企業の本来的目的は「自社の利益を最大化すること」ですが、同時に、企業も社会の構成員である事実から目を背けてはいけません。社会の構成員として経済活動を営む以上、企業がそれ相応の社会的責任を全うすることを求められるのは当然といえるでしょう。
そこで本記事では、CSRの定義・内容、CSR活動に取り組むときの流れ、CSR活動として実践されている具体例などについて分かりやすく解説します。
今後さまざまなCSR活動への着手を検討している経営者や管理職の方は、ぜひ最後までご一読ください。
CSR(企業の社会的責任)とは?section
まずは、CSRの定義・内容や注目を集めている背景について解説します。
CSRの定義と注目されている背景
CSR(Corporate Social Responsibility)とは、「企業も社会の構成員である」という現実を踏まえたうえで、企業に対して、顧客・従業員・株主・地域社会・環境・次世代などへの責任のある行動を求める考え方のことです。
日本語では「企業の社会的責任」と訳されます。
本来、企業は自社の利益を最大化するために商品・サービスを提供して良いはずです。
特に、株式会社のような私企業の場合、状況次第では、社会の利益と企業の利益が衝突する場面で、自社の利益を優先する経営方針を選択したとしても、何かしらのペナルティを科される理由はありません。
とはいえ、企業があまりに独善的な行動をとったり、悪質な不祥事を起こしたりすることは、社会全体にとって歓迎するべきことではないのは間違いないでしょう。
たとえば、1970年代に起こったオイルショックでは、小売業者が売り惜しみや便乗値上げをしたために、消費者が生活物資を入手することが難しくなりました。
また、2000年代に相次いで発覚した企業不祥事が原因で、一般消費者の企業に対する信頼は非常に厳しいものになりました。
その結果、CSRの考え方が広く普及するに至り、企業には、法令遵守や社会貢献を超えて、企業が本業のプロセスとプロダクトを通じて社会的課題を解決し、持続可能な社会の実現のために自ら行動・実践することが求められています。
CSRの7つの原則と中核主題
CSRについては、2010年11月11日に国際標準化機構(ISO/International Organization for Standardization)が発行した「ISO26000」が参考になり、社会的責任に関するガイダンス規格として、CSRの7つの原則と7つの中核主題(及び全36の課題)を定義しています。
原則 | 内容 |
---|---|
説明責任 | 企業は、事業活動が社会に対して与える影響について、十分な説明をおこなわなければいけない。 |
透明性 | 経営陣による意思決定や具体的な事業活動に関して、社会に対する透明性を確保しなければいけない。 |
透明性 | 企業活動は倫理規範に基づいておこなわなければいけない。 |
ステークホルダーの利害の尊重 | 企業活動は、株主・債権者・取引先・消費者・従業員などのさまざまな利害関係者(ステークホルダー)に配慮しておこなわなければいけない。 |
法の支配の尊重 | 自社に適用される自国の法令・外国の法令は必ず遵守しなければいけない。 |
国際的行動規範の尊重 | 企業活動は、法令だけではなく、国際的に通用している行動規範も尊重しておこなわなければいけない。 |
人権の尊重 | 企業活動は、普遍的に重要な価値を有する人権に配慮・尊重しておこなわなければいけない。 |
中核主題 | 課題 |
---|---|
組織統治 | 組織として意思決定する透明性・公平性のある仕組みができていること |
人権 | ・デューデリジェンス ・人権に関する危機的状況 ・加担の回避 ・苦情解決 ・差別及び社会的弱者 ・市民的及び政治的権利 ・経済的、社会的及び文化的権利 ・労働における基本原則及び権利 |
労働慣行 | ・雇用及び雇用関係 ・労働条件及び社会的保護 ・社会対話 ・労働における安全衛生 ・職場における人材育成及び訓練 |
環境 | ・汚染の予防 ・持続可能な資源の利用 ・気候変動の緩和及び気候変動への適応 ・環境保護、生物多様性、及び自然生息地の回復 |
公正な事業慣行 | ・汚職防止 ・責任ある政治的関与 ・公正な競争 ・バリューチェーンにおける社会的責任の推進 ・財産権の尊重 |
