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企業が株式を上場する場合、各段階で多額の費用が発生します。上場に関する費用の支払先は、監査法人・主幹事証券会社・証券印刷会社・IPOコンサルタント・弁護士・証券取引所など多岐にわたります。
資金不足に陥らないように、上場の実現可能性を検討する段階から、具体的な資金調達のプランを立てておきましょう。今回は、上場準備・上場時・上場後に発生する費用について、支払先や金額の目安などを解説します。
会社が株式上場(IPO:Initial Public Offering)を目指すに当たっては、準備段階から多額の費用が必要になります。上場準備の段階で発生する主な費用は、以下のとおりです。
上場準備の段階では、監査法人(公認会計士)による「ショートレビュー」と「準金商法監査」が必要になります。
「ショートレビュー」とは、上場を目指す会社が財務やガバナンスに関する監査法人(公認会計士)のアドバイスを受け、改善点をアドバイスしてもらう手続きです。ショートレビューを経て、必要なポイントの改善を行った後、本格的な監査・審査のフェーズへと移行していきます。
「準金商法監査」とは、上場の直前々期・直前期の2期に係る財務諸表等について行われる、上場会社に準じた監査です。証券取引所の上場規則において、準金商法監査の実施および監査法人(公認会計士)による無限定適正意見※の表明が上場要件とされています。
※無限定適正意見:内部統制報告書が、金融庁の評価・監査基準に準拠して、財務報告に係る内部統制の評価を全ての重要な点において適正に表示していると認められる旨の監査意見(内部統制府令6条2項1号)
ショートレビュー・準金商法監査を実施する際には、監査法人(公認会計士)に対して費用を支払う必要があります。ショートレビューの費用は150万円~400万円程度、準金商法監査の費用は1,000万円~数千万円程度で、会社の規模などによって変動します。
主幹事証券会社は、上場手続き全体のアドバイザーであると同時に、上場時の株式引受も行うきわめて重要な存在です。上場準備の段階では、主幹事証券会社に対してコンサルティング報酬を支払います。主幹事証券会社の報酬は、年間500万円~2,000万円程度が標準的です。
上場申請に当たっては、専門的な内容であり、かつ膨大な分量の申請書類を準備する必要があります。上場申請書類の作成方法にはルールがあり、また機密保持についても十分留意する必要があるため、専門の印刷会社に依頼するのが一般的です。
印刷会社に支払う費用は、トータルで200万円~500万円程度が標準的となっています。
主幹事証券会社とは別に、上場手続き全体についてのアドバイザーとして、IPOコンサルティング会社を起用する場合があります。IPOコンサルティング会社に期待される役割は、主に以下の2つです。
上場審査につき、主幹事証券会社とは違った視点からのアドバイスを受けることにより、上場審査をいっそう円滑化することが期待されます。証券会社系のIPOコンサルティング会社が得意とする分野です。
内部統制や決算開示体制の整備などを、経営陣と二人三脚で進め、監査法人(公認会計士)による準金商法監査への対応を円滑化することが期待されます。公認会計士系のIPOコンサルティング会社が得意とする分野です。
上記のどちらを得意とするかは会社によってまちまちなので、複数のIPOコンサルティング会社を起用する場合もあります。IPOコンサルティング会社に支払う報酬は、年間500万円~1,500万円程度が標準的です。
上場に当たっての法的リスクの分析や、上場申請書類のリーガルチェック等は、弁護士への依頼が必要になります。上場に関する法務は、専門的かつ作業量も膨大なため、企業法務系の大手法律事務所に依頼するのが一般的です。報酬は通常タイムチャージ制で計算され、稼働1時間当たり2万円から10万円程度で、弁護士によって異なります。
上場準備段階での弁護士費用の総額は、500万円~2,000万円程度で、稼働時間数によって増減します。
実際に上場申請を行い、承認を経て株式を市場へ上場するまでの段階では、主に以下の費用が発生します。
上場審査料は、上場申請日が属する月の翌月末までに支払います。審査を通過するか否かにかかわらず、必ず上場審査料を支払わなければなりません。
上場審査料の金額は、上場先の市場によって異なります。東京証券取引所(2022年4月4日以降の新市場区分を前提とします。以下同じ)を例にとると、各市場の上場審査料は以下のとおりです。
上場が承認され、実際に株式を市場へ上場する際には、新規上場料を支払う必要があります。新規上場料の金額も、上場先の市場によって異なっています。東京証券取引所を例にとると、各市場の新規上場料は以下のとおりです。
上場に伴い、株式の公募※または売出し※を行う場合、対応する料金を証券取引所に支払う必要があります。
※公募:不特定多数の者に対して、新規に発行する株式の取得を勧誘すること
※売出し:不特定多数の者に対して、すでに発行されている株式(自己株式)の取得を勧誘すること
東京証券取引所の場合、株式の公募・売出しに係る料金は、それぞれ以下のとおりです。
上場に伴って株式の公募を行う場合、株主となる者によって払込みが行われます。払い込まれた金額は、少なくともその2分の1以上を資本金として計上しなければなりません(会社法445条2項)。資本金が増加した場合、商業登記簿にその旨を登記することになりますが、登記の際に登録免許税が発生します。
