リファラル採用とは?導入のメリットと成功するためのやり方・注意点まとめ

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リファラル採用とは、自社社員に知人や友人を紹介してもらい、新たに社員を採用していく採用手法です。

転職サイトに掲載するなどの通常の採用手法よりも大幅にコストが抑えられやすい点が大きなメリットですが、一方で形骸化しやすくとりあえずで初めて全く採用に繋がらずに失敗に終わるケースも少なくありません。

リファラル採用を成功させるためには、インセンティブの設定や社員への周知、採用時のフォローなどしっかり計画を立てて実施していかなくてはなりません。

こちらの記事では、リファラル採用の主なやり方や失敗しないためのポイントについてご紹介します。リファラル採用がうまくいけば人材難とも無縁の会社の基盤を作り上げることもできるため、ぜひ参考にしながら自社に取り入れてみてください。

目次
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リファラル採用とはsection 01

リファラル採用とは、自社の社員に友人や知人を紹介してもらい、新たに社員を採用していく手法です。リファラルには「推薦」や「紹介」の意味があり、その名の通り自社社員の紹介による採用方法です。

通常の採用活動のように外部の求人広告等に掲載することがありませんので、大幅にコストを抑えて採用活動をすることができますが、紹介してもらえる動機付けのためにリファラル採用にインセンティブを導入している企業は多いです。

また、「友達を紹介してくれたら〇〇万円」などとルールは決めたものの、周知されていなかったり、社員が協力してくれなかったりして、リファラル採用が形骸化してしまっている企業も多いです。

コストは低いがインセンティブは必要

リファラル採用を導入すれば、採用コストを大きく削減することができます。ただし、社員から紹介してもらうためには動機付けが必要です。

そこで、紹介してくれた社員にインセンティブとして数万円の報酬を設定しているリファラル採用が多くあります。

  • インセンティブなし :21社(14.3%)
  • 1~9万円のインセンティブ :69社(46.9%)
  • 10~29万円のインセンティブ :46社(31.3%)
  • 30万円以上のインセンティブ :10社(6.8%)

引用:HR Lab. | My Refer

My Referが行った調査によると、上記のように10万円未満もしくは10〜30万円のインセンティブを設定している企業が多いようですね。

リファラル採用と縁故採用の違い

リファラル採用に似たものに「縁故採用」があります。自社社員の紹介により知人を採用する手法としては、リファラル採用と同じなのですが、入社に至るまでのプロセスや紹介者の違いなどからリファラル採用と違うものと言えます。

スクロールできます
採用手法リファラル採用縁故採用
紹介者全社員経営陣などの会社の上層部が主
被紹介者知人や友人が主身内が主
紹介後面接や適性試験等を受けることは通常の採用と同じ入社することが前提
デメリット動機がないと紹介がなくて形骸化しやすい
紹介しても入社できるとは限らない
「コネ入社」として不公平に思う社員が出てくる
被紹介者のスキルが一致していない

リファラル採用はあくまでも採用活動の手法の1つとして導入されますが、縁故採用の場合、主に経営陣の身内を採用するためのいわゆる「コネ入社」であることがほとんどです。

紹介後も入社前提の手続きを取っていきますので、一部の社員からは不平等だとの批判が上がることもあります。

リファラル採用の主な手順と報酬の決め方section 02

これからリファラル採用を導入しようとしている企業は、しっかり計画・準備をして実施していきましょう。とりあえずでリファラル採用を実施しても、社員が協力してくれずに形骸化してしまう可能性を高めてしまいます。

リファラル採用の導入から採用までの手順と重要な報酬の決め方についてご紹介します。

採用条件を決める

通常の採用活動でも言えることですが、どのような人物を採用するかを明確にしないことには社員からの紹介もしてもらえません。

入社後にはどのような部署で働き、どのような労働条件で働けるのかを明確に決めておきましょう。

一般的には次のような内容を決めておきます。

  • 採用人数
  • 担当部署・業務内容
  • 給料
  • 労働条件(労働時間や休日等)
  • 求める条件(学歴・経歴・資格等)