消費者課題 | ・公正なマーケティング、事実に即した偏りのない情報、及び公正な契約慣行 ・消費者の安全衛生の保護 ・持続可能な消費 ・消費者に対するサービス、支援、並びに苦情及び紛争の解決 ・消費者データ保護及びプライバシー ・必要不可欠なサービスへのアクセス ・教育及び意識向上 |
コミュニティへの参画及びコミュニティの発展 | ・コミュニティへの参画 ・教育及び文化 ・雇用創出及び技能開発 ・技術の開発及び技術へのアクセス ・富及び所得の創出 ・健康 ・社会的投資 |
参考:ISO26000(社会的責任) | 日本規格協会 JSA Group Webdesk
CSRと関連する概念との違いsection
ここでは、CSRと関連の深い用語やCSRとの違いについて解説します。
CSVとの違い
CSV(Creating Shared Value)とは、社会的価値・経済的価値の両方を創出することをを目的とした経営戦略のことを意味します。
自社の事業活動のなかに社会的ニーズを取り込み、事業活動を展開する過程で社会的な課題を克服しながら、経済的利益を創出するという流れです。
たとえば、生産過程で排出される二酸化炭素量を削減できるように生産ラインを改善して、CO2削減という社会的課題と製品開発という2つの価値を同時に創出する例が挙げられます。
これに対して、CSRには企業が果たす社会的取り組み全てを内包する考え方なので、事業活動とは無関係なものも含まれます。
たとえば、地域清掃活動や被災地支援の募金活動のように、経済的な利益を生み出さない活動もCSRには含まれます。
サスティナビリティとの違い
サスティナビリティ(Sustainability)とは、環境・社会・経済などが将来にわたって機能を失うことなく存続できるシステム・プロセスのことです。
企業経営の場面におけるサスティナビリティは、「企業が持続的に健全な経営を続けられること」を意味します。
つまり、「企業の社会的責任」を意味するCSRにとって、サスティナビリティは手段・目的のひとつであるといえるでしょう。
そして、企業が社会的責任を果たし、社会における持続的な事業活動が可能にします。
SDGsとの違い
SDGs(Sustainable Development Goals/持続可能な開発目標)とは、2015年9月25日に国連総会で採択された国際目標の総称のことです。
全17の国際目標、目標を達成するための169の達成基準、232の指標で構成されています。
SGDsでは、貧困・飢餓・気候変動・ジェンダーなどに関する目標が掲げられていますが、CSRはその目標のうちの1つの要素です。
つまり、SDGsはCSRよりも広い概念であり、企業が社会において健全な存在であるために取り入れるべき目標だといえるでしょう。
コンプライアンスとの違い
コンプライアンス(compliance)とは、法律や各種規制、社会通念上の常識などにしたがって事業活動を遂行することです。
法令や業界ルールだけではなく、モラル・倫理観などの多岐にわたる内容が含まれており、企業が社会の一員として活動する際に、正しい価値観をもった行動をすることが求められます。
理由としては、企業がCSRを達成して社会的責任を果たすためには、法令などに違反せずにコンプライアンスを遵守することが大前提になっているからです。
もっとも、コンプライアンスを遵守したからといって、必ずCSRが達成されるわけではありません。
企業が社会的責任を果たしたといえるには、コンプライアンスを遵守したうえで、その企業にしかできない行動を通じて社会に貢献する必要があります。
ボランティア活動との違い
ボランティア活動とは、人から強制されることなく、自らの自由意思に基づいておこなう自発的な活動のうち、他人や社会に貢献することを目的とするもののことです。
金銭的な報酬を得る目的でおこなうのではなく、非金銭的な価値(出会い、経験、感動など)を得られる点に特徴があります。
CSRの一環として実施される取り組みのなかには、ボランティア活動に含まれるものも存在します。たとえば、地域の清掃、募金活動などです。
もっとも、CSRにはボランティア活動以外のさまざまな取り組みが含まれる点、ボランティア活動のような現実的な行動ではなく「社会的責任」という抽象的な概念でもある点で、両者は異なるといえるでしょう。
国別のCSRの概念section
日本以外の先進国におけるCSRの位置づけについて解説します。
