アクセンチュアは世界最大の総合系コンサルティングファームです。世界中のさまざまな産業、分野においてコンサルティングサービスを提供しています。アクセンチュアから転職する場合、市場価値が高いことから多様な選択肢の中から転職先を選ぶことが可能です。
ただし、満足のいく転職を成功させるためにはポイントを押さえ、適切な方法で転職活動を進める必要があります。本記事ではアクセンチュアからの転職をテーマに、マッチしやすい転職先の種類や評価されるスキル・経験、転職活動のポイントなどを解説します。
アクセンチュアからの転職先はどこ?
アクセンチュアはさまざまな分野でコンサルティングサービスを提供しています。そのため転職先としては、自分の専門分野に応じて幅広い選択肢があります。
大手IT系企業
アクセンチュアで得たIT知識やデータ分析力、ITコンサルティングのスキルや経験は、大手IT系企業で活かせます。アクセンチュアではさまざまな業界や業務に関する最新の技術トレンドを学ぶことができるので、大手IT系企業ではこれらの知識や技術を使って課題解決やビジネスイノベーションに貢献できるでしょう。
大手総合商社、大手メーカー
大手総合商社は中途でコンサル業界出身者を採用することが比較的多く、アクセンチュア出身者にもチャンスがあります。とくに事業投資や運営などのポジションでニーズがあり、財務・会計領域での経験がある方は評価される可能性があるでしょう。大手メーカーではDX人材としてのポジションでニーズがあります。
アクセンチュアで鍛えた戦略的思考力やIT知識、データ分析などが評価の対象となり得ます。
コンサルティングファーム
アクセンチュアで得たコンサルティングのスキルや経験は、ほかのコンサルティングファームでも活かせます。同業の総合系や、戦略系などのほかに、専門性を活かしてIT系や財務系ファームなどに転職する選択肢もあります。
同じコンサルティング業界でもファームを変えることで職位や年収が上がることがあるので、チャレンジする価値は十分にあるでしょう。またアクセンチュアでの経験を活かしつつ、専門領域を広げることも可能です。
投資銀行・PEファンド
投資銀行やPEファンドでは、戦略立案スキルやコミュニケーションスキルなどを活かせます。金融知識や財務分析スキルなども必要とされるので、アクセンチュアで金融サービスラインにいた方やM&A案件を担当していた方などにマッチする可能性があります。
投資銀行やPEファンドは求人・ポジションともに少なく採用基準も非常に高いですが、キャリアアップを目指す方がチャレンジするケースが見られます。アクセンチュアからの転職ではポテンシャルも重視されるので年齢が若いうちに動くことをおすすめします。
広告代理店
アクセンチュアでは、デジタルマーケティングやDXに関するコンサルティングを提供することがあります。このような経験は広告代理店で活かすことが可能です。クライアントのブランディングやプロモーションに関する戦略や施策を立案できるでしょう。
広告代理店ではクリエイティブな発想や表現力が求められるので、アクセンチュアでそうした力を磨いてきた方には適性があります。
M&A仲介会社
アクセンチュアでは大規模M&A案件にも力を入れており、企業の成長戦略や競争優位性に関する知識や洞察力を得ることができます。コンサル業務を通じて交渉力や説得力も磨かれているはずです。M&A仲介会社においては、これらの知識や力を使って、クライアントのニーズに応えるターゲット企業の選定や紹介をおこなえます。
クライアントとターゲット企業との信頼関係を築きながら、M&A案件の成立に導くことが可能です。
ベンチャー・スタートアップ企業
新しいビジネスモデルやサービスの創出に興味・関心がある方や、チャレンジ精神が旺盛な方は、ベンチャー・スタートアップ企業に転職する道もあります。クライアントに対するコンサルティングでは得られなかったやりがいを得られる可能性があるでしょう。
アクセンチュアで培ったコミュニケーションスキルや成果に対する姿勢、ハードワーク耐性などが役に立ちます。
起業する人も多い
アクセンチュア出身者は起業して成功を収めているケースも少なくありません。起業には当然リスクがともないますが、アクセンチュアでの経験を活かして自分のビジョンを実現できます。アクセンチュアから起業する場合は、アクセンチュアで得たネットワークを利用することも可能です。
アクセンチュア出身の起業家・企業
シンプレクス株式会社:金子 英樹代表取締役社長(CEO)
1987年 一橋大学法学部 卒業、同年アーサー・アンダーセン(現アクセンチュア)に入社。外資系ベンチャーを経て、1991年 ソロモン・ブラザーズ・アジア証券(現シティグループ証券)に入社。1997年にシンプレクスの前身であるシンプレクス・リスク・マネジメントを設立し、2000年に現職である代表取締役社長に就任。2016年 単独株式移転により、シンプレクスの持株会社としてシンプレクス・ホールディングスを設立し、現職である代表取締役社長に就任。
みらいワークス株式会社:代表取締役社長 岡本 祥治
アクセンチュア、ベンチャー企業を経て起業。2012年にみらいワークスを設立し、2017年にマザーズ上場。
株式会社カオナビ:代表取締役 Co-CEO 柳橋 仁機
