【2023年】社外取締役の不足の現状|原因や影響・不足解消のカギについて徹底解説

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今、上場企業を中心に、社外取締役の人材確保が大きな課題となっています。社外取締役が不足しているという現状は、どのようなものなのでしょうか。この記事では、社外取締役の不足の原因や影響、不足解消を解決するために必要な人材などについて、解説していきます。

目次
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上場企業等での社外役員経験や非常勤監査役経験を持つ専門家をご紹介。社外役員兼務社数4社以下、経験年数10年以上、女性社外役員など、800名以上のプロフェッショナルとマッチングが可能です。

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社外取締役の不足に関する現状についてsection

社外取締役の設置義務化を含む改正会社法の施行に伴い、新聞各社が社外取締役の不足について様々報じました。

日経による報道内容

具体的な報道内容は、次の通りです。

  • 「2021年に金融庁や東京証券取引所が企業統治指針(コーポレートガバナンス・コード)を改定すると、約1000人の独立社外取締役が不足する見通し。」
  • 「上場企業が東証に提出するコーポレートガバナンス報告書をQUICKで集計したところ、東証1部(外国会社除く)の2178社のうち、独立社外の人数が3分の1に満たない企業数は4割強の896社ある。」
引用元:社外取締役、900社で計1000人不足 統治指針改定で|日経新聞2020年12月26日

コーポレートガバナンス・コードの改訂に伴う形で、900人を超える数の社外取締役人員が不足しています。あくまで、独立社外取締役に関するもので、しかも1人いるかいないかという話ではなく、より高い水準を求めていく過程での現状です。

東証一部上場企業という上位銘柄の企業群の中での数値ではありますが、日本企業における外部人材の不足を如実に示しています。

今後の見通し

コーポレートガバナンス・コードの改訂に伴う社外取締役の不足が明らかになったことから、今後は、社外取締役の登用が増加していくことが見込まれています。敷衍すれば、様々な分野のエキスパートは、活躍の途がより広範になります。

参考:社外取締役、900社で計1000人不足 統治指針改定で|日経新聞2020年12月26日

社外取締役兼務の現状

上場企業でも、ある企業の社外取締役が他の企業でも社外取締役を務める例が数多く見受けられています。日経によると、東証一部では2社以上の社外役員を兼務するのが1284人で、3年で2割増、4社以上の兼務も45人に上ります

社外取締役の兼務は、一面において、例えばある企業における経営スキルを他社で活用しつつ、他社で社外取締役として客観的な立場から経営を評価、事業改善に取り組んだ経験を自社に還元することができるというメリットもあります。

他方で、こうした社外取締役兼務の現状は、現状の個々の社外取締役人材の負担を増大させ、疲弊を招くことにもなります。兼務が増えれば、その分1つ1つの企業に注力する時間が分散するため、限度を超えれば質が低下するおそれがあるのです。

1つの企業での経営における課題を解決することに注力できない・しないことは、リスクが少なくありません。

社外取締役の不足の原因・理由section

社外取締役の人材不足の原因は、様々な理由がありますが、ここでは海外との制度の比較、育成体制の不十分さ、経営人材の流動性の低さの3点について、詳述していきます。

古くからの日本企業における経営陣の体質

1点目は、日本の企業の中で、経営について他者(社外の人材)から監視されることを忌避する体質があることが挙げられます。これには、様々な原因が考えられますが、所有と経営の分離が明確でないという構造的な問題点もあります。
参考(吉岡美愛・柏木理佳『諸外国と比較した日本の社外取締役・監査役制度の現状と課題』40頁参照)。

また、機関設計の構造にも問題があると考えられます。諸外国では、20世紀の段階から経営陣の内側に、客観的かつ独立の立場から経営をモニタリングする人材を確保する機関設計がありました。

参考:主要国の取締役会と社外取締役|金融庁 2005

しかし、日本では、委員会設置会社の導入が21世紀に入った段階でした。そして、委員会設置会社は、構造がやや複雑であったため導入が進まなかったという問題があります。そこで、2014年(平成26年)の段階になって監査等委員会設置会社の導入がされてから、社外取締役人材の確保が進むようになりました。

こうした遅れの中で、日本企業では、客観的かつ独立の立場から経営を監視される構造に不慣れで、むしろ適法違法という段階に至らないと、モニタリング機能が発揮されないという問題がありました。

経営人材の育成体制が整っていない

欧米との比較でいえば、経営人材の育成体制が整っていないという指摘もあります。欧米では2000年代からビジネススクールでの教育プログラムが実装されていたり、インドでは2019年から独立取締役候補の登録やオンライン試験の導入がされるようになっている。