増資に係る登録免許税の金額は、増加した資本金の額の1,000分の7(0.7%)です(3万円に満たないときは、申請件数1件につき3万円)。例えばIPOの際に10億円の公募増資を行い、その2分の1に相当する5億円を資本金として計上した場合、登録免許税は350万円となります。
IPOに伴って株式の公募を行う場合、主幹事証券会社をはじめとする複数の証券会社に、発行する株式を買い取ってもらうのが一般的です。これを株式の「引受」と言います。株式の引受を依頼する際には、証券会社に対して引受手数料を支払う必要があります。引受手数料の目安は、公募総額の5~9%程度です。
なお公募価格と発行価格に差をつけ、その差額(利ザヤ)を引受手数料とする「スプレッド方式」の場合、会社が引受手数料を拠出する必要はありません。
市場に株式を上場した後も、上場を維持するためのランニングコストが発生します。上場後に発生する主な費用は、以下のとおりです。
各証券取引所は、上場会社に対して年間上場料の支払いを毎年課しています。年間上場料の金額は、上場先の市場および上場時価総額によって異なります。東京証券取引所の場合、各市場の年間上場料は、下表の金額にTDnet利用料12万円を加算した金額とされています。
上場時価総額 | プライム市場 | スタンダード市場 | グロース市場 |
50億円以下 | 96万円 | 72万円 | 48万円 |
50億円を超え250億円以下 | 168万円 | 144万円 | 120万円 |
250億円を超え500億円以下 | 240万円 | 216万円 | 192万円 |
500億円を超え2,500億円以下 | 312万円 | 288万円 | 264万円 |
2,500億円を超え5,000億円以下 | 384万円 | 360万円 | 336万円 |
5,000億円を超えるもの | 456万円 | 432万円 | 408万円 |
ただし、2022年4月3日時点におけるJASDAQ上場会社※については当分の間、年間上場料は下表の金額にTDnet利用料12万円を加算した金額となります。
上場時価総額 | 金額 |
1,000億円以下 | 100万円 |
1,000億円を超えるもの | 120万円 |
上場会社は、毎年「有価証券報告書」や「内部統制報告書」などの法定開示書類を、金融庁に提出することが義務付けられます(金融商品取引法24条、24条の4の4など)。また証券取引所の上場規則では、上記の法定開示とは別に、より充実した情報開示を実施することを目的とした適時開示書類の提出を求めています。
各開示書類の作成に当たっては、社内の部署間連携が重要になるほか、必要に応じて外部業者(印刷会社など)にも協力を依頼します。そのため、開示書類を作成する都度、残業代や外部委託費用が発生することには留意しておくべきでしょう。具体的な金額は一概に言えませんが、1年間の開示書類作成には数千万円規模の費用が発生することも珍しくありません。
IPOの時点に限らず、上場後に株式の公募または売出しを行う場合にも、証券取引所に対する料金の支払いが発生します。上場後の株式公募・売出しにかかる料金は、上場時と同様に以下のとおりです。
ただし、2022年4月3日時点におけるJASDAQ上場会社については当分の間、上場後の株式公募・売出しにかかる料金の支払いは不要となります。
上場会社は、証券取引所の上場規則に基づき、証券取引所が承認する代行機関に「株式事務」を委託しなければなりません。
株式事務とは、株主名簿の書き換えや株主総会招集通知の発送など、株式に関する事務全般を意味します。上場会社の株主はきわめて多数であり、ミスが発生すると大きな影響が生じるため、代行機関への株式事務の委託が義務付けられているのです。
株式事務代行機関に支払う報酬は、ベンチャー企業であれば年間300~400万円程度が標準的ですが、会社規模が大きくなるに連れて高額になります。
上場会社は、金融商品取引法第 193 条の 2 第1項の規定に基づき、財務諸表等について毎年監査法人(公認会計士)による監査を受ける必要があります。これを「金商法監査」と言います。金商法監査を監査法人(公認会計士)に委託する場合、監査費用の支払いが発生します。監査費用は、年間1,000万円~数千万円程度で、会社の規模などによって異なります。
金融庁や証券取引所に提出する開示書類については、金融商品取引法や上場規則に照らして問題がないかを、法的な観点から確認する必要があります。また上場会社に伴って、クレーム対応等の件数も増加することが予想されます。
そのため、継続的に相談できる顧問弁護士と契約しておくのが一般的です。スムーズに対応できるメリットがあるため、基本的には上場準備の段階と同じ弁護士に相談・依頼するのがよいでしょう。弁護士費用は、上場準備段階と同様に、タイムチャージによって算出されるケースが多いです。その一方で、弁護士と合意すれば、月額固定の顧問契約とすることもできます。
相談の頻度やプランなどにもよりますが、上場に関する事務に限定した場合でも、年間300万円~500万円程度は弁護士費用の発生を見込んでおきましょう。
株式の上場には、想像以上に多額の費用がかかるという認識を持った方も多いのではないでしょうか。しかし、適切な事業プランを構築したうえで株式を上場すれば、コストや手間に見合ったリターンが得られる可能性は大いにあります。主幹事証券会社・監査法人・弁護士など、様々な外部業者の協力を得ながら、上場準備を着実かつ円滑に進めていきましょう。
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