POSTED 2021/04/15

社外取締役の失敗しない選び方と求めるスキルにあった社外役員の探し方

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社外役員選任チーム

MAGAZINE編集部

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2021年3月より、上場企業では社外取締役の設置が義務となりました。社外取締役は、ステークホルダーに代わり、経営陣がきちんと企業運営を行なっているか、不祥事は起こらないかを監視する役割を担います。この記事では、社外取締役はどのように選べば良いのか、どんな人に適任なのかを紹介します。

目次

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社外取締役はなぜ必要なのか
選任すべき理由とはsection 01

社外取締役は、なぜ必要でどんな役割を期待されているのかを紹介します。

コーポレート・ガバナンスの実現

コーポレート・ガバナンスとは、企業が組織で不祥事を起こすことを防ぐ目的で監視の目を光らせる仕組みです。企業の不祥事として多い「粉飾決算」は、赤字会計を黒字に見せるように決算内容を改竄(かいざん)することです。赤字になると株価が下落したり、銀行からの資金調達が難しくなったりしますし、経営陣が株主により解任される可能性もあります。このような事態を恐れて、粉飾決算をする企業は少なくありません。このような不祥事を減らすためには、会社と利害関係がない社外取締役の活躍に期待できます。

上下関係がある社内の人間同士の場合、経営者に対してその下の役職の人が意見を言いにくいこともあるでしょう。一方、会社とは関係ない社外取締役の存在があれば、経営陣も社外取締役の目を気にして粉飾決算をしようという気がなくなる効果(抑止力)にも期待できます。

経営陣へのアドバイス

経営陣への経営的なアドバイスをする意味でも社外取締役は期待されています。経営経験がある社外取締役ならば、就任した企業の状況を鑑みながら、どうすればより良い経営ができるかというアドバイスができます。例えば、海外展開の経験がある社外取締役ならば、どのように海外進出をすれば良いかを実体験を元に伝えることができるでしょう。

取締役会への参加

取締役会は、企業の方向性などを取締役で議論する場です。社外取締役は、取締役会に参加する必要があります。取締役会設置会社では、最低でも3カ月に1回、つまり年に4回取締役会が開催されます。ただし、実務的には毎月1回は行っている企業が多いようです。

基本的には取締役会の場に出向き参加しますが、遠方に在住の場合などではテレビ電話などでの参加も可能です。参加前には資料等に目を通し、きちんと自分の意見を用意しておく必要があります。

ステークホルダーと経営者との橋渡し

社外取締役は、ステークホルダーの意見を直接経営者に届けられる人物です。経営者はステークホルダーの意見に耳を傾けることが大切ですが、実際にステークホルダーから直接意見を聞くのは難しいです。また、必死に企業運営をしていると、周りの声が聞こえにくくなることもあるでしょう。

ステークホルダーからの意見が反映されないと、株主が投資を止めたり、取り仕切先から取引を断られたりするなど結果的に自身の会社を苦しめることになります。そのため、ステークホルダーの意見を経営陣に届けることも社外取締役にとっては重要な任務なのです。

IPOのサポート

ベンチャー企業の中には、IPOを考える企業も多く存在します。IPOをするためには、上場における会計基準を満たしたり、労働環境を整えたり、社員のコンプライアンス意識を高めたりなどやるべきことが増えます。そのため、IPO経験者を社外取締役として迎え、どんな準備が必要でどのように進めればいいかを牽引してもらうケースもあるのです。

社外取締役の選び方
社外役員に適しているスキルや経験section 02

2020年に発表された経済産業省のデータによると、社外取締役のバックグラウンドは以下の通りでした。(n=1,061)

  1. 元経営者(46.0%)
  2. 弁護士(11.8%)
  3. 公認会計士・税理士(11.1%)
  4. 金融機関(10.2%)
  5. 学者(7.6%)
  6. 官公庁(4.9%)
  7. コンサルティング(2.4%)