他方、日本では、コーポレートガバナンス・コードの導入も2015年からで、今年になってようやく社外取締役の設置義務化が定められたばかりです。弁護士などの専門性の高い人材がビジネスを学ぶことも、ロースクールでの教育体制が特に整っていない点は、アメリカのロースクールと比較すると遅れを取っています。

各国がダイナミックなレギュレーション変更を仕掛けている。一方で、企業のコンプライアンス順守に対する世間の目は厳しくなるばかりだ。しかし日本の法務部は、“法務先進国”である米国と比べて「30年遅れている」といわれる。

引用元:ダイヤモンドオンライン|東芝・ファストリの失態で露呈、日本企業の「時代遅れ法務部」を解体せよ!

経営人材の流動性が低い

経営人材が創業時から固定的で、社外の経営人材を呼び込まないことも原因として挙げられるでしょう。固定化してしまう原因は、機関設計の構造にあることは、すでに述べた通りです。

社外取締役の不足による影響section

では、社外取締役の不足により、どのような影響が考えられるのでしょうか。

IPO戦略において不利

原則4-8.独立社外取締役の有効な活用
独立社外取締役は会社の持続的な成長と中長期的な企業価値の向上に寄与するように役割・責務を果たすべきであり、プライム市場上場会社はそのような資質を十分に備えた独立社外取締役を少なくとも3分の1(その他の市場の上場会社においては2名)以上選任すべきである。
また、上記にかかわらず、業種・規模・事業特性・機関設計・会社をとりまく環境等を総合的に勘案して、過半数の独立社外取締役を選任することが必要と考えるプライム市場上場会社(その他の市場の上場会社においては少なくとも3分の1以上の独立社外取締役を選任することが必要と考える上場会社)は、十分な人数の独立社外取締役を選任すべきである。

補充原則
4-8① 独立社外取締役は、取締役会における議論に積極的に貢献するとの観点から、例えば、独立社外者のみを構成員とする会合を定期的に開催するなど、独立した客観的な立場に基づく情報交換・認識共有を図るべきである。

4-8② 独立社外取締役は、例えば、互選により「筆頭独立社外取締役」を決定することなどにより、経営陣との連絡・調整や監査役または監査役会との連携に係る体制整備を図るべきである。

4-8③ 支配株主を有する上場会社は、取締役会において支配株主からの独立性を有する独立社外取締役を少なくとも3分の1以上(プライム市場上場会社においては過半数)選任するか、または支配株主と少数株主との利益が相反する重要な取引・行為について審議・検討を行う、独立社外取締役を含む独立性を有する者で構成された特別委員会を設置すべきである。

引用元:東証『コーポレートガバナンス・コード』2021年6月版

東証のコーポレートガバナンス・コードによれば、特にプライム市場上場企業において、社外取締役が少なくとも3分の1以上を占めることが必要となります。ゆえに、過半数の社外取締役を確保できなければ、東証一部への上場ができません。

そのため、会社の事業拡大を図り、企業の発展的なフェーズの1つとして、選択肢が狭まることになります。いわゆるプライム市場ではないマザーズなどの上場会社は、3分の1基準ではありませんが、一般的には2名以上の社外取締役選任が要求されます。

もっとも、業務・会社規模・事業特性などによっては、プライム市場では過半数、プライム市場でない上場会社でも3分の1基準が適用されます。このように、社外取締役の人材を確保できなければ、IPO戦略を取る上で不利になります。

株主などステークホルダーからの信頼を得にくい

経営陣が真に会社の利益を最大化し、投資家に還元できるような経営をするのかどうか、投資家の立場から判断するにも限界があります。特にIPOを目指していくベンチャーでは、資本政策上、経営戦略について、より多くの投資家の理解を得られるようにしていく必要があります。

投資家は、経営判断に対して直接関わることができない構造になりました。それは、今般、会社法改正やコーポレートガバナンス・コードの改定における、社外取締役の拡大に伴うものでもあります。つまり、所有と経営の分離をより明確にしつつ、経営陣とは独立の立場から経営判断の妥当性をチェックし、一般株主と経営陣あるいは支配株主との利益相反を防ぐ立場の者を取締役会の中に組み込むのです。

このような仕組みが確保されることで、投資家にとっての安心材料になります。逆に言えば、独立社外取締役を十分に確保せず、あるいは社外取締役の選任を疎かにする企業は、投資家にとっての信頼の根拠を提示しないものと評価されかねません。

多角的な経営やグローバル展開の上での支障

現代は、異なる文化や価値観が掛け合わさる中で、新しい価値が生まれていきます。そうした社会構造のもとでは、企業経営でも、経営陣が同質的な人間の集まりでは、成長を阻害することになります。