アメリカ
元々、日本に比べて募金・社会貢献・ボランティアの意識が強いアメリカでは、CSRという用語ではなく、「ソーシャルグッド(Social Good)」というフレーズが使われています。
「社会のために責任を果たす」という観点ではなく、「社会のために自分なりにできることをしよう」という能動的な姿勢がうかがえます。
そのため、アメリカでは、民間企業側が自主的にソーシャルグッドの施策をおこなうケースが多いです。
なお、アメリカの企業が積極的にCSR活動に取り組む背景として「SRI(Social Responsibility Investment/社会的責任投資)」の存在を忘れてはいけません。
SRIとは、財務的側面だけで投資対象を選ぶのではなく、CSRの要素を投資基準に含む考え方・投資手法のことです。
日本よりも投資市場が活発な米国投資市場では、民間団体がSRIの観点から各企業をランク付けしており、CSRの取り組みを推進することは投資市場で存在感を発揮するために不可欠の要素だと考えられています。
以上の理由から、アメリカでは、元々CSRが普及しやすい国民性と投資市場の原理により、日本よりも活発にCSRを果たすための取り組みがおこなわれています。
ヨーロッパ
ヨーロッパでは、EU(欧州連合)が掲げるリスボン戦略(2000年から2010年の間に、持続的な経済成長が可能で、より多くのより良い雇用と一層の社会的結束力を備えた世界で最も競争力と活力のある知識基盤型経済圏の構築を目指す戦略)の重要な要素としてCSR活動の強化が推進されました。
さらに、2011年10月、欧州委員会によって「CSRに関するEU新戦略2011-2014」という政策文書が発表されて、CSR推進に向けてEU全体で取り組む姿勢が明示されました。
これによって、EUで事業活動を展開する企業は、法令遵守や労働協約の尊重は当然のことながら、あらゆるステークホルダーと密接に連携しながら、社会・環境・倫理・人権に関する社会的課題や消費者の懸念を自らの事業活動・事業戦略に取り込む必要に迫られています。
以上を踏まえると、アメリカとは異なり、ヨーロッパ経済圏では、EUや政府主導の形でCSRに向けた取り組みが推し進められているといえるでしょう。
CSR活動のメリットと効果section
企業にとって多くのメリットをもたらすCSR活動ですが、同時に、デメリットや課題を抱えている点にも注意をしなければいけません。
ここでは、CSR活動を推進する際の注意事項について解説します。
企業のブランドイメージと信頼性の向上
CSR活動に取り組むことによって、ブランドイメージと信頼性が向上します。
環境保全や人権意識が高まっているなか、「企業がどのような経営戦略・経営方針で事業を展開しているのか」という点に注目する傾向が強まっています。
たとえば、「CSR活動に熱心な企業を応援したいからこの企業の商品・サービスを購入する」「投資をする際にはCSR活動に力を入れているかどうかを考慮要素にする」というように、一般消費者や投資家のなかには、企業のCSR活動をポイントにする人が少なくありません。
「社会的責任を果たす」という積極的な姿勢によってブランド価値が高まり、競合企業と差別化されることによって、社会での存在感をアピールできるようになるでしょう。
取引先との良好な関係構築
CSRは、企業と関係のあるステークホルダーに対して責任を果たすことが目的のひとつとされます。
つまり、CSR活動に力を入れているということは、「取引先企業にも配慮した姿勢をもっている」というアピールに繋がるということです。
ですから、CSR活動に積極的であれば、現在の取引先との良好な関係を継続しやすいですし、新規の取引先も確保しやすくなるでしょう。
従業員の満足度向上
CSRは、企業に関係するすべての人たちに配慮する取り組みです。つまり、一般消費者や取引先だけではなく、雇用されている従業員も配慮の対象に含まれるということです。
CSR活動の一環として従業員に関する取り組みを推進すれば、労働条件・就労環境の改善・向上が期待できます。
たとえば、CSR活動の一環として従業員の教育訓練機会を提供すれば、各従業員のスキルが向上し、キャリア形成の後押しに繋がります。
また、福利厚生制度の一環としてリフレッシュ休暇制度を新設すれば、従業員の満足度も向上するはずです。