なぜ、これらの人が多く社外取締役に起用されるのか、なぜ向いているのかを紹介します。
参考:経済産業省

元経営者

社外取締役の経歴として最も多いのは元経営者です。経営者は企業を拡大する経営やピンチを乗り切る方法を自分の経験でよく理解しています。その経験を客観的にアドバイスすることができるので、元経営者は社外取締役として好まれます。

弁護士

法律に違反するようなことがあれば、企業のイメージが悪くなり、以下のような弊害があります。

  • 銀行から資金調達ができなくなる
  • 株価が下落し資金調達ができなくなる
  • 取引先から取引を中断される
  • 消費者から商品を購入してくれない

このようなことになれば、企業として事業を継続することができなくなってしまいます。そのため、法律を熟知した弁護士を社外取締役として迎えるのは有効なのです。

公認会計士・税理士

公認会計士は企業の決算を監査する立場、税理士は企業の財務資料を作成する立場にあります。企業として「法律を守り、正しい方法で決算書類を作成している」というアピールができれば投資家は安心して投資をすることができます。そのため、企業の決算書類をきちんと監査できる公認会計士や税理士を社外取締役として選任し、会計に対してクリーンなイメージをアピールすることも多いです。

金融機関出身者

事業を拡大したいとき、経営が上手くいかなくなった時には、資金調達が必要になります。融資を担当していた銀行員は、企業に対する融資のポイントを熟知しています。例えば、資金繰りが悪い企業の場合、手元のキャッシュが不足すればいつ倒産するかわかりません。資金繰りの改善や、融資実行時に銀行が見るポイントなどを伝えられると、企業はスムーズに資金調達ができるようになります。

また、金融機関とのコネクションを構築できるきっかけになり、資金調達がしやすくなる可能性もあるでしょう。そのため、資金調達をスムーズにしたいと考える企業は、金融機関出身者を社外取締役として起用するのも一つです。

社外取締役になれる年齢

社外取締役には年齢の規制はありません。ただし、社外取締役に選ばれるような人物は元経営者や弁護士・公認会計士などの専門知識を有したものです。そのため、10代で社外取締役になることはほとんどないといえるのではないでしょうか。

また、定年については各社によります。デトイト・トーマツ・グループによると社外取締役の定年年齢(平均値)は67歳です。中には80歳を定年としている企業もあるようです。結果として社内取締役や一般社員より高い年齢の人が社外取締役として活躍することが多いようです。年齢よりも実績や経験・企業に値する貢献が評価されるようです。

参考:これからの社外取締役の選任・処遇の在り方(2)|サービス:人事・組織コンサルティング|デロイト トーマツ グループ|Deloitte

社外取締役を選ぶ際に
評価したい資格section 03

社外取締役になるためには必要な資格はありません。また、学歴も関係ないので、中卒や高卒であっても、能力が優れていると評価されれば社外取締役に就任することができます。他方で、取得していることを評価したい資格について説明します。

MBA(経営学修士)

MBAとは、経営学の大学院修士課程を修了すると授与される学位です。経営学を深く学んでいるという証明にもなりますし、有名な大学院や海外で学んでいる場合はさらに評価は高くなります。

中小企業診断士

中小企業診断士とは、国内唯一の経営に関する企業コンサルティングに関する国家資格です。資格取得には、企業経営・財務・法務・情報・経済など企業経営にかかわる知識を網羅的に学習する必要があります。難関資格でもあるため、中小企業診断士の資格を取得している人は企業経営について理解していると評価できるでしょう。

TOEIC

海外で事業展開をしている企業の場合、語学力は必要不可欠です。社外取締役は海外の財務諸表や報告を英文で読むことや、海外の現地法人のスタッフへの説明を英語したり、報告を受けたりという機会などあるでしょう。そのため、日常的に英語力が必要な企業な場合、TOEICの点数が高い人を社外取締役として迎えたほうが業務はスムーズに進むでしょう。

