

業務幅を広げたい

検事の仕事は主に刑事事件に関わるものであり、民事事件や企業法務といった分野の経験は積むことができません。

しかし、法律家としてのスキルをさらに広げ、多様な法的問題に対応できる力を養いたいと考える検事もいます。

また、検事として犯罪抑止や社会正義の実現に貢献してきた経験をもとに、検事ではなく別の形で社会貢献を果たしたいという思いをもつ場合もあります。

たとえば「弁護士として弱者の権利を守りたい」「企業の成長を法的にサポートしたい」といった思いです。

弁護士になることで、民事事件や企業法務、国際取引や知的財産といった幅広い分野に挑戦することができます。法律家としてのキャリアを、より多角的に発展させることが可能です。

自由で独立した職務環境で働きたい

検事は国家公務員なので、法にもとづいた厳格な職務が求められます。そのため、強い裁量権をもって職務を遂行することや自由な環境下で働くことは難しい面があります。

一方で、弁護士は自由で独立した職務環境において、自身の判断にもとづいてクライアントの利益を最優先に活動することができます。働き方の自由度が高く、ワークライフバランスを自分で調整することも可能です。

このような点に魅力を感じ、弁護士へ転職したいと考える検事もいます。

検事と弁護士の仕事の違い
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弁護士への転身を検討する場合、検事と弁護士の仕事の違いについてあらためて理解しておく必要があります。

役割と扱う事件の種類

検事は主に刑事事件に関与し、国家を代表して犯罪の捜査と起訴をおこないます。国家公務員として国民の安全や法秩序を守ることが役割です。警察と協力して事件の立証をおこない、被疑者を起訴するか否かを判断します。

一方、弁護士は個人や企業の権利を守るために、幅広い法的問題に対応します。扱う事件は刑事事件に限らず、民事事件や家事事件、企業法務など多岐にわたります。弁護士は依頼者の利益を最優先に考え、法廷での弁護や交渉を通じて依頼者の権利を守ることが役割です。

業務内容の範囲

検事の業務は主に刑事事件の捜査・起訴・公判の準備に集中しています。証拠の収集や被疑者の取調べなどを通じて起訴・不起訴を判断するのが仕事です。

起訴後は裁判における公正な判決が下されるように、法廷での立証活動や弁護側との論争が主な業務となります。

弁護士の業務は法律相談や契約書の作成、裁判外での和解交渉、法廷での弁護活動など多岐にわたります。依頼者の要望に応じてさまざまな法的問題に対処し、解決策を提供するのが仕事です。

企業の顧問弁護士として日常的な法務をサポートすることもあれば、個人の離婚や相続問題を扱うこともあります。

働き方

検事は国家公務員として働き、検察庁や法務省に所属します。定められた職務を公的な立場で遂行し、安定した雇用や給与、福利厚生があります。

規則的な勤務時間が一般的ですが、事件によっては長時間勤務や緊急対応が求められることも少なくありません。地域への癒着を防ぎ公平性を維持するために全国転勤もあります。

弁護士は法律事務所において業務委託契約(個人事業主)で働くか、企業や事務所に雇用されるのが一般的です。自分の法律事務所を経営する働き方もあります。民間で活動するため働き方の自由度が高く、個人の裁量に任される部分が多いです。

ただし、公務員のような安定した雇用・給与・福利厚生には期待できません。案件の量や依頼者のニーズに応じて柔軟に働くことが求められ、長時間労働になることも多くあります。

キャリアパス

検事のキャリアパスは、国家公務員として検察庁内で昇進することが一般的です。経験を積むことで、検事長や次長検事、さらには検事総長へと昇進する道があります。検事には定年があるため、退官後に弁護士へ転身するケースも見られます。

これよりも弁護士のキャリアパスは、非常に多様です。

独立して自分の法律事務所を開業することもあれば、大手法律事務所でパートナーとして活躍する道もあります。企業の法務部門に移り企業内弁護士としてキャリアを築くことや、法科大学院で教員として活動すること、法務コンサルタントとして活動することなども可能です。

検事と弁護士の仕事の違い
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検事としてのキャリアをもつ法律家が弁護士に転身する際、その経験は大きなアドバンテージとなります。以下の4つの点から、検事出身の弁護士がもつ強みを解説します。

検察側の視点を理解した弁護活動ができる

検事としての経験は、刑事事件における検察側の視点や戦略を深く理解していることを意味します。

これにより弁護士として刑事事件の弁護をおこなう際、検察側の意図や立証の弱点を見抜くことができ、より効果的な防御策を構築できます。検事時代に培った捜査手法や証拠の扱い方の知識を活かして、依頼者に対する的確なアドバイスができるのは大きな強みです。

また、検事としてのネットワークを活かした情報収集ができる点も、検事出身者のアドバンテージになるでしょう。

法的手続きや法廷活動に対する深い理解がある

検事としての業務経験から、法的手続きや法廷での活動に精通していることも、弁護士としての強力なアドバンテージとなります。

検事時代に数多くの刑事事件を取り扱い、法廷での訴訟手続きや証拠の扱いに長けているため、弁護士としてもスムーズに法廷活動を進めることができます。とくに、迅速かつ正確な対応が求められる裁判手続きにおいて、検事出身の弁護士はその実力を発揮することが可能です。

依頼者に対する信頼感を与えられる

検事としてのキャリアは、法律のエキスパートであることを示す客観的な証拠です。公的な立場での経験は、説得力のある法的助言を提供できる根拠となります。

そのため検事出身の弁護士は、依頼者に対して高い信頼感を与えることができます。法律に精通したプロフェッショナルとしての評価を得やすく、依頼者との信頼関係を築くうえで有利にはたらくでしょう。