企業にとって「ヒト」は貴重な資源です。従業員の満足度が向上すれば仕事のパフォーマンスも高まり、結果として、企業側にもメリットが還元されるでしょう。
コンプライアンスリスクの低減
情報化・IT化が進んだ現代では、企業の不祥事やミスは想像以上の損害をもたらします。
たとえば、不透明な会計処理をおこなっていたことが発覚してニュース報道されると、その記事が未来永劫インターネット上に残り続けてしまうので、企業のブランドイメージを回復するには相当の経営努力が必要になります。
CSR活動に力を入れて企業全体・従業員のコンプライアンス意識を醸成すれば、このような経営上のリスクに見舞われる機会を大幅に軽減できるでしょう。
優秀な人材確保
現在、労働人口の低下によって、どの業界・業種も人材不足の課題を抱えています。
ところが、企業の継続的な成長のためには、優秀で意欲的な人材の確保は必須です。優秀な人材を雇入れて、その人材が着実にスキル・ノウハウを習得しながら、長期間勤続してくれることによって、事業活動は安定性を得ることができます。
そして、優秀な人材を確保するには、就職市場・転職市場において、企業が存在感を発揮する必要があります。特に、従業員の働きやすさ・福利厚生・ワークライフバランスなどの項目は、就活生や求職者が真っ先にチェックするポイントです。
したがって、CSR活動の一環として従業員の雇用環境改善を推進すれば、優秀な人材の確保や従業員の定着率向上を達成しやすくなるでしょう。
CSR活動における課題section
企業にとって多くのメリットをもたらすCSR活動ですが、同時に、デメリットや課題を抱えている点にも注意をしなければいけません。
ここでは、CSR活動を推進する際の注意事項について解説します。
コストの増加
CSR活動に力を入れると、コスト負担が増大するリスクに晒されます。
たとえば、福利厚生制度を充実させるということは、充実させる分だけ企業側の金銭的な負担が増えるということです。
また、商品を製造する際に、温室効果ガス削減に役立つエコフレンドリーな材料に転換した場合、従来よりも原材料費が高騰するリスクも少なくありません。
以上のように、CSR活動は企業にとって負担になる側面もあるのです。そのため、CSR活動に取り組む際には、コスト管理まで含めた中長期的な計画性が必要になります。
本業のリソース不足
たとえば、CSR活動の一環として従業員を地域貢献活動に従事させる場合、その分だけ従業員は通常業務から外れなければいけません。
つまり、将来的には「人材を確保しやすくなる」というCSR活動ですが、短期的な視点で見れば、人材不足のデメリットを生じる可能性があるということです。
その結果、それだけ売上が低下することもありますし、売上低下を補填するために他の従業員を配置することによって人件費が高騰することもあり得るでしょう。
特に、従業員数が少ない中小企業がCSR活動に取り組むケースでは、本業とCSR活動のバランスが重要です。
CSR活動に力を入れ過ぎたせいで業績が悪化するのは本末転倒なので、自社の人的リソースの範囲で無理のないCSR活動を実践するようにしてください。
CSR活動を取り組む手順section
CSR活動に取り組むには、取り組む手順を知っておく必要があります。こちらでは、概略的な手順を紹介します。
活動目的を決める
まずは、CSR活動に取り組む目的を決定するのがスタートラインです。
「これからCSR活動を始める」というだけではあまりに目的が曖昧で、企業全体として統一的な意識をもって活動を進めることができません。
たとえば、従業員に対してアンケートを実施して企業が抱えている課題をあぶり出したり、業界・業種が抱えている社会的テーマを参考にしたりしながら、できるだけ具体的な活動目的を設定しましょう。
社内体制の構築
CSR活動をスタートする際には、社内に専任部署を新設すると効率性が向上するでしょう。
CSRに関する取り組みは他部門・多種類にわたるため、CSRを管轄する部署があった方が活動全体の進捗を把握しやすくなるからです。
もっとも、中小企業のような組織規模の場合には、部署を新設するだけの余裕がないケースも少なくありません。
このような場合には、経営陣を中心とするCSR委員会を設置したり、各部署からCSR担当者を選出したプロジェクトチームを作ったりするなどの代替措置が考えられます。