ここで、従前の日本企業の価値観として、内部における団結力を重視するものがあります。現在でも、経営陣、従業員の一体性、ひいては株主との調和を志向するものは数多くあります。もちろん、経営陣、従業員、株主などのステークホルダーが企業理念を共有することは、不可欠です。

もっとも、企業におけるステークホルダーが一体的であることと同質的であることは異なります。

社外取締役不足の解消による効果section

では、社外取締役の不足が解消されると、企業や社会にどのような良い影響がもたらされるのでしょうか。

ガバナンスの実効性確保

まずは、企業内におけるガバナンス強化の実効性が確保されます。

経営陣の内側からのガバナンス体制

特に、社外取締役の立場は、社外性ゆえに客観性が担保されます。そして、コーポレートガバナンス・コードにいう独立社外取締役の基準が確保されることで、独立性の要素も担保されます。その結果、監査役と同様の客観性と独立性をもって、コーポレートガバナンスを経営の内側から実装することができます。

ガバナンス機能が行き届く範囲が拡大する

監査役だけでは、経営判断における適法性審査が限界です。しかし、社外取締役であれば、取締役として経営判断の妥当性まで踏み込む形で、モニタリング機能が行き届きます。このような機関設計の構造と、社外取締役の位置づけから、ガバナンスの実効性が確保されます。

人材の流動性・多様性が向上

また、専門的なスキルセットをもった人材が、専門領域の中に限定されることなく、キャリアを活かすことができます。人材の流動性・多様性の向上という社会的意義です。

例えば、弁護士は、旧来から専門性として訟務を中心とする裁判実務において専門性を発揮してきました。その一環として、会社の顧問業務で、外部的なアドバイザーという立ち位置でしか、専門性を活かすことができませんでした。

しかし、社外取締役というポジションが確保されることで、ビジネスサイドに接近した形で、専門性を活かすことができます。ビジネスサイドでは、訟務だけでなく、訴訟リスクなどの観点を踏まえた分析に基づく予防法務のほか、最近では規制の壁を超えて合理的に事業を創出する戦略法務という形まで発展し、専門性の活用の幅が広がります。

経営戦略の議論の多角化

人材の多様性が増えれば、その分経営戦略の議論が多角化します。特に、女性や外国人の登用には、そうした属性自体が質的に見て、従来の日本企業の組織的に異質なものであることから、議論の多角化を推し進める

社外取締役の不足を補うために採用・選任すべき人材例6つsection

社外取締役の不足を補うため、どのような人材の確保が考えられるでしょうか。以下、6つの例について述べていきます。

経営人材

まずは、経営人材が考えられます。やはり、経営マターは、経営者としての経験が豊富である人材が最適であるといえます。日経新聞でのまとめによれば、社外取締役のバックグラウンドは、企業出身者が6割近くを占めています。経営者といっても、様々な規模,業種,事業形態,組織構造の会社があり、それによってガバナンスの構造も細かい点で異なります。

一般論でいえば、設立、IPO、M&Aによる事業拡大に携わったり、多種多様な経験を有する人が好ましいと考えられます。

他方、異なる視点として、コンプライアンス的にネガティブな事例を経験した人も好ましいといえます。具体的には、何らかの不祥事の対応に関わるなどして、ガバナンス体制の構築ないし改善に関わり、実際にコンプライアンス体制を好転させた「経験」が望ましいです。

ガバナンスは、事業活動上の事務処理や組織運営、ジェネラルコーポレートの業務執行における「守り」の側面が軸です。つまり、各種の法的手続の履践、事業における規制法令のコンプライアンスなどに反しないように仕組みづくりです。

そうしたガバナンスは、抽象的に体制づくりをした人よりも、実際に現場で経営者として対応をした経験がある人材は、有益でしょう。さらに、経営をどのようにコントロールしていくかという視点が重要です。そうすると、経営者としての視点だけでは不足があり、より客観的な視点、専門的知見を有する人材も必要になります。

弁護士

法務のプロフェショナルとしては、やはり弁護士でしょう。労務に関しては、社労士も考えられますが、全体のコンプライアンス的な視点とともに、訴訟経験など多様な経験があることを考慮すると、弁護士の方がより広汎な活躍を期待できます。

弁護士といっても、様々な専門分野を有する弁護士がいますが、企業法務経験者が無難です。企業法務といっても、一般的には、ジェネラルコーポレート、不祥事・訴訟対応、M&A、労務、知財、倒産処理などの分野が考えられます。