多くの企業では、求人広告などの通常の採用活動と併用してリファラル採用をすることも多いため、求人広告に載せている条件と同じ内容でリファラル採用をすることがほとんどです。

インセンティブの決定

上でも触れましたが、紹介者に何かしらのメリットがないことにはリファラル採用が機能せずに形骸化してしまうことが多くあります。

採用に至った場合の報酬として、数万〜数十万円の報酬を用意しておきましょう。

一般的にリファラル採用のインセンティブは30万円未満に設定している企業が多いのですが、要資格の職種や人材難の職種など、早急に採用したい場合などにはインセンティブを上げて紹介を促す方法も取れます。

反対にインセンティブが高すぎると、スキルに一致していない社員をとりあえず紹介だけされてすぐに退職されるようなことも起こり得ます。

また、インセンティブ目的で次から次へと求職者を紹介してくる社員が現れた場合には、後述するような違法性に該当する可能性も出てくるため注意しましょう

周知と動機付け

リファラル採用は全社員が実施していることを知っているからこそ機能するものです。上記の内容を人事部や経営陣だけで決めて、他の社員が知らないままでいれば何の意味もありません。

全社員に対して社内報や連絡事項で知らせたり、各部署の担当者と密に連絡を取って協力体制を促すようにしたりすることも大切な活動です。

採用活動

リファラル採用といっても、紹介を受けたらそのまま採用するとは限りません。一般的な採用活動と同じように、紹介後は求職者の経歴を確認し、面接により人柄や適正等を判断して採用・不採用を決定します。

「せっかく紹介してくれたのだから」との考えがよぎり、不採用にすることが躊躇されてしまいがちですが、公平に判断して、求める人材に一致していなければ不採用にする判断を下さなくてはならないシーンも出てくるでしょう。

不採用時のフォロー

リファラル採用では、不採用時のフォローも重要になります。「当社には合わない。不採用です。」だけで終わってしまうと、紹介してくれた社員と被紹介者の関係は気まずくなってしまいますし、今後紹介してくれることもなくなるでしょう。

「紹介ありがとうございました」と、しっかり感謝の言葉を伝えつつ、不採用になった理由を丁寧に説明したり、「ご紹介いただいた方と会食に行ってください」などと会食代を会社持ちで渡したりするようなフォローがあります。

リファラル採用をするメリットsection 03

リファラル採用にはメリットも多くあります。何度か触れているコスト削減は、大きなメリットに挙げられますね。具体的にどのようなメリットがあるのかをご紹介します。

比較的に低コストでの採用が可能

就職白書によると、中途採用1名を採用することにかかるコストが平均103.3万円かかると報告されています。

リファラル採用を実施した場合、30万円未満のインセンティブ+担当者の人件費くらいの費用で済みますので、大幅なコスト削減が期待できます。

社員間の結束が高まり離職率が下がる

知人を会社に紹介してくれるということは、紹介する会社に対してある程度満足してもらえていると判断できます。

知人が社内にいるということで、教育もスムーズにいき、円滑に業務が進められることも期待できるでしょう。

リファラル採用が活性化すれば、社内の結束も高まり、チームワークが強く離職率が低い会社も目指していけるでしょう。

ただし、結束力が高いということは、1人が辞めると連鎖的に辞めたり、引き抜きに遭ったりする危険性も高くなるとも考えられます(退職後の引き抜きは違法性も考えられます)。

マッチング制度が高い

リファラル採用は、実際の業務内容や職場の雰囲気等を十分に知っている現場社員を介して行われます。

どのようなスキルや性格を持つ人に適性があるかを、紹介者がある程度判断できますので、会社に合った人材を紹介してくれる可能性も高いでしょう。

また、被紹介者も現役社員から職場の雰囲気等を入社前から聞くことが可能なため、「こんなにこの仕事が大変だと思わなかった」「職場の雰囲気が最悪だ」などの入社後のミスマッチも起こりにくくなります。