いずれにしても、CSR活動は企業全体で統一的な意思のもと推進する必要があるので、必ずCSR活動に対応できるような社内体制を構築してください。
活動結果の計測と振り返り
CSR活動は、計画性をもって実行しなければいけません。
というのも、CSR活動によってもたらされるメリットがある反面、CSR活動に取り組むことによって生じるデメリットも少なくはないからです。
そのため、実際にCSR活動に踏み出すときには、計画性をもって以下のステップを履践するべきだと考えられます。
- 具体的なスケジュール感を盛り込んだCSR活動計画を策定する
- CSR活動の計画について社内に周知して従業員からの合意を得る
- CSR活動計画をスタートしたうえで、実行内容や進捗について定期的に情報開示する
- 定期的に活動結果を測定・フィードバックし、必要であればCSR活動内容を修正・改善する
CSR活動の成果を客観的に判定するのは簡単ではありません。
そのため、最初から100点満点の状態でCSR活動を実施できるわけではないので、事業活動の状況などを踏まえながら臨機応変に修正を加えて、より良い形でさまざまなCSR活動を展開していきましょう。
CSR活動の事例section
ここでは、日本の代表的な企業が実施しているCSR活動について紹介します。
自社のCSR活動の内容を検討する際の参考例として役立ててください。
味の素AGF
味の素AGF株式会社では、「人と社会の未来に貢献する嗜好飲料メーカーを目指す」という目標のために、さまざまなCSR活動を実践しています。
その際には、商品設計からお客様接点に至るまでの全過程において、ステークホルダーへの責任を明らかにするとともに、さまざまな意見や社会的ニーズを継続的に事業活動へ反映し、高い信頼関係を構築することが意識されています。
味の素AGF株式会社で実施されているCSR活動の代表例は以下のとおりです。
- AGFグループ全体でISO14001の認証を一括取得して環境マネジメントシステムを運用
- ISO9001とFSSC22000に準拠したシステムに基づき国際水準レベルの品質保証を実現
- 持続可能な方法での原材料の入手
- 「健康経営、人財育成」をテーマに従業員のココロとカラダに配慮した就労環境を提供
- 地域イベントや工場見学などの機会を通じて地域との絆を意識
- 自然災害被災地などに対する復興支援活動 など
花王
花王では、1998年から「環境・安全報告書」という形式で、2005年からは「CSRレポート」という名称で、企業として取り組んでいるCSR活動について情報開示・情報提供をおこなっています。
そして、実施するCSR活動の内容は、日常的・継続的な個々のステークホルダーとの対話を踏まえて決定されています。
花王で実施されているCSR活動の具体例は以下のとおりです。
- 酵素系漂白剤「ワイドハイター」の性能向上・環境負荷低減に向けた工夫
- 時代に即したBCGの改訂を進めながら社員それぞれの理解促進・実践の仕組みを構築
- 内部統制委員会の傘下に、情報開示・コンプライアンス・個人情報保護推進・リスクマネジメント・レスポンシブルケア推進・品質保証を担当する6つの委員会を設置し、PDCAサイクルを循環させながら内部統制を強化
- 社長を委員長とするCSR委員会を定期的に開催
- 品質保証監査を定期的に実施
- 化学物質総合管理システムによる一元管理
- 生産者コミュニケーションセンターなどを設置してステークホルダーの意見を随時反映 など
出典:CSRレポート|花王
資生堂
資生堂グループでは、企業理念「Our Mission,Values and Way」のもと、ステークホルダーに対して社員それぞれがとるべき行動基準を示した「Our Way」「資生堂グループ倫理行動基準」に基づき、人々の美しさ、健やかさを想像する経営を推進しています。
特に、資生堂グループの強みを活かせる「女性・美容」「文化」「環境」の分野では、独自のCSR活動を展開しているのが特徴的です。
- 健康面・安全性に配慮した「資生堂 ライフクオリティー メイクアップ」を提供
- がんとの共生を目指したがんサバイバーへの支援
- 施設や里親のもとで暮らす子どもたちの自立・進学支援
- 資生堂企業資料館ヴァーチャルツアー・ヘリテージオンラインセミナーを通じて資生堂カルチャーを普及 など
出典:資生堂のCSRとは
コニカミノルタ