また、当該企業の業界領域に精通している弁護士が合理的です。

会計士・税理士

財務・税務のプロの知見は、会計士や税理士が適任です。監査法人や顧問先の税理士事務所から、特に会社の事業活動や展開の仕方、内部事情に精通している人材であれば、専門的知見が効果的に発揮されることが期待されます。

とはいえ、単に会計や税務の知識があるだけでは、顧問と変わりはありません。高い役員報酬を投下するより、顧問報酬の方が合理的であるともいえます。そのため、単に財務・会計の資格だけではなく、経営陣の一角でプレゼンスを発揮した経歴を持つ人材が有益です。CFOの役職経験者が、まさにその典型例です。

財務・会計の専門的知見も、ビジネスサイドで事業を最適化できたかが重要であり、アドバイザーとしてのみの経験との相対比較においては、やはり経営陣の立場を経験している人材の方が、望ましいといえます。

専門教授

医療などの専門性が高い分野では、研究者や教授を社外人材として登用することも考えられます。

専門性の高い業界におけるサービスを構築する上では、先端分野の研究の成果などを活かせることが強みになります。研究論文のほか、特に意見書などを作成してもらう際には、個別的に依頼するよりも、非常勤あるいは社外であっても、会社と継続的な関わりを有する人材が効果的です。

CTOクラスのエンジニアなど

DXが推進されている中、やはり優秀なIT人材を確保することは、重要です。もちろん、デジタルを実装していく上で、ITリソースを構想した前提で現場の人材としてエンジニアを雇用ないし外部委託することも必要です。

加えて、事業を最適化するためどのようにITリソースを実装していくことが合理的なのか、仕組みを策定していく上で、ITに精通した人材が社外役員として確保しておくことで、ビジネスの仕組みがITリソースに反映されやすくなります。

女性や外国人

スキルセットの側面とは別に、多様性を拡げる考え方として、女性や外国人の選任も考えられます。女性ならではの視点、異なる文化や社会構造、地理的背景を活かした外国人の登用は、それ自体が異質性を確保するリソースになります。

社外取締役不足の解消に役立つ選任サービス
EXE[エグゼ]section

最後に、社外役員の選任が可能なマッチングサービス、EXE[エグゼ]をご紹介します。

EXE[エグゼ]の特徴

IT・メーカー・医療など、各分野に精通した弁護士をご推薦
御社の希望するポジション・事業戦略をヒアリングし、最もマッチした経験をもつ弁護士をご推薦いたします。

経歴だけでなく人柄もマッチング対象
当社では紹介前に候補者と面談を行っており、経歴だけでなく人柄面も把握することで最適なマッチングを実現いたします。

適正な人材をスピード紹介
社外取締役として適切な人材探しが難航し、一向に進まないといった「不要な時間」を短縮。社内体制の構築にスピーディに対応します。

EXE[エグゼ]で選任できる社外役員事例

特徴詳細
年齢40代/男性
資格弁護士
経験業界メーカー
経験JASDQ上場企業社外取締役,監査役等
得意領域監査業務、ハラスメント防止対策、コンプライアンス、労務管理対応
特徴詳細
年齢50代/男性
資格弁護士、公認会計士
経験業界ウェディング,金融投資
経験上場企業社外監査役、社外取締役
得意領域投資法人の監督役員、学校法人の認証評価、コーポレートガバナンス
特徴詳細
年齢40代/女性
資格弁護士、公認会計士
経験業界IT企業
経験取締役・監査等委員
得意領域コーポレートガバナンス、国際ビジネス法務、国際紛争解決

EXE[エグゼ]のメリット

上場準備中・ガバナンス体制の構築などに知見のある弁護士を、社外取締役に起用したいという需要が高まる一方で、証券会社、VCでも紹介するのが難しい現状があります。EXE[エグゼ]は、ビジネス相談仲介(スポットコンサルサービス)のような一過性のサービスではなく、企業の置かれているステージ・状況・ニーズに応じた「適切な人材を、適切に紹介」。

公式サイト:https://outside.no-limit.careers/

まとめ

社外取締役の不足は、日本社会としての課題であると同時に、弁護士など高度な専門性を有する人材、女性や在日の諸外国人にとって、大きな活躍のチャンスであるといえます。また、社外取締役の不足における現状を一刻も早く解消するためにも、EXE[エグゼ]のような社外取締役マッチングサービスの利用をする企業が増えていければよいと思います。

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上場支援、CGコードの体制構築などに長けた、専門性の高い「弁護士」を社外取締役候補としてご紹介。事業成長とガバナンス確保両立に、弁護士を起用したい企業様を支援している。

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