ビジネスコンプライアンス検定

社外取締役はコンプライアンスの意識も非常に大切です。企業が不祥事を起こさないように常に監視する必要がありますし、一般社員の行動についても改善点があれば経営陣に指示が必要だからです。

ビジネスコンプライアンス検定は、ビジネスにおけるコンプライアンスの理解度を測る資格です。取得している人は、コンプライアンス意識が高い人だと、安心して社外取締役として迎えることができます。

日商簿記

日商簿記は財務の基本です。資金繰りについて・財務状況について理解していなければ、無理な経営に走ってしまうことがあります。例えば、手元のキャッシュはぎりぎりなのに設備投資をすれば、たとえ黒字だとしても足元の人件費の支払いができなくなってしまいます。また、借金が増えすぎて債務超過となれば、新規での資金調達はできなくなってしまうでしょう。このようなことを避けるためにも、経営者は財務の知識が必要不可欠ですし、経営を指導する立場にある社外取締役も日商簿記を所有している人を選ぶと安心です。

社外取締役候補の探し方section 04

では、社外取締役にふさわしい人物はどのように見つければいいのかを説明します。

転職エージェントの利用

転職エージェントの中には、役員クラス向けの転職エージェントも存在します。転職エージェントを利用すれば、担当者が企業のニーズに合った候補者をスキルや経験を見ながら紹介してくれます。

日弁連の社外取締役(役員)候補者名簿を利用

日弁連では、社外役員候補者名簿というのを作成しているところがあります。第二東京弁護士会では、名簿に登録された人に、社外役員の求人案件を案内するという制度があり、登録している弁護士会員からの希望制で、研修受講などの一定の要件をクリアした者を名簿に登載し、第二東京弁護士会のHPにて、一般公開するものです。

名簿に記載する事項は、基本的な項目のほか、コメント欄として自由記述となっています。担当した事件というよりも、達成したことを中心に示すこと、MBAや留学経験などの経歴は重要なポイントになりえます。
参考:社外役員をお探しの企業の方へ~女性弁護士の候補者名簿ご案内

ダイレクトリクルーティング

具体的にどのような人材を採用したいかが決まっているのであれば、SNSなどを活用してダイレクトリクルーティングをするのもいいでしょう。転職エージェントや求人サイトを利用するよりもコストを抑えることができますし、ピンポイントでほしい人材にアプローチすることができ効率的です。

ベンチャーキャピタルからの紹介

紹介も一つの方法です。例えば、顔が広い知り合いの経営者に社外取締役を探している旨を伝えれば相応の人物を紹介してくれる可能性があるでしょう。ベンチャー企業の場合、ベンチャーキャピタルから派遣されるケースもあります。ベンチャーキャピタルは、ベンチャー企業が上場することなどを見越してベンチャー企業に投資をします。ベンチャー企業が利益を上げれば上げるほど、ベンチャーキャピタルに対する見返りも大きくなるので、ベンチャー企業に対する経営的な指導も行います。

社外取締役マッチングサービスの利用

実績のある社外取締役の採用はVC(ベンチャーキャピタル)経由でも困難を極めており、企業側はVC経由意外に採用する場所の確保、実績のある弁護士はヘッドハントされる機会のマッチングがうまくいっていないのが現状です。

上場予備軍500社、社外取締役の争奪戦 指針強化で対応急務
人気人材は2年待ちも スタートアップ 2021年1月18日 0:00 [有料会員限定] 社外役員や監査役といったガバナンス人材の確保に悩むスタートアップが増えている。上場を目指すスタートアップが増え、金融庁などが定める企業統治指針(コーポレートガバナンス・コード)を見据えて体制を整えるためだ。成長の早いスタートアップのガバナンスを担える人材供給には限りがあり、適切な人材探しを支援するサービスも求められている。

引用元:日経新聞

その問題を解決する糸口になるのが『社外取締役マッチングサイト 』です。最近では、顧問紹介などを行うエージェントの中で、社外取締役紹介に関するサービスをローンチするものが出てきています。