KONICA MINOLTAは、経営理念である「新しい価値の創造」と、「コニカミノルタグループ行動憲章」の実践をCSR活動の基本としています。また、人権・労働・環境及び腐敗防止に関する普遍的原則として国連が提唱している「グローバル・コンパクト」に署名し、「コニカミノルタグループ行動憲章ガイダンス」を徹底しながら日々事業活動を展開しています。
コニカミノルタが実践しているCSR活動として、以下のものが挙げられます。
- 「コニカミノルタ品質方針」を定めて、お客様最優先・品質第一を徹底
- 「コニカミノルタ調達方針」を策定し、「CSR調達」による持続可能性のあるサービス提供を徹底
- 「企業情報の適時かつ公正な開示」の理念に基づき、積極的なIR活動で情報発信
- 国籍に関わらず全ての従業員が能力を発揮できるように公平で差別のない職場環境を提供
- 「エコビジョン2050」を掲げて長期的なプランで地球環境問題へ対応 など
富士通ゼネラル
富士通ゼネラルグループでは、企業理念である「共に未来を生きる」の精神に則り、事業を通じて持続可能な社会への貢献を目指しています。
特に、「サステナブル経営」の基本方針を策定し、2050年までに、バリューチェーン全体でカーボンニュートラルの実現・温室効果ガス排出量削減・社会貢献度の高い製品の提供などが目標と
されています。
富士通ゼネラルのCSR活動の具体例は、以下のとおりです。
- サスティナビリティ推進委員会を中心に企業が抱える重要課題を効率的に特定
- ヒートポンプ式温水暖房システムにより二酸化炭素排出量を削減
- 寒冷地向けエアコンなどの地域特性に合わせた製品を提供
- 小型GaNモジュールなどの省エネ性に優れたデバイスを提供
- 企業や大学との共同開発など、存在感のある社会構成員との連携を強化 など
CSR活動の将来性section
さいごに、CSR活動に取り組むことによってどのような将来を実現できるのかを紹介します。
地域活性化への取り組み
企業は地域社会との関わりを断つことができません。むしろ、企業が持続的に成長していくには、地域社会からの理解・協力を得ながら事業活動を展開することが不可欠です。
そのためには、地域の住民とのコミュニケーションを図る機会・交流は非常に重要だと考えられます。
また、地域社会との強固な信頼関係が生まれると、企業と地域が一体となった商品ブランドを展開する未来も選択肢に入ってきます。結果として、地域社会と企業が協力する形で地域活性化を実現できるでしょう。
ボランティア等との連携への取り組み
個人やNPO法人は、さまざまな形で日々ボランティア活動に従事しています。企業がこれらのボランティア活動を支援するのも重要なCSR活動のひとつです。
たとえば、ある程度資本規模を有する企業が各種ボランティア活動のサポートをすれば、ボランティア活動の幅が広がります。また、ボランティア活動が広く周知されることにもなるので、社会全体のボランティア精神の醸成にも繋がるでしょう。
新たな市場開拓に繋がる
CSR活動に取り組んでブランド価値を高めることに成功すれば、新たな市場開拓に繋がります。
たとえば、地域との連携力が強まれば、地域と企業が協力して新しい商品・サービス提供が実現することもあるでしょう。
また、CSR活動に積極的な姿勢を見せることによって他社から商品の共同開発をもちかけられて、新しいビジネスチャンスが生まれる可能性もあります。
企業が持続的な事業活動を展開するには、常に新しい市場開拓を視野に入れる柔軟性を持ち続けなければいけません。
CSR活動による社会貢献は、結果として企業側にもメリットを生み出すものなので、中長期的な計画性をもって諸施策を実行してください。
まとめ
環境保全やコンプライアンスなどに対する意識が高まっている現代において、企業が安定的かつ持続的に事業活動を展開するにはCSR活動が不可欠です。
もっとも、効果的な方法でCSR活動を実践することで、企業側にも大きなメリットがもたらされるという点を看過してはいけません。たとえば、ブランド力が向上したり、優秀な人材を確保しやすくなったりするでしょう。
競合他社がCSR活動などに力を入れている状況で無関心な姿勢を固持し続けると、やがては企業の成長は止まり、激動の21世紀を生き抜くことができなくなってしまいます。
他社で取り入れているCSR活動の具体例を参考にしながら、自社で取り入れることができるCSR活動を着実に実践に移していきましょう。