アクセンチュアにて教育機関や官公庁の業務改革プロジェクトで業務基盤の整備や大規模データベースの開発業務を担当。その後、アイスタイルにて人事部門責任者として人事関連業務に従事する。2008年に当社を設立し、代表取締役社長を務める。2022年より共同CEO制を採用し、代表取締役 Co-CEOを務める。
アクセンチュアからの転職で評価されるスキルや経験
アクセンチュアから転職する場合、とくに以下のような知識やスキル、経験が評価の対象となります。
IT関連の知識
アクセンチュアはIT系やDXに関するプロジェクトを扱う機会が多く、メンバー間でIT専門用語が飛び交うことも珍しくありません。そのためアクセンチュア出身者はITの視点からビジネスの課題を分析したり、効率的なシステムやソリューションを提案したりできます。IT技術を使った業務改善やDXなどの分野でも活躍可能です。
ビジネスの知見
アクセンチュアではクライアントのビジネスを支援するために、さまざまな業界や業務に関する知見を深める必要があります。たとえば金融業界における支援では金融商品や規制、市場動向などについて理解しておくことが必要です。
ビジネスの知見を広げておくことで、転職先でもクライアントのニーズや課題を把握したり、競合他社や市場環境を分析したりするのに役立ちます。幅広い視野で物事を考えることができるため、新たなビジネスモデルやイノベーションの創出にも貢献可能です。
論理的思考力や問題解決能力
アクセンチュアのようなコンサルティングファームでは、クライアントのビジネス課題を解決するために論理的思考力や問題解決能力が求められます。たとえばプロジェクトを成功に導くためには課題を明確化し、仮説を立てて検証し、最適な解決策を導き出すというプロセスが必要です。このような論理的思考力や問題解決能力はどの業界でも高く評価されるスキルです。
情報収集スキル
情報収集スキルも評価の対象です。アクセンチュアではクライアントの課題を解決するために必要な情報を効率的に収集するスキルが求められます。情報収集スキルをもとに必要な情報を探して正確に分析できるのはもちろん、収集した情報を整理して共有することやほかの人が収集した情報を理解することも可能です。
語学力
アクセンチュアはグローバルな企業であり、多国籍なメンバーやクライアントと仕事をする機会が多くあります。英語やほかの外国語の語学力が磨かれているので、転職先でも高く評価されるでしょう。また、異なる国や文化の人とコミュニケーションをとることで国際感覚や柔軟性も身についているので、転職先ではグローバルな視点でビジネスの展開や発展に寄与できます。
激務への耐性
アクセンチュアではクライアントに高い価値を提供するために激務やプレッシャーに耐える必要があります。このような激務への耐性があることで、自分で責任感や自律性をもって仕事に取り組んだり、チームで協力して目標に向かったりできます。転職先においても激務への耐性は高く評価されます。
アクセンチュアから満足のいく転職を成功させるコツ
アクセンチュア社員が転職の満足度を高めるためには、以下のポイントを押さえる必要があります。
転職で実現したいことを明確にする
まずは、自分が転職で何を求めているのか、何を実現したいのかを明確にしましょう。そうすることで、応募先の企業やポジションを絞り込むことができます。また、面接や書類選考の際にも、自分の志望動機や強みを的確に伝えることができます。
スキルや経験の棚卸しをする
次に、自分のスキルや経験を棚卸しします。これは、自分が応募する企業やポジションに対してどの程度マッチしているか、どんな貢献ができるかを判断するためにも重要です。加えて、自分がこれから身につけたいスキルや経験も考えておくとよいでしょう。目指すキャリアや将来像に対して、どれだけ準備や努力をしているかを示すことにつながります。
応募先の経営課題を把握する
応募先の企業が抱えている経営課題やビジネスゴールを把握することも大切です。応募先の企業がどのような市場や競合環境にあるのか、どんな課題や目標があるのかを事前に調べておきましょう。
これにより応募先の企業に対する理解や興味を示すことや、どんな価値を提供できるかを示すことができます。
企業文化や経営の方向性との合致度を見極める
応募先の企業文化や経営の方向性と、自分の価値観やビジョンとの合致度を見極めることも重要です。このことは、応募先の企業で長期的に働くことが可能か、成長や満足感を得られるのかなどを判断するために欠かせないポイントです。
転職すると、多くの場合は働く環境や風土が大きく変わります。アクセンチュアからの転職の場合、スペックについては申し分ないことが多いですが、企業文化と相性が悪いなどの理由でマッチしない場合があるのでよく調べておきましょう。
アクセンチュアからの転職でおすすめの方法
転職するためにはさまざまな方法が考えられますが、アクセンチュアからの転職ではとくに以下の方法がおすすめです。
アルムナイ・ネットワークから応募する
アルムナイ・ネットワークとは離職者のネットワークのことです。アクセンチュアを退職するとex-acというメーリングリストに入ることができます。アクセンチュアは世界中に多くの人材を輩出しており、その中にはさまざまな業界や職種で活躍している人がいます。