社外取締役を選任するまでの流れsection 05

社外取締役を雇うためには報酬を支払う必要があるので、何人も雇うことは難しい場合もあります。では、具体的にどのように社外取締役を選べば良いのかを紹介します。

社内取締役の能力を洗い出す

まずは、社内ですでに取締役となっている人の能力を洗い出します。基本的には社内取締役の能力で足りる場合にはそれと被る能力の社外取締役の選任は必要ないからです。社内取締役の能力を洗い出したら、逆にどんな能力が不足しているのかを洗い出します。

社外取締役として迎えたい人物像を明確にする

社内取締役の能力を明確にしたうえで、社外取締役として迎えたいのはどんな人材なのかを明確にしていきます。例えば、社内取締役の中に法務に強い人材がいないのであれば弁護士を社外取締役の候補にします。また、M&Aを積極的に展開して規模を急拡大させたい企業であればM&Aで企業を買収した経験がある元経営者を社外取締役候補にするという考え方です。

社外取締役として迎えたい人をピックアップ

社外取締役として迎えたい人物を探し、何名か候補者をピックアップします。ダイバーティに配慮して女性比率を増やしたいのであれば女性の社外取締役をピックアップしたり、十分に時間を使ってほしいのであれば他社ですでに社外取締役として活動している方は排除したりするなどして調整します。

社外取締役の候補者と面談

実際に社外取締役として迎えたい人と面談し、求める実績やスキルにミスマッチがないか、経営者との相性はいいか、本当に貢献してもらえるかなどを確認し、社外取締役の処遇を決めていきます。日本では、社外取締役同士は同じ報酬になるのが一般的です。

株主総会で決定

社外取締役として就任するためには、株主総会での決定が必要です。

社外取締役を選ぶ際の注意点section 06

最後に、社外取締役を選ぶうえで注意すべきことを紹介します。

競業で社外取締役として活動していないか

競業ですでに活動している人を社外取締役として迎えることはできません。話が盛り上がった後に発覚すれば、話し合いが水の泡になってしまうので、競業での活動についてははじめに聞いておくべきといえます。

企業として必要なスキルに不足はないか

候補者に社外取締役として求めているスキルが足りない場合、無駄な報酬を支払うことになります。お飾りの社外取締役ではもったいないので、実績や資格、スキルについては細かく確認しましょう。

スケジュールに余裕はあるか

スケジュールに余裕がないと、企業について資料を読み込んだり、調査をしたりできずに上辺だけのアドバイスになる可能性があります。優秀で人気のある人は、兼業で社外取締役をしていることが多いですが、企業について十分時間を取れる人を選んだ方がよい場合もあるでしょう。

健康上に問題はないか

選んだ社外取締役に健康上に問題があれば、取締役会を欠席することになったり、スケジュールを調整する必要が出てきたりします。そのため、健康に問題がない人を選んだほうが無難です。

スキャンダルなどの心配はないか

社外取締役にスキャンダルがあると企業のイメージを落としかねません。モラルがあり、問題を起こさないような人を選ぶべきといえるでしょう。

まとめ

社外取締役はコーポレート・ガバナンスを実現するために重要な役割を果たす人材です。責任感・モラルを持ち、ステークホルダーに代わり企業を監視できる人物が理想的といえます。

社外取締役を選ぶ際には、まず社内取締役のスキルを明確にし、足りないスキルを充足できる人物像を洗い出します。その後、経歴・スキル・実績を見ながら、社内取締役とのバランスを取れる人材を選びアプローチをします

社外取締役として選ばれやすいのは、元経営者・弁護士・公認会計士・税理士・金融機関などです。また、MBA・中小企業診断士で経営の勉強をしていたり、TOEICで高い点数を保有していたりする場合には、取締役としての実務に生かすことができるので評価すべきといえるでしょう。

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上場支援、CGコードの体制構築などに長けた、専門性の高い「弁護士」を社外取締役候補としてご紹介。事業成長とガバナンス確保両立に、弁護士を起用したい企業様を支援している。