転職市場に出てこない潜在層も見つけられる

通常の転職では、求職者が転職しようと思って求人を探し始めます。先に求職者の転職意思があることが前提です。

しかし、実際には会社に強い不満や不安を持っていない方でも、心の憶測で「転職しようかな」と思っている潜在層も多くいます。

このような方は、繰り返し転職関連の広告を見たり、直接「転職してみれば」と言われたりすることで、自分の転職したい気持ちに気付いていきます。

リファラル採用であれば、その潜在層に直接アプローチできる場合があり、先手も取れることにで、他の転職先に興味を持つ前に採用を決められる場合もあるでしょう。

リファラル採用をする際の注意点section 04

このようにメリットも多いリファラル採用ですが、コストも低めに実施できるからと行って、とりあえずで始めてもうまくいかないことも起こり得ます。

リファラル採用を実施する場合には、次のことに気をつけながら計画的に準備を進めていきましょう。

形骸化しやすい

リファラル採用制度のルールだけ決めて簡単に周知させ、そのままにして終わっている企業も多くあります。

そもそも通常の採用活動の“ついで”にリファラル採用をしている企業も多く、「紹介してもらえればラッキー」くらいに考えている担当者もいることでしょう。

その程度の考えであれば、リファラル採用での採用人数を計算に入れることはできませんし、採用する人材の質も低下する傾向にあります。

リファラル採用でしっかり結果を出したいのであれば、きちんと採用人数の目標を立てたり、採用する人を明確にしたりするなどの準備もしっかりしておく必要があります。

不採用や退職時のフォローが必要

紹介によるリファラル採用と言っても、必ずしも採用するとは限りません。能力や条件など、お互い求める内容と一致がなければ不採用という結果にもなり得ます。

上でも触れましたが、せっかく紹介してもらった人材を不採用にする場合には、通常の採用活動よりも丁寧にフォローする必要があります。

不採用になった場合、まず、紹介してもらったことに感謝を伝えることは大前提です。その後は被紹介者だけでなく、紹介者に対してもきちんと不採用という結果を報告し、可能であれば不採用の理由も伝えておくことで不採用に対する納得も得られるでしょう。

さらに慎重にフォローするのであれば、「紹介していただいた方と一緒に食事行ってください」と、会食代を会社が出す場合もあります。

双方の期待値のズレ

リファラル採用のメリットで、マッチング制度が高いとはお伝えしましたが、必ずしも求めている能力や条件が一致するとは限りません。

紹介を受けて面接を開始するまでは、人づてでお互いの情報を伝え合います。間に人を介することによって、フィルターがかかって話が伝わることで、必然的に期待値が高くなってしまうことも起こり得ます。

いきなり採用面接に進むのではなく、先に社内見学をしてもらうなどのフォロー体制を整えておくことで、双方が思い描く期待値のズレを減らしていくこともできます。

入社までの期間がかかる

通常の転職であれば、求職者が退職の準備を進めながら転職活動を行っています。今いる会社に対しても退職の旨を伝えていることも多く、採用決定から入社まで1〜2ヶ月、早ければ数週間で決まることが多いです。

リファラル採用の場合、被紹介者がまだ転職の準備ができていなくて、転職先への内定が決まってから今の職場に退職を伝え、転職準備を進めていくケースも多くあります。

その結果、内定から入社まで2〜3ヶ月の期間が空いてしまうことも予想しておかなくてはなりません。人材不足の会社や専門性の高い仕事など、退職しにくい会社に勤めている方であれば、入社まで半年程度かかることも起こり得るでしょう。