ex-acを通じてそのような人たちとつながることで、自分の志望する企業やポジションに関する情報やアドバイスを得ることができます。そうして得た情報をもとに応募し、次のキャリアを見つける人は少なくありません。
参考:アクセンチュア卒業生グループ / ex-AC OB&OG Group
リファラルで紹介を受ける
リファラルとは、自分の知り合いや友人などが勤めている企業に紹介してもらうことです。リファラルで応募すると、紹介者の信頼があることから応募書類選考が省かれたり面接回数が減ったりすることがあります。
また、紹介者から企業の内部情報や面接官の特徴などを教えてもらうことも可能なので、選考を有利に進められます。元同僚や元上司など、自分の特性や強みを知っている人からの紹介であれば、マッチする企業に出会える可能性が高いでしょう。
ハイクラス向け転職スカウトサイトで質の高いスカウトを待つ
ハイクラス向け転職スカウトサイトでは、高年収の求人や管理職など重要ポジションの求人を中心に扱っています。このようなサイトに登録すると、自分に合った企業からスカウトが届くことがあります。アクセンチュア出身であれば市場価値が高いため、質の高いスカウトが届く可能性が十分にあるでしょう。
スカウト内容に興味があれば返信して面接に進むことができ、転職活動を効率的に進められます。

コンサルの転職に詳しい転職エージェント経由で応募する
転職エージェントに相談することで、自分のキャリアプランや市場動向に合わせた求人の紹介を受けることができます。アクセンチュア出身者の場合、コンサルタント出身者やコンサルタント志望者に特化した転職エージェントが適しています。コンサルタント出身者のキャリアや働き方に詳しいため、最適なキャリアを提案してくれるでしょう。

アクセンチュアからの転職におすすめの転職エージェント
アクセンチュア出身者が転職活動を進める際におすすめの転職エージェントを厳選して4社紹介します。
MyVision
コンサル業界の転職に特化したMyVisionは多くのコンサル業界に在籍したエグゼクティブコンサルタントが在籍しています。
多くの企業との強固なコネクションをもっており、コンサル業界への転職を後押ししてくれるでしょう。
自身の市場価値を高めたい方、コンサルへの転職を希望する方におすすめです。
公式サイト:MyVision
コンコード
コンコードエグゼクティブグループは、コンサルの転職やコンサル出身者のキャリア支援に強みがある転職エージェントです。
BIZREACH社主催の日本ヘッドハンター大賞でコンサルティング部門の初代MVPを受賞しているなど、優れた実績があります。
ポストコンサルの転職支援ではPEファンドや大手企業など採用基準が高い応募先の選考ポイントを把握しているため、質の高いサポートを受けられるでしょう。
公式サイト:コンコードエグゼクティブグループ
アクシスコンサルティング
アクシスコンサルティングはコンサルタントの転職支援で20年以上の実績がある転職エージェントです。
ポストコンサルの最新採用動向や各企業の求人情報に詳しく、これまでに多くの転職を実現させてきました。
事業会社のM&A・投資ポジションやベンチャー企業の幹部ポジションなど多彩な求人を扱っています。
公式サイト:アクシスコンサルティング
JACリクルートメント
JACリクルートメントはハイクラス・ミドル人材の転職に強みをもつ転職エージェントです。
転職を支援するコンサルタントの質が高いと定評があるので、自分の専門領域に詳しいコンサルタントに相談するのがおすすめです。
グローバルネットワークを活かし、外資系企業や日系グローバル企業の求人も豊富に扱っています。
公式サイト:JACリクルートメント
アクセンチュア社員の転職動向や市場価値
最後に、アクセンチュア社員の転職動向や転職市場における価値について触れます。
3年~5年で転職を検討する人が多い
アクセンチュアをはじめとするコンサルティングファームでは、多くの場合は3年~5年ごとにアナリスト→コンサルタント→マネージャー→ディレクターへと昇格していきます。マネージャー以上になるとマネジメントや営業などの仕事が増え、現場のコンサル業に従事する機会は減っていきます。
こうした構造上の問題から、昇格するタイミングであらためて今の仕事と向き合い、自分がやりたい仕事かどうかといった点から転職を視野に入れる人が多くなります。
アクセンチュア社員の市場価値は極めて高い
アクセンチュアではクライアントの多様なニーズに応えるためにさまざまなセクションがあり、それぞれの専門知識やスキルを活かした優秀な社員が活躍しています。世界的な知名度・ブランド力があるアクセンチュアの元社員というだけで、優秀な人材であると示すことが可能です。人材市場価値が極めて高いため、自分の希望に合ったキャリアを積むことができるでしょう。
まとめ
アクセンチュアからの転職先には大手IT企業や総合商社、メーカーやM&A仲介者、ベンチャー企業などさまざまな選択肢があります。アクセンチュア社員の市場価値は非常に高いため、自身の志向や希望に合った転職先を選びましょう。転職活動の際には転職エージェントの活用がおすすめです。