困難な案件を抱えた依頼者にとって、検事経験をもつ弁護士に依頼することは、安心感をもたらす要因となるはずです。このことは、弁護士を採用する法律事務所にとってもメリットが大きいため、採用される可能性を高められます。

ハードワークやストレスへの耐性がある

検事の仕事は非常にプレッシャーのかかる環境で長時間労働を強いられることも多く、タフな精神力と体力が必要です。そのため、検事出身の弁護士は、弁護士業務においても同様にハードワークやストレスに耐える力をもっています。

忙しい案件を同時に抱えることがあっても、強い精神力と集中力で乗り切ることができ、依頼者に対して安定したサービスを提供できるでしょう。

検事から弁護士へ転職するメリット
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検事から弁護士へ転職する主なメリットは、以下の3つです。

法律家として幅広い経験を積める

検事は主に刑事事件を担当しますが、弁護士に転職することで民事事件をはじめさまざまな分野に携わることが可能になります。

法律家としてのスキルや視野を広げ、より多様な案件に対応できるようになることで、自己成長につながりキャリアの充実感ややりがいも抱きやすくなるでしょう。

自由度の高いキャリアパスを展開できる

検事のキャリアは公務員として安定していますが、その反面で転勤や組織の枠内での昇進などキャリアの自由度が制限されることもあります。そのため弁護士に転職することで、キャリアパスの選択肢が広がります。

自分のキャリアを自分でデザインする自由が手に入るのは、弁護士としての大きな魅力です。

年収が上がる可能性がある

弁護士への転職によって、検事として働くよりも年収がアップする可能性もあります。

検事の報酬は上限がありますが、弁護士は自分の能力や努力次第で収入を大きく伸ばすことができるのが魅力です。とくに企業法務や大手法律事務所での業務に従事する場合、実力や給与テーブルに応じて高い報酬を得られる可能性があります。検事としての経験が評価され高度な案件を任されることも多いため、その分報酬も高くなることが期待できるでしょう。

検事から弁護士への転職で考慮すべき点
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弁護士への転職にあたり、希望するキャリアによっては転職活動が難航することもあります。また、転職活動のスケジュールにも注意が必要です。

刑事弁護以外を希望する場合は即戦力として評価されない

検事としての経験は刑事事件に特化した高度なスキルを培いますが、弁護士業務全般において即戦力とみなされるのは難しい場合があります。とくに、民事事件や企業法務、知的財産権関連といった刑事事件以外の分野を希望する場合、その経験不足が課題となることが考えられます。

したがって、検事としての経験をダイレクトに活かすなら刑事事件の分野を選ぶ必要があります。検事としての経験が非常に有利に働き、重大な刑事事件における対応力や裁判における立ち回りが即戦力として評価されるでしょう。刑事事件以外の分野を目指す場合には、新たに学び直す必要があることを認識し、その準備を早急に進めることが重要です。

登録手続きと期間について知っておく

検事から弁護士への転身を考える際に、弁護士登録に関する手続きと期間についても十分に理解しておく必要があります。

弁護士になるためには、弁護士会への登録が必要です。弁護士会によって書類提出期限や登録予定日などが異なるため、事前によく確認しておきましょう。スケジュールを間違えるとキャリアのブランク期間が生じる可能性があるため、少なくとも実際の応募に入る頃には確認しておくことが大切です。

検事から弁護士へ転職する具体的なステップ
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ここでは、転職活動の具体的な進め方について解説します。

検事経験の振り返りと志向、強みの明確化

まず、検事としての経験を振り返り、自身の強みや興味を明確にすることが重要です。

これまでに扱ってきた刑事事件でのスキルや人脈を活かした情報収集能力など、自分の強みを整理し、それをどう弁護士業務に活かすのかを考えましょう。検事としてのキャリアを活かしつつ、今後どんな方向性で仕事をしていきたいのかを深く掘り下げることが、転職成功の鍵となります。

キャリアパスの検討

次に、弁護士としてどのようなキャリアを目指すのかを検討します。

刑事弁護を中心に展開するのか、あるいは異なる分野にチャレンジしたいのか、自分の強みと志向にもとづいてどのキャリアパスが自分に適しているのかを考えることが重要です。短期的なキャリアだけでなく長期的な展望も考慮し、将来的に目指す弁護士像をイメージしておくとよいでしょう。

希望条件の整理

弁護士としての働き方に関する希望条件を整理します。

年収や勤務地、所属する法律事務所の規模や雰囲気など、転職において重視するポイントを明確にしておきましょう。自分のキャリアプランと照らし合わせながら、譲れない条件と柔軟に対応できる条件を区別して整理することが大切です。

弁護士登録の手続き

弁護士としての活動を開始するために、弁護士会への登録手続きを完了させましょう。手続きには一定の期間がかかるため、転職活動のスケジュールに余裕をもたせて進めることが大切です。

転職エージェントへの相談

検事から弁護士への転職は、専門的な知識や業界の動向に精通した転職エージェントに相談することが有効です。

自分では気づきにくい強みやキャリアパスの選択肢を提供してもらえるだけでなく、弁護士業界での最新の求人情報やキャリア形成に役立つアドバイスを得ることができます。

とくに弁護士のキャリアや働き方に精通した「弁護士特化型」の転職エージェントへの相談が役に立ちます。

まとめ

検事から弁護士への転職を成功させるには、検事時代の経験や強みを整理するとともに、弁護士としてのキャリアビジョンを明確にすることが大切です。

希望する条件面や登録手続きについても確認しておきましょう。弁護士のキャリアで不明な点があれば、転職エージェントへの相談が有効です。

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上場支援、CGコードの体制構築などに長けた、専門性の高い「弁護士」を社外取締役候補としてご紹介。事業成長とガバナンス確保両立に、弁護士を起用したい企業様を支援している。

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