インセンティブが違法になる可能性がある

リファラル採用に対してインセンティブを設けている会社が多いとお伝えしましたが、インセンティブの支払い方によっては違法になる可能性があるので注意しましょう。

報酬を支払って職業紹介業を行う場合には、厚生労働省からの許可が必要です。

許可無く職業紹介を行った場合には、違法になり得る場合がありますので、厳密に言うとインセンティブがあるリファラル採用も違法と言えます。

ただし、賃金や給料としてインセンティブを払う分には例外として認められますので、インセンティブは賃金や給料として支払うようにしましょう。

また、インセンティブが高額すぎることで「業」と判断されることも起こり得ますので、高すぎるインセンティブも要注意です。

通常は、採用する人の年収の30%未満には抑えるようにしてください。よっぽど高額なインセンティブでなければ、超えることもないでしょうが…。

【参考】違法なリファラル採用とならないために、人事労務担当が注意すべき点とは?

リファラル採用を成功させるためのポイントsection 05

何度かお伝えしているように、せっかくリファラル採用を実施するのであれば、きちんと計画を立てて少しでも良い人材を採用できるように努めていきましょう。

こちらでは、リファラル採用を成功させるポイントをご紹介します。

紹介してもらいやすい労働環境を作っておくことは前提

リファラル採用を活発化させるための大前提として、「入社したい」と思えるような労働環境を整えておくことが大事ですね。いくら魅力的なインセンティブがあったとしても、過酷な労働環境で働くことになれば、友達を紹介したいとは思わないはずです。

労働環境を整えることは、リファラル採用に限らず、他の採用手法での成功率の上昇にも繋がります。

労働環境・労働条件は人事部の一存で変えられる内容でもないため、経営陣や労務などにも掛け合って、日頃から良い労働環境を整えられるようにしておきましょう。

採用する人のペルソナを明確にしておく

リファラル採用によってどのような人材を採用したいのかを明確にしておきましょう。後述するように、リファラル採用では周知を行いますが、ただ単に「人を募集しています」だけだと、どのような人を紹介すれば良いか分からず、一向に紹介が増えないか、闇雲に紹介だけされて面接対応等で労力を要してしまう結果に繋がります。

他の採用活動でも必要ですので、求める人材は明確にして、その内容を社内告知等で伝えていきましょう。

周知させる

社員がリファラル採用の実施を知らなければ紹介してもらえることも起こらないでしょう。

社内報で定期的に発信したり、各部署の上長に連絡を回すように通知したりすることで、全社員にリファラル採用の実施があることを知ってもらえるようにしましょう。

ただ、事務的に告知するだけでは社員に動機付けすることはできません。定期的に色々な部署の社員とコミュニケーションを取っておくことで、協力してもらいやすい体制を作っていくことができます。

【※可能であれば】KPIを設ける

リファラル採用でしっかり結果を出したいのであれば、「○ヶ月で、リファラル採用で△名の内定を出す」などの目標を事前に決めておきましょう。

なんとなくでリファラル採用を実施しても、成果も出てきにくいですし、状況が悪い場合の改善案も浮かばずにそのままにされてしまいがちになります。

しっかり計画を立ててリファラル採用を実施していけば、計算できる採用手法の1つとしてしっかり機能し、再び人材が必要になった時も同様の方法で採用活動ができるようになります。

まとめ

リファラル採用とは、社員に知人や友人を紹介してもらって、採用活動を進めていく手法です。一般的には数万〜30万円程度のインセンティブを設定することで、社員の紹介意欲を高めておきます。

大幅に採用コストを下げられる点が大きなメリットですが、社員に知れ渡らずに紹介してくれずに形骸化してしまいがちな点に注意しなくてはなりません。

リファラル採用を成功させていくためには、とりあえずでやるのではなく、しっかり計画と目標を立てて、社員にもきちんと知らせて紹介するモチベーションを高める工夫をすることです。

リファラル採用がうまくいって活性化することができれば、人材に困らない会社の基盤を作ることもできますので、ぜひ最初の一歩からしっかり計画立てて実施していきましょう。

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上場支援、CGコードの体制構築などに長けた、専門性の高い「弁護士」を社外取締役候補としてご紹介。事業成長とガバナンス確保両立に、弁護士を起用したい企業様を支援している。

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